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本編
薬が出来るまで
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ホロホロの採取が無事に終了した翌日の朝。いつもの如く三巳の様子を見に来たオーウェンギルド長が、城門跡地前であんぐり大口を開けていました。
「こいつぁ、いったい……」
「およー?おはようなんだよ」
そこへトットコトコトコとやって来たのは大きなザルを抱えた三巳でした。ザルの上には沢山の乾燥された植物が乗っていて、三巳の視界を塞いでいます。三巳は匂いで察知したのです。
横を向いてやっとこ顔を見せた三巳に、オーウェンギルド長はツカツカと詰め寄りました。
「どおいう事だ獣神どうなってやがる説明しやがれ」
「お?お?お?」
余りの剣幕に三巳はカニさんの様に横ステップで遠去かります。しかしログハウスのウッドデッキに当たってそれ以上行けなくなりました。
「逃げんな獣神」
そこへすかさずオーウェンギルド長が両手を突き伸ばしました。
ドン!
と良い音立ててウッドデッキに手を当て両サイドを塞ぎます。ログハウス故にデッキの位置が高かったのが三巳には災いしました。
「お、おぉ。これが噂の壁ドンなんだよ?」
などと現実逃避する位には、オーウェンギルド長の眉間の皺とピクピクさせてるコメカミが怖いです。
「アレは何だ!何故あんなに大量の幻の花が干されてやがる!」
ビシー!っと横を指した先には、庭一面に吊るされたホロホロの枝葉達が有りました。
「花は別加工だから有るのは下部分だけなんだよ」
「言いてぇ事は一緒だボケ!葉だろうが花だろうが、そもそもあんなに大量のホロホロなんざお目にかかれねぇんだよ!」
「おおぅ?そうなのか?割と群生してるぞ?」
「してたら俺達は苦労してねぇ!!」
「どうしたの?」
大声で喚くオーウェンギルド長に、リリ達が何だ何だとやって来ました。
「姫さんならわかるよな。ホロホロが如何に手に入り難いか」
「ああ、そういう事ね。
ホロホロは悪意を嫌うらしいの。だから人の行き来の多い場所は咲き辛いみたい。でも三巳の山は結界で守られてるから大きな群生地が有るのよ」
リリの説明を受けたオーウェンギルド長は、愕然としました。ギャグ漫画だったなら顎が外れていた位にビックリです。
「成る程な……。迷いの森にそんな秘密が有ったのか」
「三巳は忙しいの嫌いだから他のみんなには内緒な」
「わーってら。つぅかそんな場所おいそれと吹聴出来ねぇよ。
ってかそれなら俺に話ちまって良かったのか?」
「オーウェンギルド長はもう友達だから大丈夫なんだよ」
「ともっ……」
あっけらかんとした物言いに、神族から友人宣言されたオーウェンギルド長は、今迄警戒してたのが馬鹿らしくなりました。ちょっぴし耳朶を赤くして照れています。
「あー!もう!わーったよっ、なら群生地の場所は聞かないどく。どこで漏れるかわからんからな」
「バレたところで悪意を持って近付けば枯れるだけだけどな」
「だからだよ。今のリファラには出来るだけ多くの花が必要だろう」
広い視野を持った発言に、三巳は舌を巻きました。
相変わらず今日が楽しければそれで良い神生なので、先を見据えられるオーウェンギルド長に尊敬の眼差しを向けています。
「凄いんだよっ、流石なんだよっ」
「手前ぇがのんべんだらりなだけだろが……」
ブンブカ尻尾を振りまくる三巳に脱力したオーウェンギルド長なのでした。
兎にも角にもそんな訳で存在を守られる事になったホロホロと、リファラで唯一の万能薬を作れるリリの活躍により、ここから数年間で飛躍的にリファラの復興……いえ、新しいリファラの国の形が出来上がっていくのでした。
「こいつぁ、いったい……」
「およー?おはようなんだよ」
そこへトットコトコトコとやって来たのは大きなザルを抱えた三巳でした。ザルの上には沢山の乾燥された植物が乗っていて、三巳の視界を塞いでいます。三巳は匂いで察知したのです。
横を向いてやっとこ顔を見せた三巳に、オーウェンギルド長はツカツカと詰め寄りました。
「どおいう事だ獣神どうなってやがる説明しやがれ」
「お?お?お?」
余りの剣幕に三巳はカニさんの様に横ステップで遠去かります。しかしログハウスのウッドデッキに当たってそれ以上行けなくなりました。
「逃げんな獣神」
そこへすかさずオーウェンギルド長が両手を突き伸ばしました。
ドン!
と良い音立ててウッドデッキに手を当て両サイドを塞ぎます。ログハウス故にデッキの位置が高かったのが三巳には災いしました。
「お、おぉ。これが噂の壁ドンなんだよ?」
などと現実逃避する位には、オーウェンギルド長の眉間の皺とピクピクさせてるコメカミが怖いです。
「アレは何だ!何故あんなに大量の幻の花が干されてやがる!」
ビシー!っと横を指した先には、庭一面に吊るされたホロホロの枝葉達が有りました。
「花は別加工だから有るのは下部分だけなんだよ」
「言いてぇ事は一緒だボケ!葉だろうが花だろうが、そもそもあんなに大量のホロホロなんざお目にかかれねぇんだよ!」
「おおぅ?そうなのか?割と群生してるぞ?」
「してたら俺達は苦労してねぇ!!」
「どうしたの?」
大声で喚くオーウェンギルド長に、リリ達が何だ何だとやって来ました。
「姫さんならわかるよな。ホロホロが如何に手に入り難いか」
「ああ、そういう事ね。
ホロホロは悪意を嫌うらしいの。だから人の行き来の多い場所は咲き辛いみたい。でも三巳の山は結界で守られてるから大きな群生地が有るのよ」
リリの説明を受けたオーウェンギルド長は、愕然としました。ギャグ漫画だったなら顎が外れていた位にビックリです。
「成る程な……。迷いの森にそんな秘密が有ったのか」
「三巳は忙しいの嫌いだから他のみんなには内緒な」
「わーってら。つぅかそんな場所おいそれと吹聴出来ねぇよ。
ってかそれなら俺に話ちまって良かったのか?」
「オーウェンギルド長はもう友達だから大丈夫なんだよ」
「ともっ……」
あっけらかんとした物言いに、神族から友人宣言されたオーウェンギルド長は、今迄警戒してたのが馬鹿らしくなりました。ちょっぴし耳朶を赤くして照れています。
「あー!もう!わーったよっ、なら群生地の場所は聞かないどく。どこで漏れるかわからんからな」
「バレたところで悪意を持って近付けば枯れるだけだけどな」
「だからだよ。今のリファラには出来るだけ多くの花が必要だろう」
広い視野を持った発言に、三巳は舌を巻きました。
相変わらず今日が楽しければそれで良い神生なので、先を見据えられるオーウェンギルド長に尊敬の眼差しを向けています。
「凄いんだよっ、流石なんだよっ」
「手前ぇがのんべんだらりなだけだろが……」
ブンブカ尻尾を振りまくる三巳に脱力したオーウェンギルド長なのでした。
兎にも角にもそんな訳で存在を守られる事になったホロホロと、リファラで唯一の万能薬を作れるリリの活躍により、ここから数年間で飛躍的にリファラの復興……いえ、新しいリファラの国の形が出来上がっていくのでした。
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