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「他人の夢を見るなんて問題ないことなんですかね。ボクの夢を覗かれるのなんて嫌すぎるんですけど、店長って覗き趣味とかあるんですか?」
「無い無い、全然無いって。今までだってそんなことしてないし」
「本当ですか。時々ボクの事をじっと見ているときがあると思うんですけど、それって覗き趣味の延長とかじゃないですよね?」
「そんなわけないでしょ」
時々ではあるが珠希ちゃんの事を見ていることはある。ただ、それは珠希ちゃんがちゃんとしているのか確認しているだけなのだ。簡単なことでミスをする珠希ちゃんが心配で見ているだけだし、覗きとかそういったことは断じてしていないのだ。
更衣室だってちゃんと用意してあるし、珠希ちゃんが使っている部屋だって一度も入ったことが無い。もちろん、それ以外の女性の部屋にだって入ったことはない。
「店長がそう言うんだったら信じますけど、時々いやらしい目で見られているような気がするんですよね。ボクって普通の人よりスタイルも良いから見たくなる気持ちはわかりますけど、お客さんがいる時は自重してくださいね」
「珠希ちゃんがスタイル良いのは認めるけどさ、そこまで自信満々に言うのは俺だけにした方が良いよ。世の中には珠希ちゃんの事を見て自分と比べる人もいるだろうからね」
「ああ、店長の妹さんとかオーナーとかイザーさんの事ですね。その辺はボクも理解してるから大丈夫ですよ。皆さんを怒らせるつもりなんて全くないですし」
珠希ちゃんは耳と尻尾を揺らしながら俺の事をチラチラと見ていた。
たぶん、この感じは褒めてほしいんだろうな。そう思った俺は珠希ちゃんの頭をなでると珠希ちゃんは嬉しそうに体をくねくねと揺らしていた。
「話は変わるんですけど、店長って他の世界に行ってみたいとか思ったことはないんですか?」
「他の世界にか。思ったことはあるけど、実際に行くってのは怖いかもしれないな。何があるかわからないし、言葉だって通じるかわからないからね」
「言葉は大丈夫だと思いますよ。だって、こうして僕と普通に話せてますもん。よくわからないですけど、イザーさんがその辺を上手く変えてくれてるんじゃないですかね。直接聞いたわけじゃないんで知らないですけど」
「そう言われればそうだね。珠希ちゃんはみんなと普通に話せてるくらいだし、イザーちゃんもその辺は気を使ってくれてるって事なのかもね」
「じゃあ、本人に聞いてみましょうよ」
珠希ちゃんは俺のスマホを使ってイザーちゃんを呼び出そうとしていた。
俺のスマホのトーク履歴を見た珠希ちゃんは呆れたような声で俺の事をじっと見てきた。
「店長って誰ともやり取りしてないじゃないですか。もっとみんなと積極的にコミュニケーションをとりましょうよ。みんな店長からの連絡を待ってると思いますよ。ボクは店長とこうして一緒に働いているからいいですけど、寂しい思いをしている人もいるんじゃないですかね」
「そんなことないと思うけど。それに、みんなとは一緒にご飯食べてるから毎日会ってるけどね」
「そういう事じゃないんですよ。店長はずっと一人だったからそういう事考えられないんですかね。もうちょっとみんなの気持ちを考えることが出来るといいんじゃないですかね」
「そうだね。お兄さんはもう少しみんなの気持ちを考えた方が良いかもしれないね。異世界人の珠希の方が人の気持ちを理解しているというのはどうなんだろうね。お兄さんが他人に興味を持てるようにした方が良いのかもしれないな。うまなちゃんもお姉ちゃんもお兄さんがもっと自分に興味を持ってほしいって思ってるかもしれないからね。愛華はそう思ってないかもしれないけど」
突然現れたイザーちゃんはお気に入りのカップにコーヒーを注いでいた。イザーちゃん以外は誰も飲まないくらいに砂糖をたくさん入れたところに冷たいミルクを注ぐのがイザーちゃんスタイルなのだが、コーヒーを入れる意味が無いくらいに甘い液体を美味しそうに飲んでいるのは幸せなのかもしれない。
「やっぱり店長ってそういうところありますよね」
「うん、そう思うよ。お兄さんは誰にでも優しくて誰に対しても気を使ってはいるけれど、誰のことにも興味を持ってないように見えるからね。私や愛華がやってることも悪いことだとは思っているのに止めようとはしないしね。まあ、止められたところで私たちは行いを改めるつもりなんて無いんだけどさ」
「ボクをココに連れてきてくれたことも本来であれば受け入れられないことだと思うんですけど、店長は何事も無かったかのように受け入れてくれてましたからね。ボクとしてはとてもありがたいことではあるんですけど、最初は何か裏があるんじゃないかと思ってましたよ」
「このお兄さんはそんな器用な人間じゃないから何かしようなんて考えてすらいないんじゃないかな。せいぜい、君のエッチな体をこっそりと盗み見するくらいしか出来ないと思うよ」
「ああ、それは今までも何度かありました。見られるくらいだったら我慢できるんでいいんですけどね」
二人が俺の事を見つめてきたのだが、その顔は何か企んでいるようにしか見えなかった。嫌な予感は意外と的中するものだが、今回に限ってはソレが杞憂に終わることを望んでいた。
「じゃあ、みんなの気持ちをわかってもらうためにも、お兄さんには他の世界に行って楽しんでもらおうかな。もちろん、珠希ちゃんも一緒に行って案内してくれるよね?」
「え、嫌ですよ。ボクはこの世界が好きなんであんな所には二度と行きたくないです。イザーさんがボクをこっちに連れてきてくれたことを感謝してるんですからね。ボクは絶対にあんな怖い世界に戻りたくないですよ」
「だってさ。仕方ないから私達だけで向こうの世界を楽しもうじゃないか。うまなちゃんも愛華もお姉ちゃんも柘榴も行ってみたいって言ってるから問題ないからね」
「あの、俺は別にそんなところに行きたいとは思わないんだけど。珠希ちゃんが嫌がるような世界に行きたくないんだけど」
「大丈夫大丈夫。お兄さんの事はちゃんと“私たち”が護ってあげるからね」
「無い無い、全然無いって。今までだってそんなことしてないし」
「本当ですか。時々ボクの事をじっと見ているときがあると思うんですけど、それって覗き趣味の延長とかじゃないですよね?」
「そんなわけないでしょ」
時々ではあるが珠希ちゃんの事を見ていることはある。ただ、それは珠希ちゃんがちゃんとしているのか確認しているだけなのだ。簡単なことでミスをする珠希ちゃんが心配で見ているだけだし、覗きとかそういったことは断じてしていないのだ。
更衣室だってちゃんと用意してあるし、珠希ちゃんが使っている部屋だって一度も入ったことが無い。もちろん、それ以外の女性の部屋にだって入ったことはない。
「店長がそう言うんだったら信じますけど、時々いやらしい目で見られているような気がするんですよね。ボクって普通の人よりスタイルも良いから見たくなる気持ちはわかりますけど、お客さんがいる時は自重してくださいね」
「珠希ちゃんがスタイル良いのは認めるけどさ、そこまで自信満々に言うのは俺だけにした方が良いよ。世の中には珠希ちゃんの事を見て自分と比べる人もいるだろうからね」
「ああ、店長の妹さんとかオーナーとかイザーさんの事ですね。その辺はボクも理解してるから大丈夫ですよ。皆さんを怒らせるつもりなんて全くないですし」
珠希ちゃんは耳と尻尾を揺らしながら俺の事をチラチラと見ていた。
たぶん、この感じは褒めてほしいんだろうな。そう思った俺は珠希ちゃんの頭をなでると珠希ちゃんは嬉しそうに体をくねくねと揺らしていた。
「話は変わるんですけど、店長って他の世界に行ってみたいとか思ったことはないんですか?」
「他の世界にか。思ったことはあるけど、実際に行くってのは怖いかもしれないな。何があるかわからないし、言葉だって通じるかわからないからね」
「言葉は大丈夫だと思いますよ。だって、こうして僕と普通に話せてますもん。よくわからないですけど、イザーさんがその辺を上手く変えてくれてるんじゃないですかね。直接聞いたわけじゃないんで知らないですけど」
「そう言われればそうだね。珠希ちゃんはみんなと普通に話せてるくらいだし、イザーちゃんもその辺は気を使ってくれてるって事なのかもね」
「じゃあ、本人に聞いてみましょうよ」
珠希ちゃんは俺のスマホを使ってイザーちゃんを呼び出そうとしていた。
俺のスマホのトーク履歴を見た珠希ちゃんは呆れたような声で俺の事をじっと見てきた。
「店長って誰ともやり取りしてないじゃないですか。もっとみんなと積極的にコミュニケーションをとりましょうよ。みんな店長からの連絡を待ってると思いますよ。ボクは店長とこうして一緒に働いているからいいですけど、寂しい思いをしている人もいるんじゃないですかね」
「そんなことないと思うけど。それに、みんなとは一緒にご飯食べてるから毎日会ってるけどね」
「そういう事じゃないんですよ。店長はずっと一人だったからそういう事考えられないんですかね。もうちょっとみんなの気持ちを考えることが出来るといいんじゃないですかね」
「そうだね。お兄さんはもう少しみんなの気持ちを考えた方が良いかもしれないね。異世界人の珠希の方が人の気持ちを理解しているというのはどうなんだろうね。お兄さんが他人に興味を持てるようにした方が良いのかもしれないな。うまなちゃんもお姉ちゃんもお兄さんがもっと自分に興味を持ってほしいって思ってるかもしれないからね。愛華はそう思ってないかもしれないけど」
突然現れたイザーちゃんはお気に入りのカップにコーヒーを注いでいた。イザーちゃん以外は誰も飲まないくらいに砂糖をたくさん入れたところに冷たいミルクを注ぐのがイザーちゃんスタイルなのだが、コーヒーを入れる意味が無いくらいに甘い液体を美味しそうに飲んでいるのは幸せなのかもしれない。
「やっぱり店長ってそういうところありますよね」
「うん、そう思うよ。お兄さんは誰にでも優しくて誰に対しても気を使ってはいるけれど、誰のことにも興味を持ってないように見えるからね。私や愛華がやってることも悪いことだとは思っているのに止めようとはしないしね。まあ、止められたところで私たちは行いを改めるつもりなんて無いんだけどさ」
「ボクをココに連れてきてくれたことも本来であれば受け入れられないことだと思うんですけど、店長は何事も無かったかのように受け入れてくれてましたからね。ボクとしてはとてもありがたいことではあるんですけど、最初は何か裏があるんじゃないかと思ってましたよ」
「このお兄さんはそんな器用な人間じゃないから何かしようなんて考えてすらいないんじゃないかな。せいぜい、君のエッチな体をこっそりと盗み見するくらいしか出来ないと思うよ」
「ああ、それは今までも何度かありました。見られるくらいだったら我慢できるんでいいんですけどね」
二人が俺の事を見つめてきたのだが、その顔は何か企んでいるようにしか見えなかった。嫌な予感は意外と的中するものだが、今回に限ってはソレが杞憂に終わることを望んでいた。
「じゃあ、みんなの気持ちをわかってもらうためにも、お兄さんには他の世界に行って楽しんでもらおうかな。もちろん、珠希ちゃんも一緒に行って案内してくれるよね?」
「え、嫌ですよ。ボクはこの世界が好きなんであんな所には二度と行きたくないです。イザーさんがボクをこっちに連れてきてくれたことを感謝してるんですからね。ボクは絶対にあんな怖い世界に戻りたくないですよ」
「だってさ。仕方ないから私達だけで向こうの世界を楽しもうじゃないか。うまなちゃんも愛華もお姉ちゃんも柘榴も行ってみたいって言ってるから問題ないからね」
「あの、俺は別にそんなところに行きたいとは思わないんだけど。珠希ちゃんが嫌がるような世界に行きたくないんだけど」
「大丈夫大丈夫。お兄さんの事はちゃんと“私たち”が護ってあげるからね」
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