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王様リセマラ
王様リセマラ 第三話
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魔王にとどめを刺したものに与えられる称号が勇者だという。
栄誉ある称号を頂けるというのは大変光栄なことではあるのだが、俺は最後の一撃をたまたま入れただけなんで実感は全くない。
「このようなみすぼらしい男が本当に魔王を倒したというのか。全く信じられないものだな」
そのような声はそこかしこから聞こえてきてはいるのだが、俺は一人だけ普段着のままなのでそう思われても仕方がない。
何故かみんなは戦いやすい服装であったり自分の特性に合った装いになっているのだが、俺は一人だけいつもと変わらない服装なのだ。
まあ、俺が戦闘に向いていないという事を思えば当たり前のことなのだが、それにしてもこの世界にあった服装にしてもいいのではないかと思ってしまう。
一般人である俺がこういった場にふさわしい礼儀作法なんかを知っているわけも無いので何となく黙っているのだが、それについても周りで見ている貴族っぽい連中がギリギリ聞こえるくらいの声量で俺を罵っているのだ。
「あのような者が魔王を倒したとは信じられませぬな」
「魔王の死体を確認したのは間違いないようなのですが、本当にあの者が魔王を倒したのでしょうか」
「それは間違いないのだと思いますよ。ほら、あの右手の紋章をごらんなさい。あれは魔王を打倒したものに刻まれる聖印ですよ」
「確かに。私が幼少期に見た勇者様にもあれと同じ紋章がありましたな。しかし、あのような者が本当に勇者として認められるのでしょうか」
俺もあの人たちの立場だったら俺みたいなやつを勇者だなんて認めたりはしないだろうな。俺自身だって魔王を倒せたという理由がわかっていないんだよ。みんながずっと攻撃し続けていたのは見ていたし、たまたまとどめを刺せるタイミングで攻撃したとしか思えないんだよな。
「あいつらみんな黙らせようか?」
「そうだね。お兄ちゃんの事を悪く言う意味がわかんないし」
「真琴さんがあの魔王を倒したのは紛れもない事実ですし」
「私達では魔王を弱らせることは出来てもとどめを刺すことは出来なかったものね」
「あいつらにも兄貴の凄さを見せてやりたいんだけど、兄貴の見せ場って魔王を倒す時だけだもんね。その点では強く出れないのが悔しいわ」
みんなから出ている殺気に怖気づいてしまったのか周りの貴族たちは何も無かったかのように黙り込んでしまった。
それはそれで申し訳ない気持ちになっているのだが、俺にもわかるくらい殺気立っている五人に言葉をかけることは出来なかった。
魔王を倒したものに現れるという紋章が俺の右手の甲に浮かんでいるのだが、いつからこんなものがあったのか覚えていない。
この世界に来た時にはすでにあったような気もするし、魔王を倒した直後に急に浮かんできたような気もしている。
要するに、今の今まで自分の手の硬軟的にしてみたことが無かったという話なのだ。
空席になっている玉座の横にある扉が開くと、そこから銀色の鎧に身を包んだ騎士たちが出てきて俺たちを包囲するように陣形を整えていた。
これは形式的な行動で俺たちに敵対するつもりはないと思うのだが、なぜか愛華ちゃんだけは騎士たちに向かって威嚇をしていたのだ。愛華ちゃんと他のみんなの違いと言えば、一人だけたわわに育った立派な胸があるという事だろう。残った四人の中では柘榴ちゃんは大きい方だと思うけど、愛華ちゃんの大きさに比べると誤差と呼べるのかもしれない。
「お兄さん。今とても失礼なことを考えてるよね。あとでみんなからお話があるからね」
驚いてイザーちゃんの事を見てみると、イザーちゃんだけではなく他の四人も俺の事を睨みつけていた。
いや、愛華ちゃんは睨まなくてもいいんじゃないかな。
俺たちの方を向いていた騎士たちが一斉に玉座の方へを体を向けると、それに倣ったように貴族たちも玉座へと体を向けていた。
もともと玉座の方を向いていたので俺たちには特に動きはなかったのだが、顔をあげるとそこには威厳のある中年の男性が玉座に向かって歩いていた。
おそらく、あの中年がこの国の王なのだろう。そのすぐ後ろを歩いているのは、年齢的にはお姫さまっぽい感じなのだが妃なのかもしれないな。
「貴様が片岡真琴か。話には聞いておったが、噂に違わぬみすぼらしさよの。だが、そんな事はどうでもよい。魔王を討ち取った貴様に勇者の称号を与えよう。以上である。さあ、下がってよいぞ」
たったコレだけで俺は勇者として認められたという事なのだ。
何か腑に落ちないものはあるのだが、これがこの世界のやり方だというのであれば納得するしかないのだろうな。
ただ、申し訳なさそうな顔でうつむいている騎士の人達とは対照的に王様や他の人達はうすら笑いを浮かべているのが気になる。
これが本当に勇者として認められるための儀式なのだろうか。
「魔王を倒してあげたっていうのにそれだけで終わりなの?」
「そうよそうよ、お兄ちゃんは頑張ったんだからもっと何か誉めなさいよ」
「こんなことのために私たちを呼んだという事かしら」
「兄貴の事をお前らがバカにする資格なんて無い」
「全員殺して入れ替えちゃいましょうか」
俺のために怒ってくれるというのはありがたいのだけど、少々物騒すぎる気はしている。
全員殺して他の世界のこの人たちと入れ替えることは出来るかもしれないけど、そんな事をするなら俺たちが別の世界に行った方が早いような気もする。
「お兄さん、それは面倒だからやめようよ。もう一度あの魔王を倒すのって面倒くさいでしょ。それだったら、ココにいる人たちをみんな殺して入れ替えちゃった方が楽だもん」
イザーちゃんは笑顔で俺にそう話しかけてきたのだが、その背後では四人が好き勝手に暴れていた。
誰も抵抗出来ないまま無残な最期を遂げていたようだが、お姫様だけは無傷で玉座の横に立っていたのである。
栄誉ある称号を頂けるというのは大変光栄なことではあるのだが、俺は最後の一撃をたまたま入れただけなんで実感は全くない。
「このようなみすぼらしい男が本当に魔王を倒したというのか。全く信じられないものだな」
そのような声はそこかしこから聞こえてきてはいるのだが、俺は一人だけ普段着のままなのでそう思われても仕方がない。
何故かみんなは戦いやすい服装であったり自分の特性に合った装いになっているのだが、俺は一人だけいつもと変わらない服装なのだ。
まあ、俺が戦闘に向いていないという事を思えば当たり前のことなのだが、それにしてもこの世界にあった服装にしてもいいのではないかと思ってしまう。
一般人である俺がこういった場にふさわしい礼儀作法なんかを知っているわけも無いので何となく黙っているのだが、それについても周りで見ている貴族っぽい連中がギリギリ聞こえるくらいの声量で俺を罵っているのだ。
「あのような者が魔王を倒したとは信じられませぬな」
「魔王の死体を確認したのは間違いないようなのですが、本当にあの者が魔王を倒したのでしょうか」
「それは間違いないのだと思いますよ。ほら、あの右手の紋章をごらんなさい。あれは魔王を打倒したものに刻まれる聖印ですよ」
「確かに。私が幼少期に見た勇者様にもあれと同じ紋章がありましたな。しかし、あのような者が本当に勇者として認められるのでしょうか」
俺もあの人たちの立場だったら俺みたいなやつを勇者だなんて認めたりはしないだろうな。俺自身だって魔王を倒せたという理由がわかっていないんだよ。みんながずっと攻撃し続けていたのは見ていたし、たまたまとどめを刺せるタイミングで攻撃したとしか思えないんだよな。
「あいつらみんな黙らせようか?」
「そうだね。お兄ちゃんの事を悪く言う意味がわかんないし」
「真琴さんがあの魔王を倒したのは紛れもない事実ですし」
「私達では魔王を弱らせることは出来てもとどめを刺すことは出来なかったものね」
「あいつらにも兄貴の凄さを見せてやりたいんだけど、兄貴の見せ場って魔王を倒す時だけだもんね。その点では強く出れないのが悔しいわ」
みんなから出ている殺気に怖気づいてしまったのか周りの貴族たちは何も無かったかのように黙り込んでしまった。
それはそれで申し訳ない気持ちになっているのだが、俺にもわかるくらい殺気立っている五人に言葉をかけることは出来なかった。
魔王を倒したものに現れるという紋章が俺の右手の甲に浮かんでいるのだが、いつからこんなものがあったのか覚えていない。
この世界に来た時にはすでにあったような気もするし、魔王を倒した直後に急に浮かんできたような気もしている。
要するに、今の今まで自分の手の硬軟的にしてみたことが無かったという話なのだ。
空席になっている玉座の横にある扉が開くと、そこから銀色の鎧に身を包んだ騎士たちが出てきて俺たちを包囲するように陣形を整えていた。
これは形式的な行動で俺たちに敵対するつもりはないと思うのだが、なぜか愛華ちゃんだけは騎士たちに向かって威嚇をしていたのだ。愛華ちゃんと他のみんなの違いと言えば、一人だけたわわに育った立派な胸があるという事だろう。残った四人の中では柘榴ちゃんは大きい方だと思うけど、愛華ちゃんの大きさに比べると誤差と呼べるのかもしれない。
「お兄さん。今とても失礼なことを考えてるよね。あとでみんなからお話があるからね」
驚いてイザーちゃんの事を見てみると、イザーちゃんだけではなく他の四人も俺の事を睨みつけていた。
いや、愛華ちゃんは睨まなくてもいいんじゃないかな。
俺たちの方を向いていた騎士たちが一斉に玉座の方へを体を向けると、それに倣ったように貴族たちも玉座へと体を向けていた。
もともと玉座の方を向いていたので俺たちには特に動きはなかったのだが、顔をあげるとそこには威厳のある中年の男性が玉座に向かって歩いていた。
おそらく、あの中年がこの国の王なのだろう。そのすぐ後ろを歩いているのは、年齢的にはお姫さまっぽい感じなのだが妃なのかもしれないな。
「貴様が片岡真琴か。話には聞いておったが、噂に違わぬみすぼらしさよの。だが、そんな事はどうでもよい。魔王を討ち取った貴様に勇者の称号を与えよう。以上である。さあ、下がってよいぞ」
たったコレだけで俺は勇者として認められたという事なのだ。
何か腑に落ちないものはあるのだが、これがこの世界のやり方だというのであれば納得するしかないのだろうな。
ただ、申し訳なさそうな顔でうつむいている騎士の人達とは対照的に王様や他の人達はうすら笑いを浮かべているのが気になる。
これが本当に勇者として認められるための儀式なのだろうか。
「魔王を倒してあげたっていうのにそれだけで終わりなの?」
「そうよそうよ、お兄ちゃんは頑張ったんだからもっと何か誉めなさいよ」
「こんなことのために私たちを呼んだという事かしら」
「兄貴の事をお前らがバカにする資格なんて無い」
「全員殺して入れ替えちゃいましょうか」
俺のために怒ってくれるというのはありがたいのだけど、少々物騒すぎる気はしている。
全員殺して他の世界のこの人たちと入れ替えることは出来るかもしれないけど、そんな事をするなら俺たちが別の世界に行った方が早いような気もする。
「お兄さん、それは面倒だからやめようよ。もう一度あの魔王を倒すのって面倒くさいでしょ。それだったら、ココにいる人たちをみんな殺して入れ替えちゃった方が楽だもん」
イザーちゃんは笑顔で俺にそう話しかけてきたのだが、その背後では四人が好き勝手に暴れていた。
誰も抵抗出来ないまま無残な最期を遂げていたようだが、お姫様だけは無傷で玉座の横に立っていたのである。
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