101 / 119
本当に本気で、心配しちゃいました! 1
しおりを挟む
私と盆子原さんはすぐに軽食屋さんから出ると、タクシーを拾って救急病院へと向かった。
「大丈夫なんですか!?」
「救急車で運ばれて、今は病院にいるようです。
詳しい事は向こうに行ってからでないと、わからないのですが…っ」
さっきの電話は、その救急病院かららしく。
救命士からの話によると、どうやら道路に飛び出した幼児を庇った慎吾くんが、代わりに車にはねられてしまったとの事なのだ。
さしあたり命に別状はないようだけど、頭を強く打ってしまったようなので、今検査をしているらしい。
事故現場では慎吾くんの荷物から保険証が見つかり、身元はすぐにわかったようだ。
だけど持っていたケータイは事故の関係で壊れてしまったらしく、盆子原さんへの連絡も少し遅れてしまったのだという。
「慎吾…っ」
タクシーの中で、盆子原さんが拳を握りながらフロントガラスの向こうを睨んだ。
そんな私も慎吾くんの容態が気になって、胸の奥がざわついている。
命に別状はないって言ってたんだもん。きっと大丈夫だよねっ
────慎吾くん!!
病院に着くと、すぐに看護師さんたちの案内で慎吾くんのいる集中治療室の方へと走った。
「慎吾は、無事なんですか?」
「これといった大きな外傷はありませんでした。
詳しくはドクターも今ICUにいますので、そちらから話を聞いて下さい」
大きな外傷はないと聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。
車にはねられたって聞いた時はどうしようかと思ったけれど、きっと奇跡的に軽傷で済んだんだよね。
あんなお父さん想いのステキな息子である慎吾くんだもん、神さまが助けてくれたんだよ!!
「慎吾っ」
案内された集中治療室のドアを開けると、中には白衣をまとった先生や看護師さんたち数名と、真っ白なシーツに包まれたベッドが見えた。
私はまっすぐにベッドの方へ向かう盆子原さんの後に付いて行き、そこに横たわっている彼の顔を見た。
「慎吾!」
(慎吾くん──っ)
「あー…オヤジ?」
意外にも頭に少し包帯を巻いている程度で、意識もはっきりしている慎吾くんは、ベッドの上で返事をした。
よかった!
本当に大丈夫だったんだ!
慎吾くんの顔を見てひとまず安心した盆子原さんは安堵のため息をつくと、改めて病院の先生に一礼して話を聞いた。
検査をした結果、擦り傷程度の軽傷で骨にも異常はなく、とりあえずは大事には至らなかったようだ。
ただ頭を打った痕があるので、しばらくは入院をして経過を見ていくらしい。
このまま何の症状もなければ、3日程度で退院もできると先生は仰ってくれた。
「オヤジは大げさだなぁ!
俺全然平気だよ」
「大袈裟って…慎吾っ!」
あまり刺激を与えず安静にしていれば問題ないとの事で、そのまま先生と看護師さんたちは静かに退室をした。
そこに残った私たちが3人だけになると、盆子原さんは慎吾くんと話し始めた。
「…だけど結果、無事だったようでよかった。
慎吾まで失ったらと思ったら、本当に…」
「オーバーだなぁ、オヤジは」
「……!」
そんな盆子原さんの言葉を聞いて、私はハッと思い出した。
そういえば盆子原さんの奥さんは、車にはねられて亡くなったんだっけ…。
「大丈夫なんですか!?」
「救急車で運ばれて、今は病院にいるようです。
詳しい事は向こうに行ってからでないと、わからないのですが…っ」
さっきの電話は、その救急病院かららしく。
救命士からの話によると、どうやら道路に飛び出した幼児を庇った慎吾くんが、代わりに車にはねられてしまったとの事なのだ。
さしあたり命に別状はないようだけど、頭を強く打ってしまったようなので、今検査をしているらしい。
事故現場では慎吾くんの荷物から保険証が見つかり、身元はすぐにわかったようだ。
だけど持っていたケータイは事故の関係で壊れてしまったらしく、盆子原さんへの連絡も少し遅れてしまったのだという。
「慎吾…っ」
タクシーの中で、盆子原さんが拳を握りながらフロントガラスの向こうを睨んだ。
そんな私も慎吾くんの容態が気になって、胸の奥がざわついている。
命に別状はないって言ってたんだもん。きっと大丈夫だよねっ
────慎吾くん!!
病院に着くと、すぐに看護師さんたちの案内で慎吾くんのいる集中治療室の方へと走った。
「慎吾は、無事なんですか?」
「これといった大きな外傷はありませんでした。
詳しくはドクターも今ICUにいますので、そちらから話を聞いて下さい」
大きな外傷はないと聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。
車にはねられたって聞いた時はどうしようかと思ったけれど、きっと奇跡的に軽傷で済んだんだよね。
あんなお父さん想いのステキな息子である慎吾くんだもん、神さまが助けてくれたんだよ!!
「慎吾っ」
案内された集中治療室のドアを開けると、中には白衣をまとった先生や看護師さんたち数名と、真っ白なシーツに包まれたベッドが見えた。
私はまっすぐにベッドの方へ向かう盆子原さんの後に付いて行き、そこに横たわっている彼の顔を見た。
「慎吾!」
(慎吾くん──っ)
「あー…オヤジ?」
意外にも頭に少し包帯を巻いている程度で、意識もはっきりしている慎吾くんは、ベッドの上で返事をした。
よかった!
本当に大丈夫だったんだ!
慎吾くんの顔を見てひとまず安心した盆子原さんは安堵のため息をつくと、改めて病院の先生に一礼して話を聞いた。
検査をした結果、擦り傷程度の軽傷で骨にも異常はなく、とりあえずは大事には至らなかったようだ。
ただ頭を打った痕があるので、しばらくは入院をして経過を見ていくらしい。
このまま何の症状もなければ、3日程度で退院もできると先生は仰ってくれた。
「オヤジは大げさだなぁ!
俺全然平気だよ」
「大袈裟って…慎吾っ!」
あまり刺激を与えず安静にしていれば問題ないとの事で、そのまま先生と看護師さんたちは静かに退室をした。
そこに残った私たちが3人だけになると、盆子原さんは慎吾くんと話し始めた。
「…だけど結果、無事だったようでよかった。
慎吾まで失ったらと思ったら、本当に…」
「オーバーだなぁ、オヤジは」
「……!」
そんな盆子原さんの言葉を聞いて、私はハッと思い出した。
そういえば盆子原さんの奥さんは、車にはねられて亡くなったんだっけ…。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
3億円の強盗犯と人質の私⁉(ラブサスペンス)
むらさ樹
恋愛
私…誘拐されちゃった!?
春うらら
明日から社会人1年生になるってのに、まさか銀行強盗の人質になり、更には誘拐までされてしまうなんて!
でも私にとってのまさかは、人質になってしまう事なんかじゃなかった
人質になったからこそ出会えた
誘拐されたからこそ惹かれた
そんな銀行強盗兼誘拐犯な、彼
そして、私
でもこれから
一体どうなるの…?
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編
タニマリ
恋愛
野獣のような男と付き合い始めてから早5年。そんな彼からプロポーズをされ同棲生活を始めた。
私の仕事が忙しくて結婚式と入籍は保留になっていたのだが……
予定にはなかった大問題が起こってしまった。
本作品はシリーズの第二弾の作品ですが、この作品だけでもお読み頂けます。
15分あれば読めると思います。
この作品の続編あります♪
『ヤリたい男ヤラない女〜デキちゃった編』
俺の妖精すぎるおっとり妻から離縁を求められ、戦場でも止まらなかった心臓が止まるかと思った。何を言われても別れたくはないんだが?
イセヤ レキ
恋愛
「離縁致しましょう」
私の幸せな世界は、妻の言い放ったたった一言で、凍りついたのを感じた──。
最愛の妻から離縁を突きつけられ、最終的に無事に回避することが出来た、英雄の独白。
全6話、完結済。
リクエストにお応えした作品です。
単体でも読めると思いますが、
①【私の愛しい娘が、自分は悪役令嬢だと言っております。私の呪詛を恋敵に使って断罪されるらしいのですが、同じ失敗を犯すつもりはございませんよ?】
母主人公
※ノベルアンソロジー掲載の為、アルファポリス様からは引き下げております。
②【私は、お母様の能力を使って人の恋路を邪魔する悪役令嬢のようです。けれども断罪回避を目指すので、ヒーローに近付くつもりは微塵もございませんよ?】
娘主人公
を先にお読み頂くと世界観に理解が深まるかと思います。
紫に抱かれたくて
むらさ樹
恋愛
キスやセックスはお金で買えるのに
でも心は、お金じゃ買えないの?
あたしを夢中にさせる
あなたの心は
気分転換で行ったホストクラブで、たまたま出会ったこの店のオーナー
名前は…
紫苑
知っている事はそれだけ
なのに、あたしの心は
いつの間にか、彼だけのものになっていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる