未来の地球と辺境の星から 趣味のコスプレのせいで帝のお妃候補になりました。初めての恋でどうしたら良いのか分かりません!

西野歌夏

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2. レエリナサウラと秘密結社 →数億年前地球 中世ヨーロッパ

第47話 奇妙で野暮な忍び女子 → こんな若くて可愛らしい女性に、俺は(沙織)

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ー バガン ゲーム召喚中 シーン名称:ポッパサバイバル クリア率0.001% ー

 与えられた装備:サタンのかね
 カメラアプリミッション:夢売草ゆめうりぐさを認識させよ
 クリア条件:解放される条件は、食べ物ゲットと、カメラアプリミッションクリアの二つを満たすこと


「帝国の命運めいうんがかかっている。」 
 ナディアが向ける銃口に物ともせず、帝は静かに言った。
「もちろん全てを話そう。」

「帝」
「沙織」

 私たちは見つめあった。
 できれば、私はこの瞬間に帝の胸に飛び込みたい気持ちでいっぱいになってしまった。帝のお気持ちは分からなかったけれども。私は銃口を突きつけられている状況では、帝をおしたい申し上げているという気持ちであふれた。
 帝の眼差まなざしはうっとりするほどこの上なく優しかった。


「た、大変申し訳ございませんでした!」 
 突然、颯介が大袈裟おおげさに両手をあげてひれ伏した。そのまま土下座どげざしている。

 私と帝は甘美かんびな雰囲気から一転した。ぎょっとして、断崖絶壁だんがいぜっぺきの間近で土下座をしている颯介を見た。

「これまでプテラが人とは知らず、数々のご無礼ぶれいをしてしまいました。中の人がこんな可愛い若い女性だったなんて。」

 颯介が土下座どげざしたまま頭を下げている。
 ナディアは銃口を向けたまま、微動びどうだにしない。

「颯介、妙なまねはやめなさい。」
「姉さん、プテラが人だと知っていたら、俺、あんなにプテラに無理をさせなかった!」
「こんなに可愛らしくて素敵な女性じゃないですかっ!」
「こんな若くて可愛らしい女性に、俺は、時には何人も彼女に乗せてしまった。かなりの時間、空を飛ばせてしまっていたのです!」

 颯介はここまで一気に言うと、私に向かって平身低頭へいしんていとうの姿勢で謝った。

「大変申し訳ございませんでした!」

「いえ、大丈夫です。元はと言えば勘違かんちがいから起きたことですし。」
「そもそも私が奇妙で野暮やぼな忍びなので、こういうことが起きてしまったのかと思います。」
 
 私はおずおずと言った。

「いや。沙織は別に奇妙で野暮やぼではないと思う。」
 帝は優しい口調で言った。

「忍びとおっしゃいましたか?でも、お二人は伊賀いがの忍びにも甲賀こうがの忍びにも見えない。」
 颯介が私と帝を不思議そうな様子で見て言った。

伊賀いがとも甲賀こうがとも、流派の違う忍びでございます。」

「待って?」
「え?ちょっと待って?」
「一体、どこから?あなたはどこから私のプテラでした?」

 颯介がまた興奮こうふんしてきたような様子で聞いてきた。

「一番最初に出会ったときからです。あの日私はたまたまむしゃくしゃしていたのです。」
「たまたま仕事終わりに趣味のプテラノドンになりきる術で変身していたら、あなたが現れました。そして、私を本物のプテラノドンと勘違いしたのです。」
 私は颯介の質問に答えた。

「カメラアプリ撮影会さつえいかい?」
「はい。あなたは何かそういうことを話してらっしゃいました。」
「あー、ということは最初の出会いからあなただったんですね。」

 颯介は「わかった」とうなずいたが、「やっばい」と小さく言った。
「ちょっと待って?だって、数億年先の地球は太古たいこの地球と同じくになっていました。そこで私は初めてプテラに会ったんだ!」
「となるとですよ?あなたは、数億年先の地球に住んでいることになりますね?」
「今、あなたはと言った。」
「数億年先の地球は文明があるんですね?そうか、。」
「わーお!」
「あなたは、数億年先の地球で文明を開花させている『忍者のかた』ということですね?だから、伊賀いがとも甲賀こうがとも違うと。」
「なんてこったい!」
 颯介は興奮状態こうふんじょうたいで一人でまくし立てて、一人で納得してまた興奮した。

 そう、このゲームを生き抜けることを実現してしまった人間はこの颯介だ。この颯介だからなしえたことだ。

「その通りです。」
 私も素直に当時のことを思い出しながら認めた。

「私のプテラは2人いるということ?」
 ナディアは鋭い質問をしてきた。そうだ。最初は五右衛門ごえもんさんで、最近は帝がナディアのプテラになった。ナディアはプテラが最近違うことに気づいていたのだ。

「そうです。」
「最近は、私があなたのプテラを担当していました。」
 帝がナディアにうなずいた。

「あんたたちは『未来人』ということですね。」
 颯介が呆然ぼうぜんとしたようにつぶやいた。
「未来の地球は、確かに太古の昔に絶滅したはずの恐竜で溢れていた。」
「そこには忍者もいた。未来の地球は絶滅したはずの恐竜と忍者の国になっていた。そういうふざけたところで(いや、ふざけてと言って失礼)、僕は最初にプテラに会った。」
「未来の地球が太古に絶滅したはずの恐竜となぜか忍者の国になっていた。それを『龍者の国』と僕らはゲームの中で呼んでいたんだ。」

 颯介は同じ話を繰り返した。
そして「気持ち悪くなってきた」と小さくつぶやいた。

「整理すると、未来の地球に一番最初にワープした時、颯介が偶然にも、『あなたを本物のプテラノドンと勘違いをした』わけね。」
 ナディアが言った。
「あなたにとっては本当に意図しない偶然で、いつものように仕事帰りにをしただけでこうなったと。」
 ナディアは続けた。

「そうです。私は、あなたたちが生きる二十一世の地球より遥か未来の地球に住む忍びです。最初は本当に偶然だったのです。」
 私は静かに言った。
「私は、その未来の地球を統治とうちする帝国の帝です。」
 帝も静かに口を開いた。

「み、み、み、みかど?」
「あなた、帝なの?」
 颯介とナディは、二人とも狼狽うろたえた。

「話が大き過ぎて受け止めきれない!」
 颯介は大きく深呼吸して落ち着こうとしたけれども、やはり無理だったようで、困惑こんわくした様子で言った。

「あなたは、本来人間が生き延びることができないはずの禁断のゲームで生き延びたのだ。そして、未来の地球にワープした。」
 帝が淡々たんたんと颯介に言った。

「そこで偶然、若い忍び女子がなりきりる術で趣味のプテラノドンに変身したタイミングで出会ってしまった。そこから勘違いが始まった。」
「本当はその偶然がなければ、沙織があなたのプテラにならなければ、おそらくあなたはゲームをクリアできていないはずだ。あなたがゲームを生き延びたのは、でもある。」
 帝がそこまで言うと、ナディアは銃を下げた。

「で、ゲームの中ではこちらの若くて可愛らしい忍びさんが、颯介と紐づけられてしまった。そのため、颯介がゲームに参加して助けを求めるたびにプテラとして召喚されたというわけね?」
 ナディがにわかには信じがたい話をされていると言った口ぶりで、言った。

「そうなります。」
 帝が言った。


 帝は私を優しくき寄せた。私の顔をのぞきこみ、うなずいた。
「私は沙織を助けて欲しいとお願いしたいのです。」
「私と沙織はねらわれてしまった。あなたたちの助けが必要だ。」

 帝はナディアと颯介にそう言って頭を下げた。

  断崖絶壁だんがいぜっぺきの上で、命をけた取引が始まった。
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