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────1話*俺のものになってよ
1・素直に好きって言ったら……【微R】
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****side■塩田
──何コイツ。巧すぎじゃないか?
まあ、彼女いるらしいしな……。
何故こんな複雑な気持ちになるか分からないが、塩田は心の中でため息をつく。助けに来てくれたことは素直に嬉しい。
前回は副社長の皇に便乗し、彼と同じように塩田を辱めようとしただけだった。
だがそこに好意があると知った時、自分の中に別な何かが芽生えたのは事実。信頼していたのに、裏切られた気持ちになるのは何故なのだろう?
「塩田」
「ん……」
──なあ、別れろよ。
俺が好きなんだろ?
自分のことを好きだと言い、同性の自分に欲情する彼。
彼女がいるにも関わらず、だ。
ならどうして彼女と別れない?
やはり遊びだからなのだろうか?
「早く挿れろよ」
「ダメだよ。雑な解し方しか、されてないんでしょ」
彼は塩田に覆いかぶさると、そう言った。
「ん……何言って」
くぷぷっとジェルと共に電車の指が挿入され、思わず声が出そうになる。
「家、帰ったらゆっくりしてあげる」
「はあッ……」
──全然違う。
なあ、俺だけじゃダメなのか?
優しい愛撫に身体が反応していた。
昨日だってそうだ。
皇と彼とでは全然違う。
「大好きだよ」
「っ……」
──俺らしくない、その言葉に卑屈になってしまう。
お前は俺だけに欲情して、俺だけ抱けばいい。
好きだというくせに、その言葉は偽言だと言うのか?
初めてあった日、ただのドジな奴かと思った。
けれど、『よろしく』と差し出されたその手と笑顔を見て、嘘のないヤツなのかもしれないとも思ったのだ。
何度も口づけされて、心が奪われていく。
恋なんてしたことなかったのに、独占欲が芽生えていく。
だが口にすることは出来なかった。何故なら、あまりにも自分本意な感情過ぎたから。初めての感情に翻弄され、彼を自分に夢中にさせたいと舌を絡める。
「まだ、ダメなのか?」
早く繋がろうと思い、そう問いかけると彼は困った顔をする。
「塩田が傷つくから、ダメだよ」
「乱暴でも良いって言ってる」
ぎゅっと抱きついてその気にさせようとするが、
「塩田」
「なんだ」
「好きだから大事にしたいの、分からないの?」
髪を撫でる手が優しい。でも納得いかない。
「塩田は自分を大切にしてよ。俺、心配でたまらない」
「じゃあ……お前が」
”守って”といいそうになって口をつぐむ。
彼には自分ではない守るべき者がいるから。
その心も身体も自分だけに向いていなければ意味なんてない。
──俺、きっとコイツが好きなんだ。
「塩田?」
「お前以外は、イヤだ」
「え……今、なんて?」
「俺、お前のこと好きみたいだ」
──何コイツ。巧すぎじゃないか?
まあ、彼女いるらしいしな……。
何故こんな複雑な気持ちになるか分からないが、塩田は心の中でため息をつく。助けに来てくれたことは素直に嬉しい。
前回は副社長の皇に便乗し、彼と同じように塩田を辱めようとしただけだった。
だがそこに好意があると知った時、自分の中に別な何かが芽生えたのは事実。信頼していたのに、裏切られた気持ちになるのは何故なのだろう?
「塩田」
「ん……」
──なあ、別れろよ。
俺が好きなんだろ?
自分のことを好きだと言い、同性の自分に欲情する彼。
彼女がいるにも関わらず、だ。
ならどうして彼女と別れない?
やはり遊びだからなのだろうか?
「早く挿れろよ」
「ダメだよ。雑な解し方しか、されてないんでしょ」
彼は塩田に覆いかぶさると、そう言った。
「ん……何言って」
くぷぷっとジェルと共に電車の指が挿入され、思わず声が出そうになる。
「家、帰ったらゆっくりしてあげる」
「はあッ……」
──全然違う。
なあ、俺だけじゃダメなのか?
優しい愛撫に身体が反応していた。
昨日だってそうだ。
皇と彼とでは全然違う。
「大好きだよ」
「っ……」
──俺らしくない、その言葉に卑屈になってしまう。
お前は俺だけに欲情して、俺だけ抱けばいい。
好きだというくせに、その言葉は偽言だと言うのか?
初めてあった日、ただのドジな奴かと思った。
けれど、『よろしく』と差し出されたその手と笑顔を見て、嘘のないヤツなのかもしれないとも思ったのだ。
何度も口づけされて、心が奪われていく。
恋なんてしたことなかったのに、独占欲が芽生えていく。
だが口にすることは出来なかった。何故なら、あまりにも自分本意な感情過ぎたから。初めての感情に翻弄され、彼を自分に夢中にさせたいと舌を絡める。
「まだ、ダメなのか?」
早く繋がろうと思い、そう問いかけると彼は困った顔をする。
「塩田が傷つくから、ダメだよ」
「乱暴でも良いって言ってる」
ぎゅっと抱きついてその気にさせようとするが、
「塩田」
「なんだ」
「好きだから大事にしたいの、分からないの?」
髪を撫でる手が優しい。でも納得いかない。
「塩田は自分を大切にしてよ。俺、心配でたまらない」
「じゃあ……お前が」
”守って”といいそうになって口をつぐむ。
彼には自分ではない守るべき者がいるから。
その心も身体も自分だけに向いていなければ意味なんてない。
──俺、きっとコイツが好きなんだ。
「塩田?」
「お前以外は、イヤだ」
「え……今、なんて?」
「俺、お前のこと好きみたいだ」
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