犯され探偵

白石潤之介

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引きこもり

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 わたしは、管爺すがじいの言うとおりここ最近は、講義が終わったらすぐに帰宅して部屋に引きこもっている。

 何をしているかというとPCパソコンに向かって小説を執筆している。世間では〝連続婦女暴行事件〟の捜査は一向に進んでいないようだけど――

 わたしの頭の中では、毎日、確実に解決に向けて進んでいた。だから事件と連動して執筆している『女子大生、危機一髪』も連日、先に進んでいた。

 ――――といっても、犯人像がくっきりと見えているわけではなかった。あくまで頭の中での想像でしかないから証拠をひとつひとつ積み上げていく作業をしていくしかない。

 また、タイトルの『女子大生、危機一髪』というのもイマイチしっくりくる作品名ではなく、あくまで仮題であって何かうまいフレーズは、ないものか?と思案中だった。

 午後、いつものように大学から早々に帰宅して、PCに向かってキーをたたいていると・・・

 妹の麻衣まいが部屋に入ってきた。

 「お姉ちゃん、入るよ」と言ってコーヒーとモンブランを持ってきた。
 
 モンブランは、わたしの大好物だいこうぶつだった。たぶん母さんが、サークルの帰りに買ってきたのだろう。

 「お姉ちゃん、あんまり父さんや母さんに心配かけちゃ駄目だよ」と〝しっかり者〟の麻衣は、いつものようにわたしにお説教をはじめた。

 わたしは、早速モンブランを食べ始めていた。おそらく毎日、部屋に引きこもっているわたしを心配して母さんが麻衣に様子を見に来させたのであろう事は、見抜いていた。

 麻衣も自分のぶんの〝チーズケーキ〟を食べている。

 「コーヒー、麻衣がれたのやろう?」
 「い豆が手に入ったから、さっきいてみたの」と麻衣も美味おいしそうにケーキを食べている。

 「お姉ちゃん、知ってる?コーヒーは挽き立てが、うまいんだよ」という麻衣に・・・
 「それ、誰に教えて貰った?」と訊くと

 「優作くんから聞いて、通販でミル買ったの」と彼女は答えた。
 我が家にまで〝挽きたてコーヒー説〟を伝播でんぱさせているんだ、とあきれた。

 わたしのうちは、基本的にインスタント・コーヒーしか飲んでいない。で、両親もわたしもカップにインスタントコーヒーと砂糖、それにたっぷりのミルクを入れて飲んでいた。

 その牙城がじょうを優作くんが、くずしたわけだ。

 

 「お姉ちゃん、またミステリー小説をかいてるの?」と麻衣は、話を切り出した。



 
 
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