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ホストへの気持ちがわからないらしい。2
しおりを挟む「スバルさん本人に聞いてみたらいいのに」
「それができたらルミちゃんを頼ったりしないっすよ……」
「それもそうか」
納得するようにウンウンと頷いている。俺はスバル本人を目の前にして、素直な気持ちをぶつけているところを想像してみた。
『お前、俺とのことどう思ってんの? どうされたいわけ?』
スバルの返答が思い浮かばない。俺は今まで、あいつは俺にベタ惚れで、俺だってもちろん好きだけど、拒否権はいつもこっちにあると思っていた。冷静に考えれば、ただの高慢なクソ野郎だ。だから俺は初めてスバルに拒否のようなことをされた気になって、少なからず傷つき、今こうしてぐずぐずしてるのかもしれない。
つうか、どうされたいってなんだよ……。
「優也さんが言ってたように、答えなんかないですよ」
ルミちゃんが手に持っていたカップをテーブルに置いた。
「優也さん、今まで誰かと付き合ってたときも、自分の気持ちを言葉にすることってほとんどなかったんじゃないですか? 決めつけてごめんなさい。でも私、今までの優也さんは相手にわかってもらえなくても、別にどうってことなかったんじゃないかなって思って」
「まさにその通り、な気がする」
「それが今、スバルさんにわかってもらいたいって思ってるから、悩むのかも」
「えええ」
「自分の想像で萌えて来ました……。」
「いや、どのへん……?」
俺はほっこりと幸せそうなルミちゃんをよそに、ぐったりとしてしまった。
◆
この前デビルジャムのVIPルームに行ったとき、スバルの滞在時間は15分程度だった。あんなに喜んでいたくせに、その後、向こうから連絡がないのだ。こんなことは今までになかった。
嬉しそうだったのは勘違いか?ほったらかしすぎたからか?嫌われてるのか?俺……。
あの日、スバルがあっさりと去っていったため、テンションが下がったのを哀子にも勘づかれてしまった。
「気持ち悪いんだけど。やっぱり付き合ってるのは優也の勘違いで、スバルくんの営業にかかってるだけなんじゃないの?」
「ばか、そんなわけないだろ!」
そんなわけないのに、そんなわけないよな……?と、ちょっとだけ自信がなくなるのが悲しい。
「お前こそ夕陽くんと付き合ったのかよ」
「あたしが夕陽と? なんで」
あっさり切り捨てられたので驚いた。水族館デート目撃事件からもうけっこう経つが、夕陽くんはなにをやっているのだろう。いらぬ心配をしてしまった。
俺は色々とショックだった。スバルの気持ちがわからないことも、スバルへの気持ちがわからないことも、そのせいで自分がどんどん女々しくなっていることも。女々しいのはあいつの担当のはずなのに。
恋愛がこういう心の中の迷いとかモヤモヤを指すものなら、俺はやっぱり向いてないのかもしれないな、なんて思ってしまう。
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