女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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従魔登録、完了!

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 訓練場でお留守番をしているスレイとニールの様子を見に行くと、そこには満面の笑顔でスレイプニル鑑賞を楽しんでいるセラフィーノの姿があった。

 ハクとライムが近づいて行くのに気が付くと蕩けそうな表情で名前を呼び、2匹が返事をしなくても気にするそぶりも見せない。

 ………彼にとって従魔登録担当の仕事は天職だな。

 入り口で観察している私たちに気が付いて急いで表情を整えようと頑張っているセラフィーノを見て、ディアーナと2人、顔を合わせて笑ってしまったのは仕方がない、よね? 







  
 なんとか顔を整え終わったセラフィーノが取り出したのは、ペンダントタイプの首輪だった。 

 トップに金属のプレートが付いていて、プレートの中央には冒険者ギルドのマークが刻印されている。

猫(仔虎)ハクスレイとニールはこれでいいだろうけど、スライムライムもこの形なの?」

 ぷるんぷるんと変形するスライムライムにペンダントは不都合な気がするなぁ。と思いながらの質問には、セラフィーノの寂し気な苦笑が返って来た。

「今までスライムを従魔登録させようってもの好きな奴はいなかったからな。このタイプしかないんだ」

「だったら蛇タイプの魔物をテイムしたらどうするの? 蛇も首輪なんかできないでしょ?」

「ああ……。蛇タイプは尻尾の先に穴をあけ」
「させないから!!」

 人間だって耳に穴をあけてピアスをする。人によっては舌とか鼻とかおへそとかにピアスをする人がいることも知っている。 でも、頭では理解していても、その対象がライムとなると話は別だ。

 可愛いライムにそんなことをするくらいなら従魔登録なんかしなくていい! ライムをぎゅっと抱きしめて拒否の姿勢を取ると、

「わかってる。 だからこの首輪でライムの胴を真ん中できゅっと縛るようにだな……」

 セラフィーノが身振り手振りで、首輪を装着したライムの姿を想像させてくれるんだけど……。 う~ん、なんていうか、………瓢箪?

 と私が瓢箪を想像した瞬間、腕の中のライムが暴れ出す。

(そんなかっこわるいのぼくいやだ! ありす! あのぷれーとからくさりをはずして!)

 私より先にライムの叫びに反応したハクがタタタッとセラフィーノに駆け寄り、ライムの分の首輪を奪い取ると首の一振りで私に投げて寄越した。 

 ライムが何をしたいのかはわからないけど、とりあえずはライムの言う通りにプレートから鎖を外す。

「外したよ? これをどうする……、っっ! きゃああああああ!!」

(うん、これでいい)

「リ、【リカバ】……、ダメっ! このまま定着したら……っ」

(にあう?)

「ら…、ライム? ライム! 痛くないの!? 大丈夫なの? ねえ、ライム!?」

(アリス、落ち着くにゃ~)

「痛くないわけないよね…!? 私はどうしたらいいの?  ハク! ライムに【リカバー】を掛けても大丈夫かな? ああ、なんてこと……っ!」

(アリスっ!)
「痛いっ!!」

 ハクの声と頬に感じる鋭い痛みが、一瞬だけ私の意識を奪ったが、

「らいむぅぅぅ…。 ‥‥ふぐぅぅぅぅぅ……」

 こちらを向いていたライムの姿を見たとたんに、私の涙腺は決壊した。

(どうしてなくの?)

(だって、だって! ライムが痛いことするからぁ!)

(ちっともいたくないよ?)

(嘘っ! 見てるだけでも痛い気がするもん!)

(いたくなんかないんだってば~)

 ちょっとだけ困ったような声音で私の腕の中に飛び込んできたライム。

 そのライムのおでこ(?)らしき場所には、冒険者ギルドのマークの入っている金属製のプレートが埋まっている。

 そう、❝埋まって❞いるのだ。

「……ふぐぅぅ」

(アリス、泣くにゃ! ライムは痛みを感じていないのにゃ!)
(なかないで、ありす! ほんとうにいたくないんだよ? ……それともぼく、そんなにかっこうわるい?)
(主さま)
(主…)

 ショックで涙が止まらなくなってしまっている私をなだめるように、スレイとニールが私を挟み込むようにして座り、ハクは肩の上から、ライムは腕の中から何度も私にすりすりと身を寄せてくれていた。

 恰好悪いのは、みんなに慰められながらも涙が止まらない私のことで、ライムが格好悪いなんてことはない。

(ライムは恰好悪くなんかないよ? ……金属のプレートだから、その位置だと❝鉢金❞みたいで凛々しく見えるね)

(はちがね?)

(うん、簡単な兜みたいなもの。 むか~し、私の国にあった、頭専用の簡易防具だよ)

 本当はまだそんな風には思えないんだけど、これ以上従魔たちに心配をかけておけないので無理やりに笑って見せた。 ライムが痛くないって言っててハクがそれを肯定するなら、本当に痛くはないんだろう。

 これ以上泣いているとライムが自分の行動を後悔するかもしれないと思い、必死に泣き止もうとしていた私には、

「テイマーが皆アリスのように従魔を大切にするやつらばかりだったなら……」

 私たちをじっと見つめながら、セラフィーノがぽつりと呟いた言葉は聞こえなかった。











 ハクとスレイ&ニールの首に首輪をつけてやり、

「みんな、似合ってるよ」
「本当に似合ってるな」
「可愛いですよ」

 みんなで従魔たちを褒め倒したら<従魔登録>は完了だ。

 泣き疲れてしまった私は「預かっているゴブリンの解体とさっきのオークの解体が済んだ」と聞いても清算をするだけの余力が残っていなかったし、腫れぼったくなっている顔を人前に出すのも嫌だった。

 だから、解体のすんでいるオーク肉を引き取ると、清算を明日の朝にしてもらえるようにお願いする。

 保証金として300万メレ預けたのが良かったのか、私がこのまま逃げても預けている素材でお釣りが出るとの計算か、私のお願いはすんなりと通った。

 そのまま階段に向かおうとすると、ハクが (不必要な魔物素材をここで売るのにゃ! 森に行く前にランクを上げておくのにゃ!)と言うので、頭がぼんやりしていた私は言われるままにカウンターに寄り道し、今までの旅で狩った魔物の討伐証明部位をインベントリから取り出した。 

 とりあえずは解体している分だけなんだけど、それでも結構な数になっていて、清算を待っている余裕のない私は小山になっている討伐証明部位をそのままギルドに預けることにした。

 カウンターに入ったディアーナが、

「討伐依頼の入っている魔物であれば、依頼の受注と完了処理をしておきますので、明日は少し早めにカウンターまで来てください」

 と言ってくれたので、面倒なことは安心して任せる。

 ついでにゴブリン担当の解体職員さんへの差し入れを預け、ディアーナが夕食を食べたい時間の30分前に起こしてもらえるようにお願いをしたら、後はもう、何をする気力も残っていなかった。

「俺たちのパーティーに加入してくれよ!」
「私のパーティーはメンバーが全員女よ! 是非一緒に冒険しましょ!」

 冒険者たちが何かを言っていたけど、私に言っているとは思っていなかったので、そのままスルーする。

 そういえば、ギルドで素材を買い取りに出す時は先に依頼ボードを見て収められる品物がないかを確認しろ、とイザックにも言われていたな~。

 うっかりしていたことを反省し、改めて気の利くディアーナに感謝しながらゆっくりと階段をあがり、今夜の寝床であるベッドに飛び込んだ。

 スレイやニールが部屋に入れなくて、扉を守るように部屋の前に座り込んだことにも気が付かず、私はそのまま夢の国に旅立ってしまったんだ。
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