陰陽師と伝統衛士

花咲マイコ

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小話

お正月

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「とーさん。あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくお願いいたします。」
 宮中の神職を兼ねている父の瑠香が一息ついたところに薫は深々と頭を下げて、瑠香に新年の挨拶をすると瞳を輝かせる。
(お年玉、お年玉!)
 と頭の中にすでに貰うことを考えている。
「五年分ほしい……。とは、言わないけどほしいなぁ…」
「そう来ると思って用意してあるよ」
 懐からポチ袋を出して息子に手渡す。
 キラキラした瞳はさらに輝き、
「やったァァァ!ありがとうとーさん!」
 お年玉を掲げてスキップをする。
 幼い頃から変わらない、おお喜びぶりに瑠香も嬉しくて微笑む。
「桂にあげなくちゃだな」
 貰うのも嬉しいだろうがあげるのも嬉しい。
 その様子を見ていた晴房は、
(親とはこういう事が嬉しいのだな?)
 と二人の様子を見て参考にした。
 まだ赤ちゃんの三つ子にお年玉をあげても仕方がないが……
「李流、ちょっと、こい。」
 シフト表を整理していた李流に手招きをした。
「?。何でしょう?ハル様」
「ほれ、お年玉だ!」
 お年玉のぽち袋を瑠香から貰いお年玉を作った。
 それを手渡す。
「い、いいですよ!そんな…家に入れてくれれば…」
「いいから、受け取れ!私はお前の父なんだから!子供は父から遠慮なくもらうものだぞ!」
 晴房は李流を息子のように扱いたいらしい。
 血はどうしても繋がらないならなおさらだった。

「あ、ありがとうございます…いただきますね」
 照れながら微笑む李流は可愛かった。雪に似てる。
 その喜んでくれる顔を見ると晴房も嬉しくなって、李流の肩を叩いた。
「父になるのは良いものだなっな!瑠香!」
 満面な笑顔で、子供のように興奮して言う。
「お前の方がはしゃいで、子供のようだがな」
 晴房は薫に似てる。
 従兄弟だからか?と思う。
 まぁ、ともかく……
「お前はいい父親だよ。」
 と、晴房を褒めてやった。
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