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第二章

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 エネリーが反撃するかのように聞いた。
 私はエネリーを、心の中で賞賛した。シルクが顔を真っ赤にする所を、見てみたいと思っていたところだ。私は今か今かと、シルクの言葉を待つ。
「私は……特に」
 シルクは本当に、わからないという感じの顔で、そう言った。なんという事だ。とぼけてる感じはしないし、本当に恋愛に関して、疎いのかもしれない。そんな気はしていたけど。
「ちょっと、良いなって思う人とか!」
 私は、一応突っ込んでみる。シルクは考える素振りをしつつ、答えた。
「クロエ様?」
 いや、聞かれても。私はエネリーと顔を見合わせ、これはダメだなという空気を、共有する。
「じゃあ、リコ様は?」
 エネリーの矛先が私に向かいだした。当然の流れだけど、ちょっと動揺してしまう。
「いや……私はこの世界に来たばっかりで」
「前の世界の事で構いませんよ」
 シルクがエネリーを援護射撃する。興味ないのか、あるのかどっちなんだシルクは。
「むぐ……えぇっと、あのー」
 口ごもってしまう。恋愛話って、予想以上に恥ずかしい。顔が熱くなるのを感じる。少し汗ばんでいる気もする。
「じゃあ、お付き合いしていた方はいますか?」
 興味津々に目を輝かせて、エネリーがぐいぐいと迫ってくる。さっきまで、可愛く顔を赤くしていた娘は、どこへ行った。
「つっ、つきぁっ、付き合ってた方?」
 答えに迷う私。見栄を張る選択にするべきか、素直に伝えるべきか。実際は、誰かと付き合ったことなど、一度もない。
「……いない」
 ここで、見栄を張る意味もないから、素直に伝える事にする。
「剣の稽古ばっかりで、そんな事する余裕がなかったよ」
 エネリーは残念という表情をすると、すぐさま、目を輝かせ始める。なんだこの娘は、恋バナ大好きか。
「好きな人は、いたんですよね?」
 エネリーが放った言葉に、私は少したじろぐ。一瞬、頭を過った記憶があった。私は顔が熱くなる。絶対、顔が真っ赤になっている気がする。
「真っ赤ですね、好きな人いたのですね」
 シルクまでもが、興味津々で迫ってくる。エネリーとシルク、二人に迫られて、私はあわあわと、慌てふためく。
「言うまで終わらせませんよ」
 にんまりと、意地悪な笑みを浮かべるエネリー。Sなのか、自分の好きな人を、発表させられた、仕返しのつもりなのか。
「……いた」
 最大級の恥ずかしさが襲ってくる。私は思わず、両手で顔を覆う。
「続きは?」
 シルクが容赦なく、続きを要求してきた。
「そうですよ、どういう事があったのか、話せることがあるでしょう」
 エネリーも続きを要求してくる。二人とも話さないと、許してくれそうにない。私は観念して、口を開いた。
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