72 / 81
お盆時期の伝統衛士
7☆槐寿
しおりを挟む
今夜、直ちに宮中を騒がすお爺さんの幽霊を成仏させるために特別に陛下の私生活のお庭で護衛警護を務めることになった。
陛下の側近で常に刀を腰に穿き、あらゆる危険から陛下をお守りする事を長年勤めて高齢でありながら背筋のしっかりしている槐寿が朗らかな笑顔で李流に話しかけてきた。
「久しぶりだな、この庭で陛下とお会いした以来だな…ふふ」
「は、はい、その節は大変お世話になりました!」
李流はあの時のことを思い出し顔を真っ赤にしてしどろもどろしてしまったが、キッと表情を引き締めて、
「今夜は、よろしくお願いいたします!」
李流は九十度に腰をおり頭を下げる。
薫と篁も慌てて李流に倣う。
「陛下のお側に控えていなくていいのですか?」
蓮が四人の若者の指導役として側におり、肩時も陛下のお側を離れない槐寿が様子を見てきてくれた事に驚き尋ねる。
「孫が今控えておる。私もそろそろ引退だからな、若い者に座を譲るのも勤めだ。こう、指導もできるしな……お主にも久々に指導してやろうか?」
「それはぜひ!お願いいたします!」
連は槐寿の言葉に感無量の様子だった。
陛下のお側では気を緩めず厳しい雰囲気を醸し出しているが、素の槐寿はとても優しく話のわかる人物だと思うとホッとした。
そんな李流の顔を槐寿はまじまじと見て微笑む。
「やはり、男の子といえ桜庭の姫そっくりだな……季節殿はお元気か?」
「はい!元気に暮らしております!」
李流はビシッと姿勢を長官に姿勢を改めるごとくに緊張した面持ちで整えた。
「そうか、今後暇ができたら桜庭家に寄らせてもらうよ、年寄りの昔話もしたいのでな、ふふ」
そう言って、隣の薫の顔もまじまじとみて目を見開く。
「そっちは、阿部野の血筋のものかな?二代前の陰陽寮長…晴綛殿に似てるな」
「ジジ様のことだな?今は阿部野姓じゃなくて香茂家になったんだ…色々都合がいいとか、香茂の家の方のじいちゃん言ってた…です」
「高良君の孫か、時代は流れても変わらないものが続くということは良いことだな……」
(あの威津那殿と晴綛さまと高良君の血を引いてるなんてすごい子供だな…)
と、槐寿は思う。
「長く生きていると孫子がどのように交わるのか驚きも楽しいな…」
と微笑した。
「それに何の因果か…宮中を乱すものが宮中に入り込むなんて半世紀ぶりだな…いや、少し前にもあったかの…」
宮中は清らかで穢れなどあってはいけないのだが、穢れが来る時は些細なことではなくなっていることが多いし、太刀の者の存在は必要不可欠な者だと思うと代々から続く陛下、宮中を護衛する特別の家が皮肉にも誇らしく思える。
穏やかだった槐寿の瞳は殺気を含ませ刀を構える。
ざわざわと木々がさざめき、雲の動きが不気味に早い。
急な天気の変更以外あり得ない現象だった。
その異様な雰囲気に李流、薫、篁、連も警戒をする。
「結界間に引き込むの間に合ったー!」
中務の宮殿下が、息ぜーぜーとを切らせて霊を待ち伏せしているお庭に来られた。
その後ろには滝口臣が寄り添い、息切れする中務の宮を心配する。
「僕の責任もきっちり果たさないと示しがつかないからね!みんな頑張るんだよ!」
中務の宮は瞳をキラキラさせて仰って責任を果たしても反省はないことは皆にバレバレだった。
陛下の側近で常に刀を腰に穿き、あらゆる危険から陛下をお守りする事を長年勤めて高齢でありながら背筋のしっかりしている槐寿が朗らかな笑顔で李流に話しかけてきた。
「久しぶりだな、この庭で陛下とお会いした以来だな…ふふ」
「は、はい、その節は大変お世話になりました!」
李流はあの時のことを思い出し顔を真っ赤にしてしどろもどろしてしまったが、キッと表情を引き締めて、
「今夜は、よろしくお願いいたします!」
李流は九十度に腰をおり頭を下げる。
薫と篁も慌てて李流に倣う。
「陛下のお側に控えていなくていいのですか?」
蓮が四人の若者の指導役として側におり、肩時も陛下のお側を離れない槐寿が様子を見てきてくれた事に驚き尋ねる。
「孫が今控えておる。私もそろそろ引退だからな、若い者に座を譲るのも勤めだ。こう、指導もできるしな……お主にも久々に指導してやろうか?」
「それはぜひ!お願いいたします!」
連は槐寿の言葉に感無量の様子だった。
陛下のお側では気を緩めず厳しい雰囲気を醸し出しているが、素の槐寿はとても優しく話のわかる人物だと思うとホッとした。
そんな李流の顔を槐寿はまじまじと見て微笑む。
「やはり、男の子といえ桜庭の姫そっくりだな……季節殿はお元気か?」
「はい!元気に暮らしております!」
李流はビシッと姿勢を長官に姿勢を改めるごとくに緊張した面持ちで整えた。
「そうか、今後暇ができたら桜庭家に寄らせてもらうよ、年寄りの昔話もしたいのでな、ふふ」
そう言って、隣の薫の顔もまじまじとみて目を見開く。
「そっちは、阿部野の血筋のものかな?二代前の陰陽寮長…晴綛殿に似てるな」
「ジジ様のことだな?今は阿部野姓じゃなくて香茂家になったんだ…色々都合がいいとか、香茂の家の方のじいちゃん言ってた…です」
「高良君の孫か、時代は流れても変わらないものが続くということは良いことだな……」
(あの威津那殿と晴綛さまと高良君の血を引いてるなんてすごい子供だな…)
と、槐寿は思う。
「長く生きていると孫子がどのように交わるのか驚きも楽しいな…」
と微笑した。
「それに何の因果か…宮中を乱すものが宮中に入り込むなんて半世紀ぶりだな…いや、少し前にもあったかの…」
宮中は清らかで穢れなどあってはいけないのだが、穢れが来る時は些細なことではなくなっていることが多いし、太刀の者の存在は必要不可欠な者だと思うと代々から続く陛下、宮中を護衛する特別の家が皮肉にも誇らしく思える。
穏やかだった槐寿の瞳は殺気を含ませ刀を構える。
ざわざわと木々がさざめき、雲の動きが不気味に早い。
急な天気の変更以外あり得ない現象だった。
その異様な雰囲気に李流、薫、篁、連も警戒をする。
「結界間に引き込むの間に合ったー!」
中務の宮殿下が、息ぜーぜーとを切らせて霊を待ち伏せしているお庭に来られた。
その後ろには滝口臣が寄り添い、息切れする中務の宮を心配する。
「僕の責任もきっちり果たさないと示しがつかないからね!みんな頑張るんだよ!」
中務の宮は瞳をキラキラさせて仰って責任を果たしても反省はないことは皆にバレバレだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる