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第3章 幽体離脱警官と妖怪の子

12.幽霊の知り合い

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『紐はタブンまだ繋がってマスヨ。タダ、人間界に戻るノニ手続きが必要デス。記憶も消してモラワナキャ。ホント、メンドクサイデスネー』

『ヤダ、何それ怖い』

 俺は思わず後ずさる。

『その紐コレでぶった切って、本物の霊にしてあげてもいいデスケド?』

 死神は鎌を取り上げて見せた。

『だーーっ! 行きます! 行かせていただきますっ!』

 俺はしぶしぶ死神について門を潜った。

(何でこんな目に……。てか、残してきた俺の身体だいじょーぶかな……)

 そんな事を考えながら歩いて行くと、白装束を着た人や鬼のような姿の者達とすれ違った。
 異様な光景だが、今ひとつ実感が湧かない。テレビドラマの撮影でもしているかのようだ。

 死神は、キョロキョロとよそ見をしながら歩く俺を置いていかんばかりに、早足で奥へと向かった。垂れ幕を捲り大きな部屋に入ると、机に向かって巻物を読んだり、何か書き込んでいる鬼達が居た。
 死神は手近にいた大鬼に尋ねた。

『蓮雫様はドコデスカ?』

『今日は新メニューの提案日で白狐様がいらしているので、食堂で立ち会われていますよ』

(レンゲ? 新メニュー? 食堂って、霊界の奴も飯食う必要があるのか?)

 色々な疑問が湧くが、また鎌で脅されるのも嫌なので、大人しく死神について行くと、何だかいい香りがしてきた。

 赤い提灯が並ぶ通路を進むと、何やら町の定食屋のような雰囲気の入り口が見えてくる。暖簾を潜り中へ入ると、数人の鬼達が食事をしていた。
 そっと覗き込むと、生姜焼き定食やサバの味噌煮定食を食っている。壁には本日のメニューが掲示されていた。三種類あり、もう一つは月見そばだった。

(てか、めちゃめちゃ美味そうなんだけど……)

 さっきカツカレーを食ったばかりだが、俺はちょっと羨ましくなった。

『天太? 何でここに居るんだ?』

 聞き覚えのある声がして、部屋の奥を見ると、昨夜出会った眼鏡少年(本当は中年らしいが)友和が居た。

 その近くには、長身の青年が立っており、前の席には着物姿で角の生えた男性と、白い着物にふわふわの耳を生やした色っぽい女の人が座っていた。

『まさかあの後、また死んだのか?』

 相変わらず、はっきりした物言いである。

『またって、昨日も死んでねーし! 今もまだ死んでない……と思う』

 俺が友和と話していると、角を生やした男が口を開いた。

『友和、知り合いか?』
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