異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

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第二部 ダンジョン攻略編

第89話 武器は簡単に人に渡すな

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見れば、三人の冒険者がオークの集団に追われて逃げてくる。やがてクレイのいる場所まで到達した三人は、クレイに助けてくれと縋るのであった。

クレイが猫姉妹に向かって頷く。リリとルルは即座に銃を構え、追ってきたオークを殲滅する。奥の後列に居たオーク・メイジから火球が飛んでくるが、それも弾丸で打ち消されてしまった。

ボーサ 「すげぇ……」

ズウ 「オークの上位種の集団が一瞬で殲滅されちまった……」

キム 「オークが消えていくが…ダンジョンに吸収されたわけじゃないよな?」

銃弾を受けて倒れたオーク。するとその下に魔法陣が浮かび、消えてしまう。クレイがマジックバッグに収納しているのだ。転移魔法の応用である。光魔法で転移魔法陣を投影し、その転移先をマジックバッグの中に直接指定しているのだ。事実上、クレイの視界に入る範囲のものはこのやり方で収納できてしまうのである。

ボーサ 「すまねぇ、助かった…」

クレイ 「Fランク冒険者が無理して実力に見合わない階層に降りて死にかけたってところか」

キム 「俺たちはこれでもDランクの冒険者だ」

ズウ 「いくら助けられたとは言え、Fラン呼ばわりはひでぇ…」

クレイ 「Dランク? 本当に?」

ボーサ 「本当だ、先日Dランクになったばかりだがな」

そう言ってギルドカードを見せる三人。

クレイ 「Dランクがオーク相手に敗走とか、ランク詐欺だろ」

ズウ 「オークって言っても上位種だぞ、楽に勝てる相手じゃねぇわな」

クレイ 「ランクの認定の基準がおかしいんじゃないか?」

普通、Dランクといえばもう冒険者としては一人前、ベテランとして判断されるレベルのはずなのだ。…クレイが街に居た頃の常識では。(あるいは他の街では。)たとえ上位種といえども、オークに負けるようではDランクは名乗れないはずなのだ。

ボーサ 「あんた達は? ずいぶん強いよな、さしずめAランクか、あるいはSランクか?」

クレイ 「俺は…Cランク認定されてたな、そういえば」

九年前に迷宮都市ダンジョンシティリジオンの冒険者ギルドで貰ったギルドカードを出すクレイ。

ルル 「アタイはEランクにゃ」
リリ 「ですにゃ」

ボーサ 「Cはともかく、Eランクがオーク上位種相手に無双って…やっぱり、その武器がすげぇのか?」

ルル 「否定はできないにゃ」

キム (……その武器があれば俺達だって……?)

クレイ 「しかし、ランクはどうあれ、実力に見合わない階層に降りたら死ぬぞ?」

キム 「し、仕方ねぇだろ、お前たちのせいだぞ」

クレイ 「?」

ズウ 「上の階に獲物がまったく居なかったんだよ…」

ボーサ 「助けてもらってありがたいが、あんたらが上の階層の獲物を全部狩っちまったんだろう? 俺たちも手ぶらで帰るわけにもいかないんだよ…」

クレイ 「…ああ、そうか、それは済まない事をしたな。根こそぎはまずかったか」

キム 「なぁ、その武器、ちょっと見せてくれないか?」

ルルの武器に触れようとするキム。

クレイ 「ルル、触らせるな。というか見せるのもなしだ」

素早く銃を引き背後に隠すルルとリリ。

クレイ 「それでいい。俺が渡した魔道具はほとんどが極秘事項だ、忘れるなよ」

キム 「なんだよケチクセェなぁ、見るだけだよ、見るだけ」

クレイ 「……俺のだったら見せてやってもいいぞ?」

自分の持っていた魔導銃を差し出すクレイ。それ手にとってシゲシゲと見るキム。ボーサとズウも近寄ってきた。

キム 「これ、どうやって使うんだ?」

クレイ 「貸してみろ。こう構えて、ここの引き金を引くと…」

パシュンという小さな音とともに射出された弾丸が、少し離れたところにあった岩を砕いた。

ズウ 「おお~すげぇ」

キム 「もう一回見せてくれ!」

クレイ 「ああいいぞ?」

キム 「へへ……こう構えて…ここを引くのか」

そしてキムは銃をクレイに向けた。

クレイ 「おい、人に向けるモンじゃないぞ?」

キム 「動くな! へへっ、簡単に武器を人に渡すもんじゃねぇぜ?」

ボーサ 「おい、キム?」

キム 「こうやって相手に奪われる可能性もあるだろうが」

ボーサ 「おい、やめろ」

キム 「Cランクなのにそんな事も分からんかったのか?」

クレイ 「ああ? もちろん分かってたよ? お前はゲスな目をしてたからなぁ」

キム 「あんだと?! てめぇ、死にてぇのか?!」

殺気立って銃をクレイの顔に向けるキム。

クレイ 「バカはお前だな。分かって渡したって言ったろ? 安全装置がついてるに決まってる。俺以外の人間が引き金を引いても弾は出ないようになってるんだよ」

キム 「!」

慌てて引き金を引くキム。だが魔導銃はウンともスンとも言わない。(銃口はクレイから外して引き金を引いたので、問答無用で撃つ気ではなかったようだ。)

クレイ 「それに、いつでも取り返せるしな」

クレイがキムに向かって手をかざすと、魔導銃の側面に転移魔法陣が投影され、銃はクレイの手の中に移動する。

突然手の中から銃が消えて慌てるキム。

キム 「なっ、ばかな…転移魔法だと?!」

クレイ(猫姉妹に向かって) 「な? こうやって馬鹿な奴が銃を悪用しようとするから、絶対に人に触らせては駄目だぞ?」

クレイ 「コイツが言った通り、愛用の武器を他人に触らせてはいけないのは、冒険者としては常識だ」

リリ 「常識にゃ」

ルル 「そんな事言われなくても分かってるにゃ」

クレイ 「そ、そうか。で…」

キムに向けて銃を構えるクレイ。

キム 「まて、おい、冗談だよ! 冒険者としての心得を、簡単に武器を人に渡すなって事を教えてやろうとしただけだ! 本気で撃つ気はなかった! 本当だ!」

クレイ 「とは言え、銃口を向けられ脅されたのは事実だからな。殺してしまっても正当防衛が成立しそうな気がするが?」

キム 「ちょ、おい!」


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