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Touched on the past ⑰

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 しばらく会話もせず2人で水面を眺め続けていたが、やがて水面を見つめたまま晃良は口を開いた。

「なあ……」
「……ん?」
「俺とお前……どういう関係だったんだ?」
「……なんか聞いた?」
「……ただの友達とは違ったってのはわかった」
「そうか……」
「教えてくれるか?」
「……教えても……信じられないよ。きっと」
「…………」
「だから、言いたくなかった。俺からは。アキちゃんが思い出してくれなかったら、俺がいくら話してもそれはアキちゃんにとっては事実にはならないから。誰かの思い出話を聞くのと一緒だから」
「だけど……知りたい」

 晃良は顔を上げて、黒埼へと顔を向けた。

「黒埼と何があったのか、知りたい」
「…………」
「お前は確かに我儘わがままで変態だけど。でも、いい加減なことは言わないって思ってる」

 見つめ合いながらお互い何も言わずに時間が過ぎていった。黒埼の目に葛藤の色が見えた。言おうか言わまいか。もし今、黒埼が全て話してくれたら。晃良はそれを疑うことはしないだろう。少ししか黒埼と過ごしてはいないけれど。振り回されてうんざりだけれど。晃良に対してはいつも正直で真っ直ぐだった黒埼を疑う理由もない。

 晃良の脳裏に、昨晩一瞬だけよみがえった幼い頃の黒埼が浮かんだ。あの切なく自分を呼ぶ声は、2人の関係を裏付けるには十分だった。自分はいつもあんな風に愛情の籠もった声で呼ばれていたのだろうか。

 どれくらい時間が経ったのか曖昧になってきた頃。

 見つめ合ったまま、黒埼がゆっくりと口を開いた。
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