君のナミダに渇くカラダ

あーむす。

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25.それは、毎日。毎日。

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そこから俺たちの奇妙な関係が始まった。

里佳は嫌なこと、辛いことがあると俺の前で泣くようになった。

俺はそれをただひたすら食べた。

正直、里佳が泣くと嬉しかった。
苦しい渇きから逃れられるから。

でも、それは異常なほど、日に日にエスカレートしていった。

里佳は大したことがなくても泣くようになった。

それは、毎日、毎日。ひたすら毎日。

次第に、俺は壊れたかのように、ひたすら泣き続けるのを見るのが辛くて、楽にしてやるために涙を食べるようになった。

これ以上無理だ、食べられない…そう言うと、彼女は狂ったように泣き出した。

ーはやく、はやく、こわい、つらい…

俺は精神病院に彼女を連れていくことにした。
これ以上どうしていいか俺には分からなかった。

しかし、なにかの中毒に似たような症状がでていることはわかったが、原因は不明とされた。

それはそうだ。未知なるものへの中毒なのだから。

ひとしきり検査も落ち着いた里佳は、病室で俺に言った。

「…ごめんね。私、1人でこっちにきたの、正直辛かったの。
仁が変わっちゃってたってことも。
…私が勝手に追っかけてきたのにね。
なんか、いろんなものから逃げたくて、逃げたくて…
こんなして、仁のこと利用するみたいになっちゃって…」

ごめん、里佳、ごめん…

そう言いながらその頭を撫でることしか俺にはできなかった。

今まで、俺ができていた彼女の悲しみを拭う方法は、彼女を苦しめる毒とかしていたようだった。

自分の力のことをよく考えずに、彼女を自分の餌としてしまっていたのだ。

医者が、原因究明のために精密検査すると言ったので、ひとまず俺は家に帰った。




次の日、病室から里佳は消えた。










「ここからあとは、この間偶然再会したって感じだ。」

そう言って、彼は少し遠くを見た。

「…彼女は今まで何処に…」

私がぼそりと呟くと、

「おそらく村の者が連れて帰ったんだと思う。
…あんまり考えないようにしてたけど、俺は今までもずっと見張られていたのかもしれないな。」

自然と身体が身震いした。
他のことは私は本当に理解してあげることはできないけど、その恐怖だけは身にしみて知っていたからだ。

「…大丈夫です、味方はいます。」

どうにかして安心させたかったけど、気の利いた言葉なんて出てこなかった。
だから、せめて私があなたにできることを伝える。

すると、彼は少しだけ笑ってくれた。

「…そうだな。人に話すだけで楽になる。
能力で解決するんじゃなくて、もっとこうやって向かい合えば助けられたんだろな。
…しかし、なんでまた里佳は俺の前に…」

眉間に皺を寄せて考え込み出した彼の横顔を見る。

村からの指令、あの時の仕返し、異分子の観察…

彼は今、頭の中でどんなに辛い可能性を探っているんだろう。

仲の良かった幼馴染みであり、昔の彼女との再会に、なんで単純に喜ぶことすらできないんだろう。

人でないだけで、みんなと違うだけで、こんなに苦しまされるのだ。

私は、彼に良くないことが起きませんように、と心から祈った。
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