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第二部 ダンジョン攻略編
第74話 ダンジョン攻略したのは誰か?
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別に、ダンジョンが攻略されたと言うニュースは珍しくもない。
それまで知られていなかったダンジョンが発見される事はよくある。それは、以前から存在していたが未発見だっただけというケースが多い。
ダンジョン発生のメカニズムはよく分かっていないが、それまでなかった場所に、新たなダンジョンがある日突然発生する事例も観測されている。つまり、遡れば古いダンジョンも誕生した瞬間があったはずである。ただ、誰にも知られず放置され時が経っただけの事である。
もし、新たに自然発生したダンジョンが発見され、それが非常に迷惑な場所であった場合や特性が危険なダンジョンであった場合、優秀な冒険者に攻略の指名依頼が出る。冒険者だけで難しいなら、冒険者と協力しながら軍、あるいは貴族自らが動く事も多い。
そうしてダンジョンは攻略され、破壊されるか、あるいは国や領主・ギルドの管理下に置かれる事になるのだ。
ただ、ペイトティクバ攻略のニュースは、通常のダンジョン攻略のそれよりも少しだけセンセーショナルな扱いになっていた。それは、ペイトティクバは非常に古いダンジョンで、『攻略不可能』と言われていたダンジョンの一つだったからである。
比較的若いダンジョンであれば階層が浅いので攻略は容易い。だが、時間が経つほどにダンジョンは成長し、階層が増えていく。発見されずに長い時をかけて成長したダンジョンは、恐ろしく階層が深くなっている事があるのだ。ペイトティクバ(とリジオン)もそのようなダンジョンのひとつなのである。
単に階層が多いだけではない、長い時をかけて魔力を蓄えたダンジョンは、より危険な魔物を生み出すようになってしまうため、攻略が難しくなってしまうのだ。
ただし、ペイトティクバは少し特異なダンジョンでもあった。長く存在して熟れている非常に安定したダンジョンなのである。階層は多く最深部まで何階層あるのか判明していないのだが、浅階層にいきなり凶悪な魔物が出るという事はなく、階層ごとに段階的・順当に危険度が増していくのである。
そのため、上級者しか入場が許されないリジオンと違い、初級から上級まで幅の広い冒険者達が集まり、冒険者の街としてヴァレットは活気があった。
ヴァレットはペイトティクバと王都の間を塞ぐように作られており、ダンジョンから出てきた魔物が王都に魔物が行かないようにする役目を担っている。
王都の近くにダンジョンがあるというのは、王家としてはあまり好ましい状況ではない。攻略するか破壊してしまえば良いのだが、古いダンジョンで攻略不可能となると、王都をもっと安全な場所に移動するしか方法がなくなる。
ただ、ペイトティクバは『近い』というほど直近にあるわけではなく、さりとて絶対安全と言えるほど遠くもない。微妙な場所なのであった。そこで、ダンジョンを監視し防壁となる街を作り、共存するスタイルが十数代も前の時代に確立されたのである。
だが、そんなダンジョンが攻略されたという。
攻略不能と言われていたダンジョンが攻略された事はもちろんセンセーショナルだが、長い歴史のあった “バランス” が崩れる可能性があるという事も、有識者の間では静かに注目されたのである。
(※魔物と人とのバランスだけでなく、ダンジョンからの資源の供給がどうなるのか? またダンジョンの管理権を手にしたのは誰かによってはダンジョンを監視していた貴族家周辺のパワーバランス等も変わってくる可能性もあるのだ。)
まぁトニーにとってはそんな事はどうでもよかったのだが、少し気になる事があって詳しい情報を取り寄せた。
どうやら一人の人物によってダンジョンが踏破されたと言う事であった。そして、その人物はダンジョンを踏破したが破壊する事はせず、管理権限をヴァレット家に移譲したのだそうだ。
その人物は、ヴァレットの街の領主、ヴァレット家に縁のある人物だったらしい。
なるほど、それは納得出来る話である。この世界では、魔力の強い者が貴族となっている。そして、魔力が強い者ほど貴族社会の中でもより高い地位に居るのだ。つまり、最も高い戦闘力を持っているのは、最も地位の高い貴族という事になるからである。
そして、ヴァレット家と言えば、長く王家の剣として仕えてきた武に定評のある貴族家である。実力的にはもっと高い地位に就いていてもおかしくないと言われている一族なのだが、出世にはあまり興味がないため子爵のままとどまっているという噂である。そんな血筋から強力な戦士が現れ一人で偉業を成し遂げた、そんな事があっても不思議ではない。
ただ、トニーが気になったのは、その人物が不思議な武器を使っていたという一文である。
トニーの脳裏に “魔導銃” を使っていたクレイの事が蘇る。
そういえば、クレイはヴァレット家の人間であったはずである。クレイが生きていたとは思えないが……そういえば、あの魔導銃という武器を開発した時、実家である領主家にも納めたと言っていた気がする。
なるほど、ヴァレット家の誰かがそれを使ってダンジョン攻略に成功したという考えに至り、トニーは納得した。
確かクレイは魔力が少なかったのを魔道具で補っていたはず。そのために強力な武器(魔道具)を開発していたのだろう。だが、魔力が少なくて家を出されたクレイと違い、ヴァレット家に残っている者は皆強い魔力を持っているはず。そんなヴァレット家の人間がクレイの作った魔導銃を持てばオーガに金棒。おかげでダンジョン攻略に成功したと考えれば納得が行くわけである。
ちなみに、ダンジョンを踏破したその冒険者は冒険者ギルドから “ランクS” を認定されたそうだ。まぁ貴族ならば冒険者ランクは単なる肩書、(冒険者としての)積極的な活動はする気もないだろうから、関わりになる事もないだろう。
懐かしい街の名前が出て昔の事を思い出してしまったが、結局トニーはまたその事については忘れる事にした。
それまで知られていなかったダンジョンが発見される事はよくある。それは、以前から存在していたが未発見だっただけというケースが多い。
ダンジョン発生のメカニズムはよく分かっていないが、それまでなかった場所に、新たなダンジョンがある日突然発生する事例も観測されている。つまり、遡れば古いダンジョンも誕生した瞬間があったはずである。ただ、誰にも知られず放置され時が経っただけの事である。
もし、新たに自然発生したダンジョンが発見され、それが非常に迷惑な場所であった場合や特性が危険なダンジョンであった場合、優秀な冒険者に攻略の指名依頼が出る。冒険者だけで難しいなら、冒険者と協力しながら軍、あるいは貴族自らが動く事も多い。
そうしてダンジョンは攻略され、破壊されるか、あるいは国や領主・ギルドの管理下に置かれる事になるのだ。
ただ、ペイトティクバ攻略のニュースは、通常のダンジョン攻略のそれよりも少しだけセンセーショナルな扱いになっていた。それは、ペイトティクバは非常に古いダンジョンで、『攻略不可能』と言われていたダンジョンの一つだったからである。
比較的若いダンジョンであれば階層が浅いので攻略は容易い。だが、時間が経つほどにダンジョンは成長し、階層が増えていく。発見されずに長い時をかけて成長したダンジョンは、恐ろしく階層が深くなっている事があるのだ。ペイトティクバ(とリジオン)もそのようなダンジョンのひとつなのである。
単に階層が多いだけではない、長い時をかけて魔力を蓄えたダンジョンは、より危険な魔物を生み出すようになってしまうため、攻略が難しくなってしまうのだ。
ただし、ペイトティクバは少し特異なダンジョンでもあった。長く存在して熟れている非常に安定したダンジョンなのである。階層は多く最深部まで何階層あるのか判明していないのだが、浅階層にいきなり凶悪な魔物が出るという事はなく、階層ごとに段階的・順当に危険度が増していくのである。
そのため、上級者しか入場が許されないリジオンと違い、初級から上級まで幅の広い冒険者達が集まり、冒険者の街としてヴァレットは活気があった。
ヴァレットはペイトティクバと王都の間を塞ぐように作られており、ダンジョンから出てきた魔物が王都に魔物が行かないようにする役目を担っている。
王都の近くにダンジョンがあるというのは、王家としてはあまり好ましい状況ではない。攻略するか破壊してしまえば良いのだが、古いダンジョンで攻略不可能となると、王都をもっと安全な場所に移動するしか方法がなくなる。
ただ、ペイトティクバは『近い』というほど直近にあるわけではなく、さりとて絶対安全と言えるほど遠くもない。微妙な場所なのであった。そこで、ダンジョンを監視し防壁となる街を作り、共存するスタイルが十数代も前の時代に確立されたのである。
だが、そんなダンジョンが攻略されたという。
攻略不能と言われていたダンジョンが攻略された事はもちろんセンセーショナルだが、長い歴史のあった “バランス” が崩れる可能性があるという事も、有識者の間では静かに注目されたのである。
(※魔物と人とのバランスだけでなく、ダンジョンからの資源の供給がどうなるのか? またダンジョンの管理権を手にしたのは誰かによってはダンジョンを監視していた貴族家周辺のパワーバランス等も変わってくる可能性もあるのだ。)
まぁトニーにとってはそんな事はどうでもよかったのだが、少し気になる事があって詳しい情報を取り寄せた。
どうやら一人の人物によってダンジョンが踏破されたと言う事であった。そして、その人物はダンジョンを踏破したが破壊する事はせず、管理権限をヴァレット家に移譲したのだそうだ。
その人物は、ヴァレットの街の領主、ヴァレット家に縁のある人物だったらしい。
なるほど、それは納得出来る話である。この世界では、魔力の強い者が貴族となっている。そして、魔力が強い者ほど貴族社会の中でもより高い地位に居るのだ。つまり、最も高い戦闘力を持っているのは、最も地位の高い貴族という事になるからである。
そして、ヴァレット家と言えば、長く王家の剣として仕えてきた武に定評のある貴族家である。実力的にはもっと高い地位に就いていてもおかしくないと言われている一族なのだが、出世にはあまり興味がないため子爵のままとどまっているという噂である。そんな血筋から強力な戦士が現れ一人で偉業を成し遂げた、そんな事があっても不思議ではない。
ただ、トニーが気になったのは、その人物が不思議な武器を使っていたという一文である。
トニーの脳裏に “魔導銃” を使っていたクレイの事が蘇る。
そういえば、クレイはヴァレット家の人間であったはずである。クレイが生きていたとは思えないが……そういえば、あの魔導銃という武器を開発した時、実家である領主家にも納めたと言っていた気がする。
なるほど、ヴァレット家の誰かがそれを使ってダンジョン攻略に成功したという考えに至り、トニーは納得した。
確かクレイは魔力が少なかったのを魔道具で補っていたはず。そのために強力な武器(魔道具)を開発していたのだろう。だが、魔力が少なくて家を出されたクレイと違い、ヴァレット家に残っている者は皆強い魔力を持っているはず。そんなヴァレット家の人間がクレイの作った魔導銃を持てばオーガに金棒。おかげでダンジョン攻略に成功したと考えれば納得が行くわけである。
ちなみに、ダンジョンを踏破したその冒険者は冒険者ギルドから “ランクS” を認定されたそうだ。まぁ貴族ならば冒険者ランクは単なる肩書、(冒険者としての)積極的な活動はする気もないだろうから、関わりになる事もないだろう。
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