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────4話*水面下の戦い
6・正気ですか? あなた
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****♡Side・電車
「いや……待って。本気なの?」
「紀夫次第だ」
塩田の提案は正直、受け入れがたいものであった。
そもそも副社長は自分の恋人である塩田のことが好きなのだ。またあんなことが起きてしまったら彼が傷つく。自分も加担していたとはいえ、二度と彼を傷つけるようなことはあってはならない。
──でもなあ?
彼から聞いた皇の事情は想像を絶するものであった。
皇が塩田に好意を寄せているのは誰の目にも明らかである。それなのに度々社長から体の関係を持つことを強いられているとは。立場上、拒否できないというのは電車にも理解できる。
──好きな人がいるのにそれは辛いよな。
塩田は皇をうちに呼ぼうというのだ。
自分たちに何ができるのか分からないが、束の間でも心の休息を与えてやりたいと。電車が黙って考え込んでいるとテーブルに乗せていた自分の手に彼の手が重ねられる。
「何かあっても、お前が守ってくれるんだろ?」
と、彼。
「それはもちろん」
話を持ち掛けたのはきっと唯野だ。
今、社内で何が起こっているのか電車にはわからない。不穏な空気を感じることはあるが、知ったところで自分に何もできないことも分かっていた。
そこで先日塩田と二人、社長室に呼ばれたときのことを思い出す。確かあの時、社長室の前には皇もいたはず。
──そうか。社長にとって俺たちは、皇を手に入れるための駒なんだ。
知りたくなかった悲しい現実。社長は皇を手に入れるためならば、娘の気持ちすら利用することに気づく。社内で耳にした社長の離婚話。あれも全ては……。
「紀夫。このまま社長の好き勝手させて置くのは、癪じゃないか?」
彼の気持ちは分かる。
自分は気づいてはいなかったが、自分の元彼女が社長の娘だと知り、それから彼はずっと不安でいたのだから。彼は電車を不安にさせまいと一人でそれをかかえていた。
「でも、塩田に何かあったらって思うと」
それが彼の提案にうんと言えない一番の理由だ。何かあったら守ると息巻いていても、自分の寝てる間に何かされたらどうにもできない。
「それは大丈夫だ」
一体、何を根拠に大丈夫だと言うのだろうか?
電車が複雑な表情で彼を見つめていると、キッチンからカチッという音がし、彼は立ちあがる。お湯が沸いたのだ。キッチンカウンターで二人分の紅茶を用意する綺麗な彼の指先を見つめていた。
「なんだよ、そんなに見つめて」
”ちゃんと、紀夫の分もあるだろ”と言ってクスっと笑う。
「塩田」
「不安そうにするなよ。大丈夫だよ、アイツはネコだから」
彼の言葉に電車は、しばし思考停止するのであった。
「いや……待って。本気なの?」
「紀夫次第だ」
塩田の提案は正直、受け入れがたいものであった。
そもそも副社長は自分の恋人である塩田のことが好きなのだ。またあんなことが起きてしまったら彼が傷つく。自分も加担していたとはいえ、二度と彼を傷つけるようなことはあってはならない。
──でもなあ?
彼から聞いた皇の事情は想像を絶するものであった。
皇が塩田に好意を寄せているのは誰の目にも明らかである。それなのに度々社長から体の関係を持つことを強いられているとは。立場上、拒否できないというのは電車にも理解できる。
──好きな人がいるのにそれは辛いよな。
塩田は皇をうちに呼ぼうというのだ。
自分たちに何ができるのか分からないが、束の間でも心の休息を与えてやりたいと。電車が黙って考え込んでいるとテーブルに乗せていた自分の手に彼の手が重ねられる。
「何かあっても、お前が守ってくれるんだろ?」
と、彼。
「それはもちろん」
話を持ち掛けたのはきっと唯野だ。
今、社内で何が起こっているのか電車にはわからない。不穏な空気を感じることはあるが、知ったところで自分に何もできないことも分かっていた。
そこで先日塩田と二人、社長室に呼ばれたときのことを思い出す。確かあの時、社長室の前には皇もいたはず。
──そうか。社長にとって俺たちは、皇を手に入れるための駒なんだ。
知りたくなかった悲しい現実。社長は皇を手に入れるためならば、娘の気持ちすら利用することに気づく。社内で耳にした社長の離婚話。あれも全ては……。
「紀夫。このまま社長の好き勝手させて置くのは、癪じゃないか?」
彼の気持ちは分かる。
自分は気づいてはいなかったが、自分の元彼女が社長の娘だと知り、それから彼はずっと不安でいたのだから。彼は電車を不安にさせまいと一人でそれをかかえていた。
「でも、塩田に何かあったらって思うと」
それが彼の提案にうんと言えない一番の理由だ。何かあったら守ると息巻いていても、自分の寝てる間に何かされたらどうにもできない。
「それは大丈夫だ」
一体、何を根拠に大丈夫だと言うのだろうか?
電車が複雑な表情で彼を見つめていると、キッチンからカチッという音がし、彼は立ちあがる。お湯が沸いたのだ。キッチンカウンターで二人分の紅茶を用意する綺麗な彼の指先を見つめていた。
「なんだよ、そんなに見つめて」
”ちゃんと、紀夫の分もあるだろ”と言ってクスっと笑う。
「塩田」
「不安そうにするなよ。大丈夫だよ、アイツはネコだから」
彼の言葉に電車は、しばし思考停止するのであった。
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