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第1章 勇者を探して
第10話 ワイバーン襲来
しおりを挟む私達は、領主の屋敷で昼食をご馳走になった後、直ぐに出立した。
あの時に何が起こったのか?
男は、詳細な説明を断った。
ただ一言、棒の先で弾いただけだと言っただけだった。
領主は約束通りに馬を準備してくれた。
ただし、3頭の馬が居て、そのうちの1頭には、マリーナがいた。
私が困惑した表情をしていると
(おじい様より、聖女殿をルト迄送り届けよと、仰せつかりました。これより、お供させて頂きます。)
マリーナは、屈託の無い笑顔だ。
おじい様ってやっぱり、領主の孫娘だったか。
しかも、男の事を先生と呼んでいる。
マリーナは、先生、先生と色んな質問を投げかけているが、男は、上の空でまともに応えてない。
あまりに相手にされないものだから、私に話し掛けてきた。
(聖女殿は、どの様に先生とお知り合いになられたのですか?)
私は内心、面倒と思いながらもこれまでの事を話して聞かせた。
マリーナは目を輝かせながら、男の武勇伝?を聞いていた。
徒歩とは違い、予定より早く進む事が出来た。おかげで、途中の村や町で宿を取ることができた。
町から、町までは馬で1日くらいの場所にあるんだな。そんな事を考えながら、馬に揺られて居ると、先頭をゆく男が手を広げ、これ以上進むのを止めた。
【何か飛んで来るなあ。なんだあれは?】
男が見つめる方向に目を凝らすと、確かに、何かがこちらに向かって飛んでくる。
男は、馬から降りると左手に杖を持ち
スルスルと鞘を抜いた。
刀の刃を見たのはこれで2度目だ。
マリーナも私もそのまま動けずに居る。
【2人共、馬から降りて後ろに下がるんだ。】
男に言われて、ハッとした私達は、言われた通りに馬から降りて、後ろに下がった。
やがて、飛行物体がはっきりとしてきた。5メートルはある。
【お嬢さん、ありゃなんだ?】
「ワイバーンです。私達を襲う気です。」
【そうか、じゃあ先手必勝で行くか。】
私は、遠距離攻撃魔法の準備を始める。駄目だ、遠すぎる。もっと近づいてから。
そんな事を考えていると、男が魔法詠唱を始めた。
【えーと、何だっけ、カマイタチだ】
【カマイタチ】
そう言って刀を下から上に振り上げた。
ブンと言う音がしたかと思うと、巨大な風の刃がワイバーン目掛けて飛び出す。
刀から放たれた、風の刃は、ワイバーンのすぐ横をかすめていった。
【ちっ、外した。ちょっと遠いか。ならば】
そう言って、今度は刀をブンブンと上下に振った。
【あ、詠唱するの忘れた。まあいいっか】
すると今度は、2つ風の刃が並んで、放たれた、
2つの刃は、ワイバーンの2つの翼を切断した。
ワイバーンは、そのまま、急降下を始め、地面にめり込んで、息絶えた。
【おお、今度は当たった。】
無邪気に喜ぶなよ。
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