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第二章

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 夜の恐ろしさ、しかも、こんな、のっぱらの、ど真ん中で一晩過ごすのだ。怖くて仕方がないのだろう。
「大丈夫、私が守るよ」
「ハハ、情けないっすね、俺、申し訳ないっす」
「まぁ、そう思うのなら、強くなれるよ」
 私は立ち上がって、ニールの背中をバンと叩く。
「ありがとうっす」
 相変わらず、少し震えているニールは、強がりなんだろうけど、ニッコリと満面の笑みを浮かべた。
「食べ終わったのなら、もう休んでくだされ」
 ドレグのその言葉に私は従って、馬車に乗り込む。何もする事がないし、おとなしくしていよう。あとからついてきた、シルクとエネリーが一緒に馬車に乗り込む。馬車のテントをシルクが閉め、いつの間にか持っていたランプを置く。焚火の火を移したのか、小さく火が揺れている。
「私なんかがすみません」
 エネリーが申し訳なさそうにする。
「そんなの気にしない」
「そうですよ」
 シルクも私に同意する様に言った。エネリーが「ありがとうございます」と微笑む。
「それより、女子会を開始するよ」
 私は待ちきれない様にそう宣言した。当然、シルクは怪訝な顔をして、エネリーはポカンとした顔をする。
「なんですか?」
 シルクが確認する様に、問い返してきた。やっぱり、女子会を知らなかったか。私も存在しか知らない。けど、一度やってみたかったのだ。とは言っても、説明を求められると、どうやって言えばいいかわからない。少し考えつつ、私は答える。
「女子だけで集まって、おしゃべりする会だよ」
 たぶん、そんな物だろう。男子の前では喋れない話をする会。恋愛話が主ではなかろうか。誰が好き、誰と誰が付き合ってるとか。
「そうですか」
 シルクが呆れたような声。私は気にせず、続ける。
「じゃあ、まずは……エネリー」
 指名されたエネリーは「はい!」と少し驚きながら、返事をする。
「好きな人とか、付き合ってる人いるの?」
 とても興味津々で私は聞いた。兵隊の中は、女性が少ないか、エネリー、一人だろう。つまり、エネリー争奪戦になっているはず。恋愛イベントの一つや二つあるだろう。
「えぇっ……付き合ってる人はいませんよ……好きな人は……」
 口ごもるエネリー。これはいるという事か。私はニヤニヤしながら、続きを待つ。シルクも何気に、興味津々の表情だった。
「隊の中では、なくてですね」
 赤くなったエネリーが一度、言葉を止めて、もごもごとした。
「なんですか?」
 たまらず、シルクがそう聞き返す。呆れた表情をしてた割には、ノリノリだな。
「……クロエ様です」
 それだけ言うと、エネリーは両手で顔を覆う。真っ赤になっているのが分かる。どちらかというと、憧れに近い気がするけど。ただ、言いたい事も分かる。クロエはイケメン系女子だ。
「……シルクさんはどうなんですか?」
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