交際マイナス一日婚⁉ 〜ほとぼりが冷めたら離婚するはずなのに、鬼上司な夫に無自覚で溺愛されていたようです〜

朝永ゆうり

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第六章

聖なる夜に結ばれて①

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 自宅へ向かっていると思っていた車は、なぜか途中から自宅とは反対方向へ向かう。

 日はすっかり西に沈んでいる。
 どこへ向かうのだろうとキョトンとしていると、悠互さんは高層な高級ホテルの前で車を止めた。

 思わず目をしばたたかせる。
 すると、悠互さんはそんな私に、優しいキスをひとつ落とした。

「全て終わったんだ。だから、杷留とこのホテルで過ごしたい」

 クスリと笑う彼に翻弄されていると、先に車を降りていた悠互さんが助手席の扉を開けた。
 降りる時からエスコートしてくれた悠互さんは、バレーサービスに車を預けてホテルの中へと向かう。

 最上階のレストランで食事を楽しんだ後、悠互さんは階下の最高ランクの部屋に私を連れてきてくれた。

「すごい……」

 部屋の広さもさることながら、私は目の前に広がる東京の夜景に心を奪われた。
 夢中になって窓の外を見下ろしていると、悠互さんが背後にやってきた。

「杷留」

 名前を呼ばれ、振り返る。
 悠互さんは愛おしそうに私を眺め、後ろ手に持っていた細長い箱を私に差し出した。

「メリークリスマス」

 悠互さんはそう言うと、箱の蓋を外す。

 箱の中に収められていたのは、シルバーのネックレスだった。
 トップについている三日月のモチーフが可愛らしく、その中央にはダイヤモンドが輝いている。

「いいんですか?」
「ああ。杷留に似合うと思って選んだんだ」

 そう言うと、彼は箱からネックレスを外して私の首元に回した。

「ネックレスを贈るのは、永遠に共にいたいという意味があるらしい。月のモチーフは、持ち主の魅力を引き出すと言われているらしいが……これ以上、杷留が魅力的になってしまったら困るな」

 悠互さんはそう言うと、くすりと笑って私の耳を食む。

「あ……」

 久しぶりの感覚に、あられもない声が漏れてしまった。
 悠互さんはそのまま、私の唇に自分の唇を押し付ける。

「ちょっと、待ってください」

 思わず、彼を止めてしまった。
 私からも、彼にプレゼントがある。

 急いで鞄から小箱を取り出し、彼に差し出した。

 悠互さんがしてくれたように、私も彼の前でその蓋を開ける。

「これは、ネクタイピン?」
「はい。小さくて見づらいかもしれないですけど、ヒエログリフが彫られているんです。悠互さん、ルーブル美術館でヒエログリフのモチーフのペンを買ってましたから」

 悠互さんは一瞬キョトンとして、それからくすくすと笑い出した。

「ああ、あれか。あれは、そこに描かれていた猫が杷留に似ていると思って買ったんだ」
「え⁉」

 思わず大きな声を出してしまう。
 だけど、悠互さんは余裕そうに笑って、それから私の頭を撫でた。

 私は一度咳ばらいをして、それから悠互さんに向き直る。

「ネクタイピンを贈る意味は、あなたを支えたい。これからも、悠互さんの隣で、悠互さんと共に生きていきたいと思っています」

 そう言うと、悠互さんは目をしばたたかせた。
 それから、大きなため息を零す。でも、その顔は嬉しそうだ。

「ありがとう。そんなことを言われたら、たまらないな」

 悠互さんは私の手から箱を取り去り、そのまま私を抱きしめた。

 優しく背に回された彼の手が、ぴりりと熱い。
 ドキドキしたまま彼を見つめていると、悠互さんは妖艶に微笑んだ。

「もう少し、大人ぶるつもりだったが……もう、余裕がない」

 悠互さんはそう言うと、今度こそといわんばかりに私に口づけを落とす。
 それはついばむように何度も私の唇を包み込み、やがてもっと味わいたいというように舌を口の中に侵入させる。

「ふあ……」

 口を開き、彼の舌と自分のそれを絡める。

 それだけでこんなに満たされるのは、私たちが心を通わせた夫婦だからだ。
 私たちを阻むものは、もうなにもない。

 悠互さんの手は私の背を這うように動く。
 求められている感覚に体が疼き、思わず腰をくねらせた。

「約束通り、杷留のことをたっぷりと愛させてほしい」

 唇を離した悠互さんは、私の耳元でそう囁く。
 ぞくりとする快感が体を突き抜ける。
 私はたまらず、彼の唇を奪った。

「私も、悠互さんに愛して欲しいです」
「ああ」

 悠互さんはそう言うと、私の耳たぶを軽く食む。
 そのまま彼の唇は首筋を這い、いつの間にか解かれていたリボンタイを鼻で退けると鎖骨の辺りにちゅっと吸い付く。

 ピリリとした刺激が肌を襲う。
 唇を離されたその場所には、しっかりと赤い痕が残っていた。

 彼はクスリと笑うと、その痕を愛おしそうに指でなぞる。

「私も、したいです」

 ぽつりとこぼすと、悠互さんは着ていたシャツのボタンをぷつりと二つ開ける。

「付けて?」

 彼は胸元を開くと、甘い笑みで乞う。
 初めてで上手くできるか分からないけれど、彼の真似をして胸元にちゅっと吸い付いた。

 鍛えられた彼の胸筋に、くっきりと赤い痕が残る。
 恥ずかしさと嬉しさが混じってできた熱は、私の体全身を巡ってゆく。

「嬉しいよ、杷留」

 さらりと頭を撫でられ、そのままその手は私の体のラインを這うように下ろされる。
 やがて彼の手は私のワンピースのボタンをひとつずつ、丁寧に外した。

「キス、して」

 悠互さんの声に顔を上げ、彼の唇をついばむ。
 すると彼の手はボタンを外すのをお腹の辺りでやめ、右手を私の肌に滑り込ませた。
 背中のホックを外し、その手は私の膨らみを優しく包む。

 与えられる優しい刺激と、甘い空気にふらついてしまうけれど、彼の左手が私の腰をしっかりと抱えてくれた。

 それにすっかり安心し、彼のキスと愛撫に酔いしれる。
 すると突然、彼の右手が先端の突起を弄り始めた。
 硬くなったそこをつまみ、執拗に指先でころころと転がしてくる。

「そんなの、ダメ……」

 初めて与えられる快感に思わずそう零す。
 すると、彼の指は先端をはじいて離れた。

「ああ……っ!」
「可愛いよ、すごく」

 悠互さんはそう言って、乱れた私を持ち上げた。

 寝室の扉を開け、中に入る。
 薄暗い部屋の中で、悠互さんがゆっくりと私をベッドの縁に下ろす。
 自身もその隣に腰かけると、彼はくすりと笑った。

「たくさん動いても、平気そうだな」

 用意されていたベッドはキングサイズで、確かにパリで寝たものよりも大きい。
 私はその言葉に、これから起こる事態を想像してしまう。

 今夜はどれだけ、彼に愛されてしまうのだろう。

「今日は、俺にさせてくれよ」

 悠互さんはそう言うと、私のワンピースを取り去る。
 タイツも下着も取り去ると、自身の服も脱ぎ捨て、彼は私を優しくベッドに押し倒した。
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