護堂先生と神様のごはん 護堂教授の霊界食堂

栗槙ひので

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第1章 食いしん坊の幽霊

11.期待はずれ

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『名簿に名前が無かった者達の裁判は、原因が明らかになるまで保留になっているんだ。とりあえず、閻魔様のところまで審判を進めて、行き場の無い魂は彼が預かっている』

 俺が疑問を呈すると、蓮雫が静かに答えた。

『何ヶ月もやる事ねえし、暇でさ。そういやコッチにも飯はあるのかと思って食堂を紹介して貰ったら、それが全く酷いもんで……』

 西原は呆れたように、腕を組み首を振りながら言った。

(死んでも尚、料理の事を考えてしまうんだな、料理人って奴は……)

 俺が妙に感心していると、いつの間にか神様の姿が見えない事に気付が付いた。嫌な予感がする。

『なんじゃこれは! まっっずいのー』

 声のした方を見ると、神様が西原の食っていた定食をつまみ食いしていた。

『おいっ!』

 俺が止めようとすると、西原は寧ろ神様に同調しながら言った。

『構わねえよ。何なら友和も食ってみてくれよ。旦那、ここの食堂の飯は一体どうなってんですか? 全く人間が食えたもんじゃない!』

『まあ、鬼用だからな……』

 蓮雫は涼しい顔で答える。俺は神様の隣に立って料理を覗き込んだが、盆の上に乗っていたのは大きなお碗一つだけであった。
 限りなく透明な汁の中に、大きめに切られたジャガイモ、キノコのようなものが浮かんでいる。

 俺は恐る恐る、さじを取って味をみてみた。

『どうじゃ?』

 味が、全くしない。
 正にこの世の終わりみたいな味だ。

『不味いとかいう次元じゃねぇな。これ、ただ水で煮ただけだろ』

 俺は吐き出したくなる衝動を必死に堪えた。

『此処は娯楽とは縁がない世界だ。我々は獄卒達が飢えさえしなければ良いという考えでいる』

 蓮雫はそう言うと、袖から巻物を取り出して広げた。

『とにかく、お前も一旦閻魔様の所まで裁判を進めよう。亡者登録と五回の裁判で一月位かかるが……。その間、皆にはこの不審な死の背景調査に協力いただきたい』

 人間死んだら、様々なものから解放されて落ち着けるものだと思っていたが、どうやら俺達はまだまだ働かされそうだ。

『何だか、ガッカリじゃのう……』

 神様は残念そうに、お椀の端を指でつついた。
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