上 下
49 / 51
不動の荷車(全14話)

不動の荷車 登場人物紹介(読後用)

しおりを挟む
●御庭番衆

宮地みやじ 日向ひなた

 本作の主人公。
 後の御庭番衆である元紀州藩の下士で庭番の家系。

 持ち前の天真爛漫さで興味本位で動く結果、トラブルに巻き込まれたり、巻き起こしたりする。
 叔母である日葵ひまりとよく似ている。性格も見た目も。
 そのため、仲が良いのだが、二人が揃うと問題が大きくなりやすい。

 叔母の日葵が創設した日葵流印地打ちの二代目を自認する。
 修行だけは終えた非公式の御庭番衆である。

 今回のエピソードでは、ダルマのお侍様としたい関係を結ぶ。(2.師弟関係より)

 さらに、新たなパートナーとなるモモと出会ったことで、油を探し出す事ができた。(3.忍術指導 6.油桶より)

 その後、二つ目の油桶を見つけた際に、尾行されたが逆尾行し、江戸の街に潜む陰謀を掴む。(11.報告より)

 陰謀を阻止しようとするが、実行犯の意思を覆す事ができず、説得は失敗する。
 陰謀自体は阻止されたが、説得できなかった日向は心に傷を負う。(12.実行より)

 しかし、被害者であった油問屋の椿屋五兵衛に諭され立ち直る。(14.笑顔より)

 これにより幼さが強く残る日向は、少し成長したようである。
 

・川村 日葵ひまり(旧姓 宮地)

 紀州藩にいた頃に、部屋住み同然だった徳川吉宗と出会い仲を深める。
 それをきっかけに、吉宗の構想であった庭番を忍び集団へと変革するための計画に協力した。

 その功績として、女だてらに忍び修業に混ざり、技術を学ぶ。
 群を抜いて優秀な成績を残した日葵は、御庭番衆になる事を勧められるが、断る。
 体型、性格がよく似た日向が忍術を修めたのも、日葵の影響を受けたものである。

 日向とは似たもの同士だが、年齢を重ねた事で幾分落ち着いている。
 宮地家の出身のため、印地打ちを得意とする。


・モモ

 黒い柴犬。まだ若く成犬になったばかり。
 神田の町を徘徊していた野良犬だが、日向の持つ風呂敷の匂いに釣られ、行動を共にする。(3.忍術指導より)
 風呂敷には、団子を包んだ際についてしまった、みたらしの染みがあった。

 鼻が良く、日向の指示を理解できる。
 これにより、椿屋の油桶を二つも探し出すという功績を立てる。
 こういった能力を得たのは、日向と出会う前である。
 それは生まれてからの境遇による。(幕間『モモの思い出』にて)

 くノ一のお供なら忍犬だろうという、日向の安易な発想により、忍犬修行という過酷な運命が待ち受ける。

 なお、出会ったばかりの日向は性別を確認しなかったため、オスの名前ばかりが候補であった。(4.事件発生より)


・薮田 仁斎

 御庭番衆である薮田家の前当主。
 薮田家の特殊技術として薬学に通じる。
 薬草園を管理し、御庭番衆を医の面で支える。
 

・薮田 定八

 御庭番衆統領
 吉宗の側に仕える。
 薮田仁斎の子で、御庭番衆の薮田家当主。


●徳川幕府 

・第八代征夷大将軍 徳川吉宗

 傍流の紀州徳川家から宗家徳川家の家督を継ぎ、将軍となる。
 その際に連れてきた家臣に御庭番衆や有馬氏倫ありまうじのりがいる。

 前将軍である家継の側近であった新井白石あらいはくせき間部詮房まなべあきふさを遠ざける。


●幕閣

・間部詮房

前将軍である家継の側近。
元高崎藩五万石の藩主。現在は、越後村上藩。
新たな将軍である吉宗を傍系と侮り対立する。
家臣を使い、江戸の街を大火に包む計画を図り吉宗の失権を企む。


・新井白石

 前将軍である家継の側近
 著名な朱子学者でもあり、お役目を退いた後には、更なる研究と執筆を予定している。


●吉宗の側近

有馬氏倫ありまうじのり
 元紀州藩士。御側御用取次
 吉宗が将軍になった事で、江戸へと付き従い幕臣となる。


●椿屋

・椿屋五兵衛

 堅実な商いで油問屋を営む商人。
 店が神保町の側にあることにより、宮地家の御用商人となっていた。
 そういう関係もあり日向は油探しをするようになり、縁を深める。
 次第に日向を孫のように慈しみ、立ち直るきっかけを与えた。(14.笑顔より)


●浮浪児

・哲太

 家出屋騒動で日向に助けられた事により、仲良くなる。
 神田の稲荷神社を塒にする浮浪児。
 世知に長け、仲間思い。
 日向に忍術を教わったり、油を運ぶのを手伝ったりした。
 常識を持つ大切なツッコミ役。


●浪人集団

 藩主の間部詮房の意向を受け、脱藩し江戸の街を火の海に包む計画を企てた実行犯たち。
 計画は御庭番衆によって阻止されるが、裏で操っていた侍だけは姿を消した。
 残る浪人は火付け未遂により火罪として死刑となる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

月夜の理科部

嶌田あき
青春
 優柔不断の女子高生・キョウカは、親友・カサネとクラスメイト理系男子・ユキとともに夜の理科室を訪れる。待っていたのは、〈星の王子さま〉と呼ばれる憧れの先輩・スバルと、天文部の望遠鏡を売り払おうとする理科部長・アヤ。理科室を夜に使うために必要となる5人目の部員として、キョウカは入部の誘いを受ける。  そんなある日、知人の研究者・竹戸瀬レネから研究手伝いのバイトの誘いを受ける。月面ローバーを使って地下の量子コンピューターから、あるデータを地球に持ち帰ってきて欲しいという。ユキは二つ返事でOKするも、相変わらず優柔不断のキョウカ。先輩に贈る月面望遠鏡の観測時間を条件に、バイトへの協力を決める。  理科部「夜隊」として入部したキョウカは、夜な夜な理科室に来てはユキとともに課題に取り組んだ。他のメンバー3人はそれぞれに忙しく、ユキと2人きりになることも多くなる。親との喧嘩、スバルの誕生日会、1学期の打ち上げ、夏休みの合宿などなど、絆を深めてゆく夜隊5人。  競うように訓練したAIプログラムが研究所に正式採用され大喜びする頃には、キョウカは数ヶ月のあいだ苦楽をともにしてきたユキを、とても大切に思うようになっていた。打算で始めた関係もこれで終わり、と9月最後の日曜日にデートに出かける。泣きながら別れた2人は、月にあるデータを地球に持ち帰る方法をそれぞれ模索しはじめた。  5年前の事故と月に取り残された脳情報。迫りくるデータ削除のタイムリミット。望遠鏡、月面ローバー、量子コンピューター。必要なものはきっと全部ある――。レネの過去を知ったキョウカは迷いを捨て、走り出す。  皆既月食の夜に集まったメンバーを信じ、理科部5人は月からのデータ回収に挑んだ――。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

鬼を討つ〜徳川十六将・渡辺守綱記〜

八ケ代大輔
歴史・時代
徳川家康を天下に導いた十六人の家臣「徳川十六将」。そのうちの1人「槍の半蔵」と称され、服部半蔵と共に「両半蔵」と呼ばれた渡辺半蔵守綱の一代記。彼の祖先は酒天童子を倒した源頼光四天王の筆頭で鬼を斬ったとされる渡辺綱。徳川家康と同い歳の彼の人生は徳川家康と共に歩んだものでした。渡辺半蔵守綱の生涯を通して徳川家康が天下を取るまでの道のりを描く。表紙画像・すずき孔先生。

腐れ外道の城

詠野ごりら
歴史・時代
戦国時代初期、険しい山脈に囲まれた国。樋野(ひの)でも狭い土地をめぐって争いがはじまっていた。 黒田三郎兵衛は反乱者、井藤十兵衛の鎮圧に向かっていた。

久野市さんは忍びたい

白い彗星
青春
一人暮らしの瀬戸原 木葉の下に現れた女の子。忍びの家系である久野市 忍はある使命のため、木葉と一緒に暮らすことに。同年代の女子との生活に戸惑う木葉だが……? 木葉を「主様」と慕う忍は、しかし現代生活に慣れておらず、結局木葉が忍の世話をすることに? 日常やトラブルを乗り越え、お互いに生活していく中で、二人の中でその関係性に変化が生まれていく。 「胸がぽかぽかする……この気持ちは、いったいなんでしょう」 これは使命感? それとも…… 現代世界に現れた古き忍びくノ一は、果たして己の使命をまっとうできるのか!? 木葉の周囲の人々とも徐々に関わりを持っていく……ドタバタ生活が始まる! 小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも連載しています!

悠久の機甲歩兵

竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。 ※現在毎日更新中

吉宗のさくら ~八代将軍へと至る道~

裏耕記
歴史・時代
破天荒な将軍 吉宗。民を導く将軍となれるのか ――― 将軍?捨て子? 貴公子として生まれ、捨て子として道に捨てられた。 その暮らしは長く続かない。兄の不審死。 呼び戻された吉宗は陰謀に巻き込まれ将軍位争いの旗頭に担ぎ上げられていく。 次第に明らかになる不審死の謎。 運命に導かれるようになりあがる吉宗。 将軍となった吉宗が隅田川にさくらを植えたのはなぜだろうか。 ※※ 暴れん坊将軍として有名な徳川吉宗。 低迷していた徳川幕府に再び力を持たせた。 民の味方とも呼ばれ人気を博した将軍でもある。 徳川家の序列でいくと、徳川宗家、尾張家、紀州家と三番目の家柄で四男坊。 本来ならば将軍どころか実家の家督も継げないはずの人生。 数奇な運命に付きまとわれ将軍になってしまった吉宗は何を思う。 本人の意思とはかけ離れた人生、権力の頂点に立つのは幸運か不運なのか…… 突拍子もない政策や独創的な人事制度。かの有名なお庭番衆も彼が作った役職だ。 そして御三家を模倣した御三卿を作る。 決して旧来の物を破壊するだけではなかった。その効用を充分理解して変化させるのだ。 彼は前例主義に凝り固まった重臣や役人たちを相手取り、旧来の慣習を打ち破った。 そして独自の政策や改革を断行した。 いきなり有能な人間にはなれない。彼は失敗も多く完全無欠ではなかったのは歴史が証明している。 破天荒でありながら有能な将軍である徳川吉宗が、どうしてそのような将軍になったのか。 おそらく将軍に至るまでの若き日々の経験が彼を育てたのだろう。 その辺りを深堀して、将軍になる前の半生にスポットを当てたのがこの作品です。 本作品は、第9回歴史・時代小説大賞の参加作です。 投票やお気に入り追加をして頂けますと幸いです。

処理中です...