R18【同性恋愛】リーマン物語『俺のものになってよ』

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────1話*俺のものになってよ

1・素直に好きって言ったら……【微R】

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****side■塩田

──何コイツ。巧すぎじゃないか?
 まあ、彼女いるらしいしな……。

 何故こんな複雑な気持ちになるか分からないが、塩田は心の中でため息をつく。助けに来てくれたことは素直に嬉しい。
 前回は副社長の皇に便乗し、彼と同じように塩田を辱めようとしただけだった。
 だがそこに好意があると知った時、自分の中に別な何かが芽生えたのは事実。信頼していたのに、裏切られた気持ちになるのは何故なのだろう?

「塩田」
「ん……」

──なあ、別れろよ。
 俺が好きなんだろ?
 
 自分のことを好きだと言い、同性の自分に欲情する彼。
 彼女がいるにも関わらず、だ。
 ならどうして彼女と別れない?
 やはり遊びだからなのだろうか?

「早く挿れろよ」
「ダメだよ。雑な解し方しか、されてないんでしょ」
 彼は塩田に覆いかぶさると、そう言った。
「ん……何言って」
 くぷぷっとジェルと共に電車の指が挿入され、思わず声が出そうになる。
「家、帰ったらゆっくりしてあげる」
「はあッ……」

──全然違う。
 なあ、俺だけじゃダメなのか?

 優しい愛撫に身体が反応していた。
 昨日だってそうだ。
 皇と彼とでは全然違う。

「大好きだよ」
「っ……」

──俺らしくない、その言葉に卑屈になってしまう。
 お前は俺だけに欲情して、俺だけ抱けばいい。

 好きだというくせに、その言葉は偽言ぎげんだと言うのか?
 初めてあった日、ただのドジな奴かと思った。
 けれど、『よろしく』と差し出されたその手と笑顔を見て、嘘のないヤツなのかもしれないとも思ったのだ。 

 何度も口づけされて、心が奪われていく。
 恋なんてしたことなかったのに、独占欲が芽生えていく。
 だが口にすることは出来なかった。何故なら、あまりにも自分本意な感情過ぎたから。初めての感情に翻弄され、彼を自分に夢中にさせたいと舌を絡める。

「まだ、ダメなのか?」
 早く繋がろうと思い、そう問いかけると彼は困った顔をする。
「塩田が傷つくから、ダメだよ」
「乱暴でも良いって言ってる」
 ぎゅっと抱きついてその気にさせようとするが、
「塩田」
「なんだ」
「好きだから大事にしたいの、分からないの?」
 髪を撫でる手が優しい。でも納得いかない。
「塩田は自分を大切にしてよ。俺、心配でたまらない」
「じゃあ……お前が」
 ”守って”といいそうになって口をつぐむ。

 彼には自分ではない守るべき者がいるから。
 その心も身体も自分だけに向いていなければ意味なんてない。

──俺、きっとコイツが好きなんだ。

「塩田?」
「お前以外は、イヤだ」
「え……今、なんて?」
「俺、お前のこと好きみたいだ」
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