リビングデッド

常夏の炬燵

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魔族編

第十七話

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「先手必勝!」

ツウリが空洞の全面から木の棘を生やした。

なるほど…これがやつの攻撃…

テンカは避けながら考察する。

地面…土から気を生やす能力…ここに居るのはこれが理由…上手く自分のフィールドに誘い込んだということか…

「テンカ!エド!サポートを頼む!」

ナナシが空気砲で勢いをつけて突っ込んだ。
二人のサポートもあり、ツウリの元にたどり着くことができ、剣で切りつけようとしたが、木で作られた盾で弾かれてしまった。

木なら…!

ナナシは一旦後ろに飛び、火炎放射器を作る。

だが、その炎も盾に防がれる。

「無駄だよ!この木は水分たっぷりだからね!」

ナナシは木の根に囚われてしまった。

エドと、テンカに大量の木の棘が襲いかかり、その対処に追われてしまった。

「あんたは不死身みたいだから、取り敢えず行動だけは止めておくね」

そう言うと、細長い棘が無数に付いた木の枝が伸びてきて、ナナシを縛り上げた。無数の棘はナナシの体を貫いた。

「ナナシ!」

ナナシに気を取られ、テンカは脇腹を貫かれた。

「余所見すんな!」

エドの救出で追撃を逃れたが、傷は深かった。

「ぐっ…俺とした事が…」

「天界に帰った方がいいんじゃねーの」

「いや、まだ戦える」

「次、助けられる保証はねーぞ」

「大丈夫だ…!」

話している間にも猛攻は止まらない。
ふざけた態度とは裏腹に油断のない性格をしているようだ。

しかし、奴の攻撃…全く隙がない…ナナシの様にダメージ覚悟で行くか…?
いや、そんな事をすると、ナナシの二の舞になる可能性がある…
ナナシだから生きていられるが、俺達が受ければ瞬殺だ…

「とにかくナナシを助けよーぜ。いくら死なねーっつっても、痛覚はあんだろ?あれじゃ生き地獄だぜ」

「わかってる、だが、まずはこの攻撃を何とかしないと」

「確かに…!これじゃ辿り着けねー!」

エドのスピードは音速を超えているが、動きが直線的なので、予測がつきやすく行動が先読みされ、対処されてしまっていた。

「そろそろ限界なんじゃないのー?まあ、頑張った方じゃね?もうちょっと遊んでたいけどこれも命令なんでね。残念だけどさようならだ」

無数の棘が二人を取り囲んだ。

…そういう事か…ここにおびき寄せられた時点で、俺達を殺す準備は整っていたのか…!
さっきまではただ遊ばれていただけ…ナナシがやられた時点で気づくべきだった…!
失敗だ…あの時ムキにならず逃げていれば…!

後悔してももう遅かった。

逃げ場を失った二人に無数の棘が襲った。

だが、どこかからエンジン音が聞こえた瞬間、その棘の一部がバラバラに切り刻まれた。

「は!?誰!?」

二人のすぐ側には、チェンソーを持った丸焦げのナナシが倒れていた。

エドが二人を連れて隙間から脱出する。

「ナナシ!」

「後は頼んだ…」

は?はあ?なんで?棘の木が焼かれてる…燃やして脱出したって…!?おかしいだろ!自分事燃やしてたって?

ツウリは混乱して、攻撃の手が止まった。

その隙を狙って、エドが連射する。
テンカがトドメに天界力を放出した。

ツウリは跡形もなく消え去り、紫の光となった。
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