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結婚指輪喪失事件
3☆思い出盗まれる
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薫に指輪のことを言われて懐かしく、久々に指輪を眺めたくなった。
葛葉子が亡くなった時は、葛葉子の身につけていた物を見るだけで思い出して恋しすぎて辛かった。
けれど、今は違う。
思い出として葛葉子を語れるようになった。
宮中に出仕して五年が経ってようやく落ち着いた。
息子たちとも仲良く慣れたおかげもある。
それまでは、晴房に八つ当たりしていた気がする。
言葉が悪いため声に出さずテレパシーで罵っていた。
われながら根性が悪いと思う…
晴房は全くというほど気にしてないし、瑠香の気が済むなら好きなだけ罵ってみろ!と言う態度だった。
晴房は裏の顔の闇が深い分、器がデカイ。
だから陰陽寮長として慕われている。
そんな晴房をこれからもサポートしていく事も生き甲斐になってきた。
いや、本来『審神者』として、対の神として生きていくことが宿命だったのだ。
それ故に葛葉子とともに逝けなかったことを呪った事もあった。
今は落ち着いた分素直に受け入れて、晴房と雪との恋を手助けしてやって、縁はさらに広がっていると思う。
時が来て迎えに来てくれた葛葉子と語り合いたい。
そのためには人生を謳歌してやるとも思うようになっていた。
ただし、その人生の傍らに寄り添う伴侶はいらない。
恋はしない。女などいらない。
瑠香の最愛の伴侶である葛葉子を恋い焦がれている思いはこの世にいる限り永遠なのだから……
☆☆☆
瑠香は宮中から密かに繋がる異界を通って、自宅に帰る。
今すぐ思い出を見て懐かしみたい。
香茂家には誰もいない。
瑠香は週に一度や物忌み期間のときは自宅に帰る。
桂は大学が遠いので大学近くのアパートで独り暮らしをしているらしい。
薫は寂しがりやでもあるので、祖父の家に遊びに行ったり彼女の家に止まりに行ったりして家にはあまり帰ってこない。
葛葉子がいた時は賑やかだった。
その違いが心に寂しさ、切なさが広がる。
(もう一人、いや、もっと子供を作っても良かった…)
と今更ながら思って苦笑をして、葛葉子の部屋に入る。
そして、日記と葛葉子の遺品の部屋で宝石箱に入っている指輪を眺めたくなった。
やはり、思い出の品は少し切なくて懐かしい、幸せな気持ちを思い出す。
ドキドキしながらアンティーク調の蓋を開け、指輪の箱をあけると指輪がなかった。
「!?」
自分の結婚指輪はあるけれど寄り添わせた結婚指輪も婚約指輪もなかった。
瑠香は頭の中にが真っ白になる。
「もしかして泥棒か……?」
周りを見渡しても荒らされた形跡はない。
普段留守ばかりのこの家は結界を張っている。
血族しか入れない結界をつくって、息子か姉夫婦、父しか入れない。
ならば、家族の中に犯人はいるのだろうか……
最近家族全員にあったがそんな素振りは全くなかった…
己の背後に浮かぶルカの神に訪ねてみると、何やら知っているように感じる。
《因果応報だよ。縁を勝手に曲げた代償だよ。心当たりは後にわかるだろう…》
と言いそれ以上は教えてくれなかった。
後にわかる……
それはいつの事になるのだろうか?
この世に葛葉子はいなくても、葛葉子に関係する事になると落ち着かなく、自分が縁を曲げた腹いせに指輪を盗んだ者を思うとどうにも出来ない怒りの黒い荒御魂が吹き出すのだった。
葛葉子が亡くなった時は、葛葉子の身につけていた物を見るだけで思い出して恋しすぎて辛かった。
けれど、今は違う。
思い出として葛葉子を語れるようになった。
宮中に出仕して五年が経ってようやく落ち着いた。
息子たちとも仲良く慣れたおかげもある。
それまでは、晴房に八つ当たりしていた気がする。
言葉が悪いため声に出さずテレパシーで罵っていた。
われながら根性が悪いと思う…
晴房は全くというほど気にしてないし、瑠香の気が済むなら好きなだけ罵ってみろ!と言う態度だった。
晴房は裏の顔の闇が深い分、器がデカイ。
だから陰陽寮長として慕われている。
そんな晴房をこれからもサポートしていく事も生き甲斐になってきた。
いや、本来『審神者』として、対の神として生きていくことが宿命だったのだ。
それ故に葛葉子とともに逝けなかったことを呪った事もあった。
今は落ち着いた分素直に受け入れて、晴房と雪との恋を手助けしてやって、縁はさらに広がっていると思う。
時が来て迎えに来てくれた葛葉子と語り合いたい。
そのためには人生を謳歌してやるとも思うようになっていた。
ただし、その人生の傍らに寄り添う伴侶はいらない。
恋はしない。女などいらない。
瑠香の最愛の伴侶である葛葉子を恋い焦がれている思いはこの世にいる限り永遠なのだから……
☆☆☆
瑠香は宮中から密かに繋がる異界を通って、自宅に帰る。
今すぐ思い出を見て懐かしみたい。
香茂家には誰もいない。
瑠香は週に一度や物忌み期間のときは自宅に帰る。
桂は大学が遠いので大学近くのアパートで独り暮らしをしているらしい。
薫は寂しがりやでもあるので、祖父の家に遊びに行ったり彼女の家に止まりに行ったりして家にはあまり帰ってこない。
葛葉子がいた時は賑やかだった。
その違いが心に寂しさ、切なさが広がる。
(もう一人、いや、もっと子供を作っても良かった…)
と今更ながら思って苦笑をして、葛葉子の部屋に入る。
そして、日記と葛葉子の遺品の部屋で宝石箱に入っている指輪を眺めたくなった。
やはり、思い出の品は少し切なくて懐かしい、幸せな気持ちを思い出す。
ドキドキしながらアンティーク調の蓋を開け、指輪の箱をあけると指輪がなかった。
「!?」
自分の結婚指輪はあるけれど寄り添わせた結婚指輪も婚約指輪もなかった。
瑠香は頭の中にが真っ白になる。
「もしかして泥棒か……?」
周りを見渡しても荒らされた形跡はない。
普段留守ばかりのこの家は結界を張っている。
血族しか入れない結界をつくって、息子か姉夫婦、父しか入れない。
ならば、家族の中に犯人はいるのだろうか……
最近家族全員にあったがそんな素振りは全くなかった…
己の背後に浮かぶルカの神に訪ねてみると、何やら知っているように感じる。
《因果応報だよ。縁を勝手に曲げた代償だよ。心当たりは後にわかるだろう…》
と言いそれ以上は教えてくれなかった。
後にわかる……
それはいつの事になるのだろうか?
この世に葛葉子はいなくても、葛葉子に関係する事になると落ち着かなく、自分が縁を曲げた腹いせに指輪を盗んだ者を思うとどうにも出来ない怒りの黒い荒御魂が吹き出すのだった。
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