異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

文字の大きさ
上 下
179 / 184
第三部 暗殺者編

第179話 ガルム小隊解散

しおりを挟む
クレイ 「まぁ、ぶっちゃけて言うと、お前達の行動の責任を俺に負わせないでくれって話だ。お前達という荷物から解放されるために、俺はお前達を奴隷から解放するのさ。悪く思わんでくれ」

ビューク 「まぁ、奴隷から解放してもらって悪く思う事もないが…」

アダモ 「…自由に行動する者は、その行動の責任も自分で持つ必要がある。子供ではないのだから、誰かに責任を負わせたまま好き勝手行動するのはおかしい。当たり前の事だな」

ライザ 「俺達が、奴隷なのに自由に行動させてもらってるのがおかしかったんだよな…」

クレイ 「魔法契約の内容は詳しくは聞いていないが、おそらく、この国に対する軍事行動は禁止という事になるだろう。この国でクーデターなどはもちろんできないし、敵対する国に渡ってこの国と戦争する事もできなくなると思う。それ以外にも…例えば政治運動等が制約されるかとかもあるかも知れない。まぁ内容は契約前に詳しく確認してくれ」

コズ 「俺達は…奴隷じゃなくなるのか…」

クレイ 「ああそうだよ。今後は、この国の国民として生きていってもいいし、もちろん、国外へ移住するのも自由だ」

マルボ 「だけど……急にそんな事言われても……解放された後、俺達どうすれば…? ガルム小隊も解散てことだろ?」

クレイ 「退職金代わりにこのクランの拠点はお前達にやるよ。金は王様からもたくさんもらったしな。ここでクランを作って冒険者活動をするもよし、何か商売を始めるもよし。あるいは、違う街や違う国へ行くもよし。好きにしてくれ」

アダモ 「…希望者は、クレイと一緒に冒険者を続けるって事でも?」

クレイ 「ああ、まぁ、構わないが、すまん、一つ言い忘れていた。俺の方にも、解放に当たって条件があるんだ。それは、俺の秘密を…武器や俺の能力、リルディオンについて、一切喋らない事。そのための魔法契約をしてもらう。色々と制約が多くなって申し訳ないが…」

カラザ 「このまま奴隷で居たいっていうのは……?」

クレイ 「その場合は、それでも構わないが、これまでのように自由は保証できない事は覚悟してくれ。奴隷を自由にさせるなというのが領主の意向だ。

ヴァレットの街は比較的奴隷に優しいが、この街にも他の街から人間が来る事もある。そういう者達は、奴隷は奴隷らしく扱う可能性が高い。そういう者達とトラブルになるのは、ヴァレットの街としても望まないという事だ。ましてや、今後、他の街で活動する事もある予定だ。そうなったら、自由に行動させる事はできなくなると思う」

アダモ 「なるほどね。まぁ、クレイには、体を治してもらった恩がある。クレイの負担にならないようにしてくれと言われたら、NOとは言えねぇなぁ…」

アダモ 「……クレイよ、今日は飲むか! 酒が嫌いなのは知ってるが、今日くらい付き合えよ!」

クレイ 「ああ、そうだな…。クラン・クレユカの解散パーティだな」

アダモ 「そういやそんな名前だったな」

クレイ 「予算は気にしなくていい、好きなだけ飲み食いしていいぞ!」

クレイはアダモ達と街の繁華街に繰り出していくのであった。



  * * * *



翌日から早速、クランの奴隷達の解放の手続きに入った。

まず、全員リルディオンに連れていき、秘密厳守の魔法契約を掛けてもらう。

次に、王都へ向かう。転移で出入りするのは拙いという事で、面倒だが馬車を四台買って分乗しての移動である。

王都についたのは夕方になってしまったので、宿に泊まる事にした。ただ、少し良い宿に泊まろうとしたところ、奴隷を客として扱うのを拒否されてしまい、結局安宿に泊まる事になってしまった。高級宿では、奴隷は奴隷専用の粗末な部屋が用意してあり、そこに泊まらせるのが普通で、他の客と同じ様に宿の中を歩かれると困るというのだ。言ってみれば厩に繋がれる家畜と同じ扱いである。

なるほど、これが普通の奴隷の扱いかと納得するガルム小隊の面々であった。



  * * * *



翌日、王宮に馬車で向かう。平民街から貴族街に入る場所には門があり、門番が居る。そこで怪しい者は身分を改められる事になるが、クレイ達の馬車も当然門番に止められてしまう。

ただ、クレイは予め宰相に奴隷を連れてくる時用の紹介状を渡されており、それを見せるとすんなり通してもらえた。

クレイ達が門を通ったのが報告されていたのか、国王が話を通しておいてくれたのか、王宮の門番に止められる事はなく、すぐに宰相に面会する事ができた。

宰相も既に準備を進めておいてくれたようで、既に契約魔法を使える王宮専属の魔法師が一緒に来ていた。

魔法契約の内容はクレイの予想した通り、国に反する目的での武力行使、そして政治運動なども一切禁止という事であった。ただ、国民としては認め、義務を果たせば権利は与えると言う事であった。もちろん、他国に行きたければそれも自由であると。

全員それを受け入れ、奴隷の首輪を外してもらう。こうしてガルム小隊の者達は晴れて奴隷から解放されたのであった。



  * * * *



王宮から出たクレイ達。

首輪が外れた元奴隷達は晴れやかな顔をしていた。

クレイ 「じゃぁ、ここで解散としよう。お前達は王都の観光でもしてくればいい。その後ヴァレットに戻ってもいいし、なんならこのまま王都に住みたい奴は残っても良いかも知れんな」

アダモ 「クレイはどうするんだ?」

クレイ 「前にも言ったが、俺は当分冒険者活動は休業予定だ。飽きるまで適当にぶらぶら遊んでいるつもりだよ」

アダモ 「贅沢だな」

クレイ 「お前達だって、当分働かなくても生活できる金を持っているはずだろう?」

※ダンジョンで確保した素材は隊員達とルル・リリで山分けにしたので、それを売って大金を得ているのだ。

クレイ 「まぁ、ゆっくり、これからについて考えれば良いと思うよ」

アダモ 「なぁ、皆で話し合ったんだが……俺達をそのままクレイの部下として使ってくれないか?」

クレイ 「そう言われてもなぁ、さっきも言ったが、当分仕事をする気はないから、何もやる事がないんだよ。冒険者活動がしたいなら、お前達だけで続けてくれてて構わないがな」

アダモ 「クレイは今後もヴァレットの街を拠点として活動するんだろう?」

クレイ 「ああ、まぁ、当分はそのつもりかな。先の事は何も考えてない」

アダモ 「なら、俺達もヴァレットの街でクランを作って冒険者活動する事にするよ。クレイが何かやる気になったら……あるいは何か助けが欲しい時には、俺達を呼んでくれ。その時には俺達は何を捨てても駆けつけると約束する」

クレイ 「……全員?」

アダモ 「ああ、みんな、故郷がどうなったか見て来たいと言ってるから、しばらくは旅行に出ていると思うが、また必ずヴァレットに戻ってくるつもりだ」

クレイ 「そうか…まぁ、じゃぁ、何かあったら声を掛けるよ。それまでは、それぞれに自立して活動していくということで」

アダモ 「ああ、まずは故郷の地に、家族や仲間達、同胞達の墓を作ってやるつもりだ。金はあるからなんとかなるだろう。お前はまぁ、俺達が戻るまでしばらくゆっくりしているといいさ」


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
小説家になろうでジャンル別日間ランキング入り!  世界最強の剣聖――エルフォ・エルドエルは戦場で死に、なんと赤子に転生してしまう。  美少女のように見える少年――アル・バーナモントに転生した彼の身体には、一切の魔力が宿っていなかった。  忌み子として家族からも見捨てられ、地元の有力貴族へ売られるアル。  そこでひどい仕打ちを受けることになる。  しかし自力で貴族の屋敷を脱出し、なんとか森へ逃れることに成功する。  魔力ゼロのアルであったが、剣聖として磨いた剣の腕だけは、転生しても健在であった。  彼はその剣の技術を駆使して、ゴブリンや盗賊を次々にやっつけ、とある村を救うことになる。  感謝されたアルは、ミュレットという少女とその母ミレーユと共に、新たな生活を手に入れる。  深く愛され、本当の家族を知ることになるのだ。  一方で、アルを追いだした実家の面々は、だんだんと歯車が狂い始める。  さらに、アルを捕えていた貴族、カイベルヘルト家も例外ではなかった。  彼らはどん底へと沈んでいく……。 フルタイトル《文字数の関係でアルファポリスでは略してます》 魔力ゼロの忌み子に転生してしまった最強の元剣聖は実家を追放されたのち、魔法の杖を「改造」して成り上がります~父が老弱して家が潰れそうなので戻ってこいと言われてももう遅い~新しい家族と幸せに暮らしてます こちらの作品は「小説家になろう」にて先行して公開された内容を転載したものです。 こちらの作品は「小説家になろう」さま「カクヨム」さま「アルファポリス」さまに同時掲載させていただいております。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...