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第3章 幽体離脱警官と妖怪の子
13.霊界食堂のカツ丼
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『蓮雫様、此奴は生者なのデスが、チョットシタ事故で魂だけ抜けてついてきてしまいまシタ……。ソシテ此奴とはベツニ、また魂の無い亡者が見つかりまシタ』
『ああ、この男が昨日の偵察で出会った、黒い霧に襲われた人間だ』
死神と友和が順に説明した。
『そうか、昨日報告してくれた……。そして、また霧の被害者が出てしまったのか』
(なるほど、この角の男が蓮雫か……)
『その話、聞きながら食べてても良いかしら? 折角なら冷めない内にいただきたいわ』
蓮雫が頭を抱えながら話を聞く横で、美人の姉さんがマイペースな発言をすると、ぱかっとお碗の蓋を開けた。
ぼわっと湯気が上がり、中に入っていたのは、
『か、カツ丼!?』
お椀の中には、黄金色の卵に包まれたカツが熱々のご飯の上に並んでいた。トッピングの三つ葉が鮮やかだ。辺りに漂う出汁の香りにそそられる。
(あれ? ここって霊界だったよな……?)
『そうそう! 熱々の内にかっこんでくれよな!』
後ろで腕を組んで立っている青年が言った。彼だけなぜか幽霊の白い三角のやつをつけているので、多分幽霊で間違いないだろう。
卵に包まれ、たっぷりつゆの染みたカツを箸で持ち上げると、彼女は思い切り齧り付いた。
『はふっ』
(昼のサクサクカツも美味かったが、出汁のしみしみカツもいいなぁ、うっまそう……!)
『んんん……!』
彼女は、すぐさま玉ねぎとつゆの染みた白米を頬張る。みるみる頬が紅潮し、耳と尻尾のようなものをピンと立てて震え出した。
『ふふん、こりゃ今回も採用かな? お、なんだ? 兄ちゃんも食ってくか?』
『いいんスか!?』
俺は思わず身を乗り出した。
『生者が霊界の飯食って大丈夫か?』
幽霊兄さんの誘いに、友和がさらっと突っ込む。すると、蓮雫が答えた。
『私の在任中に、霊界の飯を生者に食べさせた事はないが、冥府の物を口にした者は生きて帰れないと言うな……』
『うう……じゃあ、遠慮しときます……』
めちゃくちゃ美味そうで残念だが、まだ死にたくないので諦めよう。
『ところで、魂の無い亡者は何処で見つかったのだ? お前はそこでまた霧に襲われたのか?』
蓮雫はそれまでの穏やかな口調から、少し厳しい雰囲気に変わった。
『河原デス。町の中心にもホド近い場所デス……。スグ報告しに霊界二帰ろうとシタのですが……』
『俺が自分で転んで、魂が出た拍子にコイツの光に取り込まれちまいました。今回は霧のせいじゃないっす……』
死神の説明に加えて、俺は頭を掻きながら補足した。蓮雫は口元に手を当てると、眉間に皺を寄せながら考え込む。
『ああ、この男が昨日の偵察で出会った、黒い霧に襲われた人間だ』
死神と友和が順に説明した。
『そうか、昨日報告してくれた……。そして、また霧の被害者が出てしまったのか』
(なるほど、この角の男が蓮雫か……)
『その話、聞きながら食べてても良いかしら? 折角なら冷めない内にいただきたいわ』
蓮雫が頭を抱えながら話を聞く横で、美人の姉さんがマイペースな発言をすると、ぱかっとお碗の蓋を開けた。
ぼわっと湯気が上がり、中に入っていたのは、
『か、カツ丼!?』
お椀の中には、黄金色の卵に包まれたカツが熱々のご飯の上に並んでいた。トッピングの三つ葉が鮮やかだ。辺りに漂う出汁の香りにそそられる。
(あれ? ここって霊界だったよな……?)
『そうそう! 熱々の内にかっこんでくれよな!』
後ろで腕を組んで立っている青年が言った。彼だけなぜか幽霊の白い三角のやつをつけているので、多分幽霊で間違いないだろう。
卵に包まれ、たっぷりつゆの染みたカツを箸で持ち上げると、彼女は思い切り齧り付いた。
『はふっ』
(昼のサクサクカツも美味かったが、出汁のしみしみカツもいいなぁ、うっまそう……!)
『んんん……!』
彼女は、すぐさま玉ねぎとつゆの染みた白米を頬張る。みるみる頬が紅潮し、耳と尻尾のようなものをピンと立てて震え出した。
『ふふん、こりゃ今回も採用かな? お、なんだ? 兄ちゃんも食ってくか?』
『いいんスか!?』
俺は思わず身を乗り出した。
『生者が霊界の飯食って大丈夫か?』
幽霊兄さんの誘いに、友和がさらっと突っ込む。すると、蓮雫が答えた。
『私の在任中に、霊界の飯を生者に食べさせた事はないが、冥府の物を口にした者は生きて帰れないと言うな……』
『うう……じゃあ、遠慮しときます……』
めちゃくちゃ美味そうで残念だが、まだ死にたくないので諦めよう。
『ところで、魂の無い亡者は何処で見つかったのだ? お前はそこでまた霧に襲われたのか?』
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『河原デス。町の中心にもホド近い場所デス……。スグ報告しに霊界二帰ろうとシタのですが……』
『俺が自分で転んで、魂が出た拍子にコイツの光に取り込まれちまいました。今回は霧のせいじゃないっす……』
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