魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒

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第二章 魔力無し転生者は仲間を探す

第二十二話 冒険者ポイント

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「ふぅ、これでどうにか心配ないな」
 どうにか2人とも無事に助ける事が出来た俺はその場に座り込み額の汗を拭う。
 女性の腹を切り裂いて赤子を取り出す帝王切開なんて前世を含めても初めての経験、当然と言えば当然だが予想以上に神経を擦り減らしてしまった。

「あ、貴方はいったい何者なの?」
 俺が腹を切った女性では無く、運良く妊娠していなかった女性の1人が怯えた声で問いかけて来る。
 悲鳴で目を覚ましてみれば俺が女の腹を切り裂いているのだから怖かった筈だ。それでも話しかけて来るなんて勇気があるじゃないか。

「俺か?俺は冒険者だ」
「あれだけのゴブリンを一人で倒したの?」
「いや、銀と一緒にだ」
「ギン?」
「そこの魔狼だ」
「ガウッ!」
「ひぃ!」
 指さした方に視線を向けると銀色の毛並みを持つ魔狼が目の前に居り、短い悲鳴を上げる。
 やはり大型犬サイズとなると可愛いより怖いが支配するみたいだな。落ち込むな銀。お前の凄さは俺が知っているから。

「怖がらなくて大丈夫だ。俺の家族だからな」
「そ、そうなの?それよりも貴方と魔狼だけで倒すなんて有名な冒険者なの?」
「いや、約2週間前に冒険者になったばかりだ」
「え、本当に?」
「ああ」
 どうやら信じられなかったらしく驚いた表情をする彼女に俺はそう言って冒険者カードを見せる。

「うそ、本当だわ」
「あれだけのゴブリンを倒すなんて絶対に有名な冒険者だと思ったのに。まだFランクだなんて」
「この程度誰にでも出来るだろ」
 冒険者だと知って少しは安心したのか他の女性たちも俺の冒険者カードを覗き込んで見ていた。
 俺の一言に何故か驚いているがそんなに凄いことなのか?カイたちだってゴブリンより強いホブゴブリンを楽々倒してたぞ。

「悪いが服は俺のしかないんだ。これで我慢してくれ」
 そんな俺の言葉に今自分たちがあられもない格好をしている事にようやく気が付いた彼女たちは股を強く閉じ、腕で胸を抱きしめるようにして瞬時に隠したが、その頬は紅潮させていた。頼むから睨まないでくれ。
 アイテムボックスから取り出すところを見られるが緊急事態なのでしかたがない。口止めはしておくけど。
 服を着た女性たちをつれて俺は村に戻る。
 元の大きさに戻った銀を見て絶叫して逃げようとする女性たちだが怖くないことを教えてあげると、怯えながらもゆっくりと近づいて本当に怖くない存在だと知ると笑顔で銀を撫でていた。
 元の大きさに戻って貰ったのには銀の背中に乗せるためだ。現在3メートル強ある銀の背中に6人の女性を乗せて村に戻るわけだが、彼女たちは冒険者じゃないただの一般人だ。ましてやゴブリンどものせいで少し回復したとは言え、衰弱している体で銀の速度に耐えられるはずがないからな、ゆっくりと戻るしかないな。

「それにしてもギンちゃんの毛並み最高」
「うん、このまま横になったら寝れるね」
 先ほどまで怯えていた女性たちもすっかり銀に慣れたらしく笑顔で銀を撫でていた。さっきまで酷い目にあっていたのにもう銀にも慣れたのか。やはりこの世界の女性たちは強いな。
 で、村に戻ると予想通りパニックが起きた。その理由は勿論銀の大きさだ。化物!もう終わりだ!なんて叫びながら逃げ惑う村人たちだが背中に乗る女性たちの姿と説得によりどうにか解決した。銀落ち込むな!あとで美味い肉を食べさせてやるからな。
 どうにか銀を励まし終えたところで俺は依頼主である老人に報告する。
 偶然助けた彼女たちはキリネたち女性陣に手厚く介抱されていたが、やはり心身に深い傷を負っていた。どれだけ元気に繕っても早々に治るものでも騙せるものでもない。家の中に入った瞬間、俺にだけ彼女たちの嗚咽にも似た泣き声が耳に届く。

「まさかそんな場所があったとは。生まれてからずっとここに住んでますが知りませんでした」
 爺さんでも知らないとなるとやはりゴブリンにとっては最高の隠れ家だったようだな。だが俺は考古学者じゃない。あの遺跡がいつ作られたのか、何のためにあるのかなんて分かるはずが無い。

「少し調べてみるか……」
「何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない」
「そうですか。それよりも本当に有難う御座いました。直ぐに組合の方に依頼達成を報告させて頂きます!」
「それは助かる」
 数分して俺のスマホに依頼達成の確認のメールが組合から届いた。よし、Eランクまで82ポイントとだな。
 ポイントとは冒険者の昇格に必要なポイントの事だ。簡単に言えば経験値と言えば分かるだろうか。で、その経験値が貯まれば昇格レベルアップと言う仕組みだ。
 で昇格に必要なポイントがこうだ。
 G→Fが5ポイント
 F→Eが100ポイント
 E→Dが200ポイント
 D→Cが300ポイント
 となっている。勿論昇格すればポイントはリセットされる。ただしCからBに昇格するにはポイントだけでは昇格できない。ポイントと昇格試験に合格しない限り昇格は認められないのだ。そしてそれはBからA、AからSもまた同じである。ただSへの昇格試験がとても厳しくAランク冒険者10名。もしくはCからBランク冒険者50名を同時に相手にして勝ち、尚且つ1VS1を連続で50回勝たなければならない。つまり全てAランク冒険者が相手なら連続で10回と言う事だ。他にSになる方法があるがそれはSランク冒険者に勝つことだが、大抵Sランク冒険者が昇格試験の依頼を受けることはない。それだけSへの道は厳しいのだ。
 で、依頼によってもポイントが違い。
 Gランクの依頼であれば1~2ポイント。
 Fランクは3~10ポイント
 Eランクは11~20ポイント
 Dランクは21~30ポイント
 Cランクは31~40ポイント
 Bランクは41~50ポイント
 Aランクは51~80ポイント
 Sランクは81~100ポイント
 SSランクは101ポイント~200ポイントである。
 冒険者ランクがSSSランクまでしかない以上最後のほうはどれだけポイントを重ねても意味がないのだ。
 またソロとパーティーではポイントの受け取り方も違う。
 Fランクまではソロであろうがパーティーであろうが、全員に依頼ポイント分だけ入るがEからは違う。Eからはパーティーなら振り分けられるのだ。
 つまり5人パーティーでEランクの依頼を達成したとして依頼ポイントが25ポイントなら全員に5ポイントずつ入ると言う事になる。なら前衛の方が危険なのにそれは不公平と言う人も居るかも知れないが、必ず全ての依頼で前衛を務める冒険者など居ない。そのため冒険者組合で定められているのだ。勿論前衛がしたくないのであれば武器を剣から銃に変えれば良いだけの話である。ま、その理由もあってか前衛を務める冒険者に報酬の金額を少し多めに支払うギルドだって存在するわけだが。そこはギルドそれぞれである。俺はどうしようか?
 その日の夜、村人たちに歓迎パーティーならぬ宴会が開かれた。それにしても爺様たちは凄い勢いでお酒を飲んでいく。流石は年の功。だが俺も負けないぜ!
 称号無病息災の効果でどれだけ酒を飲んでもほろ酔い程度までにしかならない。ま、それは今まで飲んだ酒の度数が低いのと少ないだけかもしれないが。それにどれだけ煙草を吸っても肺を痛めることはない。称号の効果ってやっぱり凄いとあの島に居た時に実感した。ま、災いだけは効果を発揮していない気もするが。ま、どうせあの糞女神がそうしたんだろうけど。
 深夜まで続いた宴会。俺はその日依頼主の老人の家に泊めて貰う事になった。因みにその老人は酔い潰れて公民館で寝ている。まったく体は大事にしろよな。
 老人の家まで戻ってくると2階から未だに泣き声が聞こえてくる。

「大丈夫か?」
「ジ、ジンさん」
 暗闇が怖いのか部屋には明かりが灯っていた。それに俺が扉を開ける時にもビクッと体を震わせていた。

「やはり怖いか?」
 俺の言葉に全員が首を立てに振る。生憎と力があっても彼女たちの心を癒す力は俺は持ち合わせていない。ただどこかで辛い記憶は楽しい事で上書きすれば良い、と書いてあった気がする。なんで読んだだったか。ラノベだったか?ま、そこは何でも良いや。

「俺も怖いか?」
「い、いえ。ジンさんは怖くありません」
「なら触っても大丈夫か?」
 俺はゆっくりと獣人の美少女の手に触れる。ビクッと体を震わせるが逃げることは無かった。

「どうだ?」
「大丈夫です。と言うよりも落ち着きます」
「そうか。ならもっと触れてみるか?」
「え?」
 俺は手から頬へと手を持っていく。

「温かい……」
 そう呟きながら目を閉じる。うん、リラックスしてきたな。

「ほら、触りたい部分があるなら触って良いぞ」
 今度は彼女の手を俺の頬に当てる。

「どうだ?温かいだろ」
「はい……」
「どうだ、もっと温もりを感じてみたくないか?」
「え?それって……」
 俺が何を言っているのか察しただろう。いや、薄々気づいていたはずだ。俺がベッドに座った時からでも早ければ部屋に入った時からでも気づいていたはずだ。

「どうだ?」
「感じてみたいです」
「よし」
 俺たちはゆっくりと横になっていく。
 イザベラの家や皇宮に比べれば固いが地面で寝るわけじゃないのでそれなりにベッドは柔らかい。
 そんな俺たちの行為を見ていた周りの女性たちも一人ずつ参加してくる。また一人また一人と温もりと癒しを求めて触れてくる。
 自然と俺は上着を脱いだ。

『え?』
 上着を脱いだ途端女性たちから驚きの声が漏れる。

「どうかしたのか?」
「その大量の傷……」
「ん?これか」
 すっかり忘れていた。これじゃ彼女たちの中にある嫌な記憶を思い出させてしまうじゃないか。

「それ、どうしたの?」
 さて、正直に答えるべきか。いや、この大量の傷跡の言い訳なんて思いつくはずもない。ここは話すべきだな。

「強くなるためさ」
「強くなるため?」
「そうさ。俺には魔力が無い」
『え!?』
 まとしても驚かれてしまった。こんな田舎でも魔力量+魔法属性の数=実力という認識が伝わってるんだな。それじゃ帝都で間違いを教えるのは大変だろうな。ま、そんな事するつもりも無いけど。気づく奴は気づくだろうしな。

「魔力が無い理不尽さに最初は怒りを覚えたが直ぐに俺は受け入れた。だが諦めはしなかった」
「受け入れたのに、諦めなかった?」
 意味が分からないか。

「魔力が無いことは受け入れたが、強くなることは諦めなかったってことさ。俺は強くなるために魔物が生息する森の中で戦いながら5年間生きてきた」
「ご、5年間も!」
「そうだ。で、今はお前たちを助けれる程度には強くなったってことだ。それが受け入れたが諦めなかったってことだ」
「ジンさんは肉体だけでなく心も強いのね」
 後ろからそんな声が聞こえてくるが、それは違う。

「そうするしか生きていけなかっただけの話さ」
「私たちにはジン君の人生がどれだけ辛くて大変だったか分からない。それでも今はそんな強い人に慰めて貰いたい」
 そうすると全員が俺に密着する。こんな時で悪いが、まさに天国!俺、このままここに住もうかな。

「だから慰めて」
「ああ、任せろ!」
 俺はその後全力で彼女たちを慰めた。断じて彼女たちの色香に惑わされて肉欲に溺れたわけではない!ち、違うからな!
 次の日目を覚ましたのは昼過ぎだった。何時まで行ったかは覚えてないが朝日で外が少し明るくなっていたような気もするがよく覚えてはない。
 未だに寝ている彼女たちを起こさないように俺は服を着て外に出ると銀が老人の畑仕事の手伝いをしていた。お前昨日の夜はどこに居たんだ?
 公民館で飲んでいた時には既に居なかったよな。

「これはジンさん、昨日の夜は随分と楽しんだみたいで」
「まあな」
 田舎だから夜になれば静寂が支配する。また家の壁も防音でもないのでそこそこ薄い。だから声が外に漏れることは分かっていたが、周りの村人の様子からして相当大きかったみたいだな。俺と年齢が近い男性に至っては羨ましそうに睨んでくる始末だ。
 ま、そんな視線は無視して俺にはやることがある。

「悪いが銀を連れて行っても良いか?」
「ええ。ギンちゃんのお陰で随分と畑仕事も楽でしたので」
「それは良かった。銀行くぞ」
「ガウッ!」
 俺は銀を連れてあの未発掘の遺跡に向かった。理由としてはもしかしたら他にも見回りしていたゴブリンが戻ってきているかもしれないと言う可能性とあの遺跡には何かあると言う俺の勘が働いているからだ。
 遺跡に再びやって来ると予想通りゴブリン数匹が戻ってきていたが、一瞬で片付け終わると俺と銀は中に入る。
 暗くて何も見えないが昨日のうちに反響マップを作っておいたのでなんの問題もない。え?そんな事が出来るのかって。あの島で生き抜くには必要だったから身に付けただけのことだ。夜は日中より危険だからな。

「確かここあたりだったな」
 昨日偶然にもゴブリンたちにも気づかれてない空間がある事を知った。だから今日はそこを調べるために戻ってきたのだが、

「どうやって開ければ良いんだ?」
 ある程度暗闇でも見える程度にはなってきたが、それでも開け方が分からない。ましてや何時の時代の遺跡かも分かっていないのに開けれるわけがないか。
 ピィ!

「うん?」
 電子パネルみたいなものに触れたらしく偶然にも扉が開いた。ラッキー。

「眩しっ!」
 部屋に入るなり自動で部屋の明かりが灯る。
 そこには前世でも見たことの無いハイテク装置が広がっていた。なんだこれ?まるでSFの世界にでも迷い込んだかのような光景だ。
 そして何より問題なのは部屋の一番奥で目を瞑っている眠り姫。
 真珠のような肌にビオレ色の長い髪。
 身長は170前半ぐらいでほっそりとしたスレンダーな体。
 そして一番問題なのは彼女のうなじに刺さっている太いケーブル。まさか人間じゃないのか?
 だけどどうやって目を覚ますんだ?
 ケーブルを辿ると直径30センチほどの水晶玉を見つけた。
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