私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした

さこの

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家族(?)と会いました

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「あぁ、……わたしのマリー」

 女の人は泣きながら私を抱きしめてきた。ふんわりと優しい香りがした。突然のことで何が起きたか分からなかった。

 きょとんとするマリアベル。頭の中はハテナでいっぱいだ。


「マリー顔をよく見せておくれ」

 私のことをマリーと呼ぶ男の人も涙目になっていた。


「メアリー、気持ちは分かるがマリーから離れなさい。驚いているようだよ」


 男の人はメアリーと呼ばれた女の人の肩に手を置いた。


「そうね。ようやく私たちの娘が戻ってきたんだもの……」


 そっと離れて行くメアリー。


「ここがどこだか分かるかな?」

 男の人に尋ねられて頷いた。首都のロマーニ侯爵邸……


「そうか、名前はわかるよね?」

「マリアベル……」


「うん。そうだよ。マリアベル私は君のパパで彼女は君のママ。ずっとマリアベルを探していたんだ。生きていてくれてありがとう」

 わぁっ……とメアリーは泣き出してしまった。ポカンとするマリアベル。


「ずっと君を探していた。四年前に屋敷のメイドと庭師に裏切り者がいた……当時四歳のマリアベルを散歩に連れて行くと庭に出て誘拐犯に渡したんだ……四年間君のことを思わなかった日は一日たりともなかった」

 ギュッと手を握られた。その手は震えていた。

「急なことで無理はないが、私たちのことは覚えているかな?」

 ううん。と首を振る。


「そうか……残念だけど仕方が……ないね。一緒に暮らすうちに何か思い出せるかもしれない。お腹は減ってない?」

 うん。と頷く。


「マリー……会いたかった。生きていてくれてありがとう。これからはもう絶対に貴女のことを離さないわ」

 メアリーと言われる女の人は泣きながら私の頬に手を当ててきた。


「……わたしはいつお母さんのところに帰れますか?」




「「え?」」




「お母さんが待ってるから帰らないと……」

「? マリーのママは私よ?」


 わたしと同じ金色の髪の毛と緑の瞳の女の人。

「ううん。お母さん。一緒に住んでいたの」

 メイドに耳打ちされる侯爵。



「彼のことか……彼のことをお母さんと呼んでいたの?」

「うん。お母さんとお父さんとお兄さんと全部なの。マリアの家族になってくれたの」



「そうか……落ち着いたら彼にお礼を言いに行こう。マリー君の家はここなんだよ。マリーには兄もいるんだ。今日はもう遅いから明日紹介するよ」


「お母さんを呼んじゃだめなの? それならここはマリアのお家じゃないよ」

 そういうとメアリーはショックのあまり倒れてしまった。



「メアリー!! おい! すぐにドクターを呼んでくれ!」

 メアリーを抱きしめ、メイドに指示をする男の人。



「マリー、急な変化についていけないのはよくわかるよ。でも私のことはパパと呼んでくれるかい? 彼女のことはママと呼んで欲しい」


「……うん」

「良い子だね」


 頭を撫でるその手は優しいけれど、お母さんのごつい手と違う……お母さん元気にしてるかなぁ。

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