犯され探偵

白石潤之介

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大型連休

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 月日は、うつろって、世間は〝大型連休〟に突入していた。わたしの両親は、九州を観光する、と言って旅行に行ってしまった。

 だから、松田家はわたしと麻衣、それに中学生で双子の加奈かな梨奈りなの四姉妹が、留守番をすることになった。さすがに、四人娘だけでは〝物騒ぶっそう〟だと――

 管爺すがじいが、やってきた。・・・あまり頼りなさそう、であるが管爺にそんなむごいことは誰も言えなかった。

 まぁたよりになりそうな男性の候補である、優作くんは相変あいかわらずどこをオートバイで、駆け巡っているのか?連絡がつかないと麻衣と加奈、梨奈は、ブーブー言っている。

 一方、都内での〝連続婦女暴行事件〟の捜査は、遅々ちちとしてはかどっていなかった。高田馬場の事件以降、犯人の動きは止まったままだった。

 和久わくさんの物証ぶっしょうも容疑者が現れないので〝無用の長物むようのちょうぶつ〟となっているらしい。

 もちろん、わたしのミステリー小説〝女子大生、危機一髪(仮題)〟もさすがに、容疑者がおもてに現れず、次なる事件も発生しない――――では、ストーリーを進めたくても何も書き記せないのが、現状だった。

 管爺は、わたしが〝おとり捜査〟をするのでは?と気をもんでいた。だから、あまり賛同さんどうしたくない〝小説の執筆〟は、容認ようにんしてくれていた。

 次女の〝スーパー女子高生〟の麻衣は、才色兼備さいしょくけんびで、両親もいずれ東京大学に入学できるのではないか、と大いに期待している。部活は、陸上部で短距離を専門として都大会にも出場している。

 双子の加奈、梨奈は、今年中学に入学したばかり――――だから、まだ子供っぽい〝あどけなさ〟があふれている。加えて二人とも〝本の虫〟で、わたしの本棚から頻繁ひんぱんに小説を借りては始終しじゅうリビングで読んでいる。

 二人の読む本は、バラエティーにんでいるのには、ビックリする!赤川次郎の〝三毛猫ホームズ〟シリーズを読んでいたかと思えば、次の日には夏目漱石の〝こころ〟を読んでいたりする。また綿矢りさの〝インストール〟や〝蹴りたい背中〟村上春樹の〝1Q84〟や〝ノルウェイの森〟なども読んでいる。

 まぁわたしが、今までに買って読んできた書籍を彼女たちは、後を追うようにして読んでいる、ということだろう。

 幼い頃から小説も身近に感じてきている彼女たちが、第2の〝綿矢りさ〟となったりするのではないか?と期待と恐れも感じるわたしなのでした。

 わたしたち四姉妹は、ときどき衝突もするけど基本的には明るく仲良く暮らしています。



 そんな連休中の松田家に、訪問者あらわる。

 誰だ?

  

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