160 / 329
本編
月日は流れて
しおりを挟む
それから月日が流れました。
一部なオーウェンギルド長の懸念も虚しく、散り散りに逃げ延びていたライドゥーラの元民達はすんなりリファラに移民が完了していました。懐が広く、人類どころか会話が成立すれば皆兄弟なリファラの民にとって、生きるのにやっとな姿の方が悲しかったのです。
リファラも増えた人口の力で復興が終わっています。なんならもう既に新しい国として成り立っています。
リリもロダも日本ならば高校生な歳になりました。すっかりスラリと伸びた身長は、もう大人と遜色ありません。
「なんでだ……。何で何だよ……」
ただ、その2人の間に立って、三巳だけがどよんと肩を落としていました。
「ええっと、あのね」
一段と高くなったロダを見上げ、困った様に視線を合わせたリリ。今度はその視線を下げ、項垂れる三巳のつむじを見ました。
「ほら、大人でも低い人はいるし」
リリはオロオロとしながらフォローを入れました。
そうです。月日が流れ、リファラとライドゥーラの人々の心の機微に触れながら、社会というものを改めて学んだ三巳でしたが、何という事でしょう。
三巳は、背が伸びなかったのです。
「ち、チビっとは伸びてるぞ!?」
城の跡地の一角に建てられたログハウスの大黒柱には、3人の成長の軌跡が横線で描かれていました。
その中でも群を抜いて伸びてるのはロダです。
その次に伸びてるのはリリです。
そのリリの最新の記録から遥か下に三巳の記録がほんの2ミリ更新されていました。
居た堪れない三巳はなんだかちょっぴり涙目です。
「うーん。三巳の場合見た目の成長は心の成長に直結してるんだよね?」
ロダに言われてズガーンと雷が刺さります。
「そ、それは……。三巳が大人になれてないって事なのか……?」
三巳はショックでフルフル震えてロダを見上げます。
その姿が雨に打たれるワンコを連想して、リリは可哀想になって抱き付きヨシヨシ頭を撫でました。
「そんな事ないわっ。三巳がいっぱい助けてくれてた事、ちゃんと見てたものっ」
お目々をウルウルさせて、でも撫でまくる手は止まる事なく、リリが力強く断言してくれます。
そうして3人は今日までの大まかな出来事を脳裏に浮かべました。
戦々恐々やって来た元ライドゥーラの民達。説得済みの、棘が抜けた人々は皆やさぐれではいても争う姿勢は見せませんでした。そんなすべからく疲れた心の人達は、モフモフの魅力がダイレクトアタックされ、モフモフファンクラブを結成し、三巳を甘やかしに甘やかす事になったのでした。
「うん。まあ。三巳は良い仕事したんじゃないかな?」
ロダは一つ頷くと男前になった笑顔でポンと三巳の肩を叩きました。
「そうね。心の成長の先は人それぞれだもの。三巳はモフみに全振りしたんじゃないかしら」
リリは綺麗な女性の笑みをたたえて、随分と下になった三巳の頭をモフリモフリと撫でました。
「そうかな?そうなのかな?三巳ちゃんと成長してるのかな?」
『大丈夫!オーウェンギルドチョーも小さい!きっと三巳もそうだぞ!』
涙ちょちょ切れそうな三巳に、ネルビーがフォローになっていないフォローをしました。
三巳はちょっぴしちょちょ切れました。
「ありがとうなーネルビー」
美女母も父も普通の身長なので、遺伝的には大きくなっても良いのではないかと思いましたが、お礼だけは言いました。
「うーにゅ。嘆いていても始まらないんだよ。取り敢えず三巳が大人になったか聞いてみるんだよ」
散々落ち込んだ三巳でしたが、開き直りと立ち直りの早さは一級品です。気を取り直して耳を元気よくピンと上げました。
「あてはあるの?」
「あてというか」
問われた三巳は、ニンと笑って答えます。
「帰って母ちゃんに聞いてみるんだよ」
一部なオーウェンギルド長の懸念も虚しく、散り散りに逃げ延びていたライドゥーラの元民達はすんなりリファラに移民が完了していました。懐が広く、人類どころか会話が成立すれば皆兄弟なリファラの民にとって、生きるのにやっとな姿の方が悲しかったのです。
リファラも増えた人口の力で復興が終わっています。なんならもう既に新しい国として成り立っています。
リリもロダも日本ならば高校生な歳になりました。すっかりスラリと伸びた身長は、もう大人と遜色ありません。
「なんでだ……。何で何だよ……」
ただ、その2人の間に立って、三巳だけがどよんと肩を落としていました。
「ええっと、あのね」
一段と高くなったロダを見上げ、困った様に視線を合わせたリリ。今度はその視線を下げ、項垂れる三巳のつむじを見ました。
「ほら、大人でも低い人はいるし」
リリはオロオロとしながらフォローを入れました。
そうです。月日が流れ、リファラとライドゥーラの人々の心の機微に触れながら、社会というものを改めて学んだ三巳でしたが、何という事でしょう。
三巳は、背が伸びなかったのです。
「ち、チビっとは伸びてるぞ!?」
城の跡地の一角に建てられたログハウスの大黒柱には、3人の成長の軌跡が横線で描かれていました。
その中でも群を抜いて伸びてるのはロダです。
その次に伸びてるのはリリです。
そのリリの最新の記録から遥か下に三巳の記録がほんの2ミリ更新されていました。
居た堪れない三巳はなんだかちょっぴり涙目です。
「うーん。三巳の場合見た目の成長は心の成長に直結してるんだよね?」
ロダに言われてズガーンと雷が刺さります。
「そ、それは……。三巳が大人になれてないって事なのか……?」
三巳はショックでフルフル震えてロダを見上げます。
その姿が雨に打たれるワンコを連想して、リリは可哀想になって抱き付きヨシヨシ頭を撫でました。
「そんな事ないわっ。三巳がいっぱい助けてくれてた事、ちゃんと見てたものっ」
お目々をウルウルさせて、でも撫でまくる手は止まる事なく、リリが力強く断言してくれます。
そうして3人は今日までの大まかな出来事を脳裏に浮かべました。
戦々恐々やって来た元ライドゥーラの民達。説得済みの、棘が抜けた人々は皆やさぐれではいても争う姿勢は見せませんでした。そんなすべからく疲れた心の人達は、モフモフの魅力がダイレクトアタックされ、モフモフファンクラブを結成し、三巳を甘やかしに甘やかす事になったのでした。
「うん。まあ。三巳は良い仕事したんじゃないかな?」
ロダは一つ頷くと男前になった笑顔でポンと三巳の肩を叩きました。
「そうね。心の成長の先は人それぞれだもの。三巳はモフみに全振りしたんじゃないかしら」
リリは綺麗な女性の笑みをたたえて、随分と下になった三巳の頭をモフリモフリと撫でました。
「そうかな?そうなのかな?三巳ちゃんと成長してるのかな?」
『大丈夫!オーウェンギルドチョーも小さい!きっと三巳もそうだぞ!』
涙ちょちょ切れそうな三巳に、ネルビーがフォローになっていないフォローをしました。
三巳はちょっぴしちょちょ切れました。
「ありがとうなーネルビー」
美女母も父も普通の身長なので、遺伝的には大きくなっても良いのではないかと思いましたが、お礼だけは言いました。
「うーにゅ。嘆いていても始まらないんだよ。取り敢えず三巳が大人になったか聞いてみるんだよ」
散々落ち込んだ三巳でしたが、開き直りと立ち直りの早さは一級品です。気を取り直して耳を元気よくピンと上げました。
「あてはあるの?」
「あてというか」
問われた三巳は、ニンと笑って答えます。
「帰って母ちゃんに聞いてみるんだよ」
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
110
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる