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志しを共にするもの
5☆合気道
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伝統衛士の若者三人を滝口臣が、特別稽古を付けてくれることになった。
臣は陰陽道のシフトで運気が悪いので、宮中の仕事は休暇になる。
陛下の運気に悪影響を及ぼすものはそばに寄せないように、配慮する。
陛下のために吉凶に厳しい宮中でもある。
陛下に影響を及ぼすことは国民に影響を及ぼすことになる。
なので、昔から汚れや凶を避けることを習わしになっていて、職員が厄年には、最悪一年休みを入れられてしまう時もあるのだ。
それほど吉凶には厳しい宮中なので、陰陽道は必要不可欠な存在であり、存在意義を示していると陰陽寮長の晴房は言っていた。
夜には伝統衛士の仕事をするが、正式な宮中職員ではない学生である李流と薫は陰陽師の勉強を今日は休みにしての稽古だ。
場所は桜庭家の道場。
桜庭家の道場には剣道の他にも柔道や、合気道、護身術まで祖父が教えていた。
その弟子が今も桜庭家の道場を使って弟子を増やしていた。
歴史の先生である叔父が予定を組んで祖父の代わりに師範として弟子を鍛える事もある。
道場の弟子の中に篁もいた。
そんな父の榊誠は祖父の弟子でありその縁からも仲が良かった。
息子の篁のと共に榊誠まで稽古の先生として参加してくれた。
陰陽道の占いシストでふたりとも、凶兆で休暇中だった。
今日は合気道をする。
雪と李流が用意した道着を着て臣と榊誠に伝統衛士の三人は床に手を付き礼をする。
季節は弟子たちの練習風景を見るために黙って弟子たちを監視する。
薫は初めてなのでドキドキしてぎごちない。
薫は喧嘩はできるが武術の心得がまったくなかった。
李流は榊親子と組み練習をする。
基礎から臣に教わる。
取り(技をかける方)受け(相手に仕掛けて受け身になる)の基礎を教わる。
合気道は呼吸法と手刀での体の使い方が重要だ。
手首の返しだけで相手を地に伏す事が出来てしまう。
薫は力技で人を倒すことは簡単だと思ったが互いにどう出るか分かる組手は面白いと感じる。
互いの気や息が合い修行をする事が楽しい。
(だから、合気道って言うのかな?)と考えながら臣にとことん付き合って貰っていることも嬉しい。
元々、運動神経は良いので覚えるのが早い。
「瑠香も一緒に伝統衛士やってた時に一緒に武術を覚えたな。」
と、懐かしそうに臣は言った。
葛葉子さんが現れてから一切武道にせいを出すことをしなくなってたな……と、思い出して苦笑する。
「えっ!そうなの?親父が武術なんて想像出来ねぇ!聞いてないし!」
「はは、確かに、お香の能力でたいていなことはどうにかしちゃうからな。」
臣は瑠香の若い頃を思い出して苦笑した。
薫と瑠香は基本似ていないが覚えの早いところは似ていると思う。
「はは、とーさんらしいや。」
自分も能力はあるが父とは違い近距離の方が得意だ。
むしろ陰陽師の勉強より武術の方が体にあってると思う。
適当に覚えて、李流と薫で組み、薫と篁で組むローテーションになった。
李流とは取りと受けを交互に練習をする。
「やっぱり、ちょっとぎこちないかな。」
ぎこちなさはどこか力の加減を抑えている感じがした。
「バカ力を抑えるのむずかしいんだよ。机を壊すとかならまだしもな!」
「確かに……」
あやかしの力を使ってしまえば合気道で相手をのすこともしなくてもいいだろう……
だが、合気道は大男ですら倒すこともできる武術だ。
たとえあやかしである薫にだって勝てる自信は李流にはあった。
「まだまだ修行がたりないんだよ。獣だから仕方ないかもしれないけどー」
と篁は嫌味を言った。
「こら、篁。口が悪いぞ」
と父の誠は怒るが迫力がない。
父の言葉を聞いてか聞かずか、ふん!とした態度をする。
その態度に薫はイラッと来た。
「人ならともかく鬼なら……遠慮いらねぇかもなぁ…」
薫の瞳が金に煌めく。
狐耳と尻尾は理性で出さないようにして、睨む。
二人は瞳が合うとバチバチといつものように牽制し合う。
「まぁ、とりあえず、僕が受けで、先輩が取りでいいですよ。」
「倒されてくれるのか?」
「……倒せるのなら」
篁は受けをするのに受ける気がない。
それは宣戦布告と受け取った。
臣は陰陽道のシフトで運気が悪いので、宮中の仕事は休暇になる。
陛下の運気に悪影響を及ぼすものはそばに寄せないように、配慮する。
陛下のために吉凶に厳しい宮中でもある。
陛下に影響を及ぼすことは国民に影響を及ぼすことになる。
なので、昔から汚れや凶を避けることを習わしになっていて、職員が厄年には、最悪一年休みを入れられてしまう時もあるのだ。
それほど吉凶には厳しい宮中なので、陰陽道は必要不可欠な存在であり、存在意義を示していると陰陽寮長の晴房は言っていた。
夜には伝統衛士の仕事をするが、正式な宮中職員ではない学生である李流と薫は陰陽師の勉強を今日は休みにしての稽古だ。
場所は桜庭家の道場。
桜庭家の道場には剣道の他にも柔道や、合気道、護身術まで祖父が教えていた。
その弟子が今も桜庭家の道場を使って弟子を増やしていた。
歴史の先生である叔父が予定を組んで祖父の代わりに師範として弟子を鍛える事もある。
道場の弟子の中に篁もいた。
そんな父の榊誠は祖父の弟子でありその縁からも仲が良かった。
息子の篁のと共に榊誠まで稽古の先生として参加してくれた。
陰陽道の占いシストでふたりとも、凶兆で休暇中だった。
今日は合気道をする。
雪と李流が用意した道着を着て臣と榊誠に伝統衛士の三人は床に手を付き礼をする。
季節は弟子たちの練習風景を見るために黙って弟子たちを監視する。
薫は初めてなのでドキドキしてぎごちない。
薫は喧嘩はできるが武術の心得がまったくなかった。
李流は榊親子と組み練習をする。
基礎から臣に教わる。
取り(技をかける方)受け(相手に仕掛けて受け身になる)の基礎を教わる。
合気道は呼吸法と手刀での体の使い方が重要だ。
手首の返しだけで相手を地に伏す事が出来てしまう。
薫は力技で人を倒すことは簡単だと思ったが互いにどう出るか分かる組手は面白いと感じる。
互いの気や息が合い修行をする事が楽しい。
(だから、合気道って言うのかな?)と考えながら臣にとことん付き合って貰っていることも嬉しい。
元々、運動神経は良いので覚えるのが早い。
「瑠香も一緒に伝統衛士やってた時に一緒に武術を覚えたな。」
と、懐かしそうに臣は言った。
葛葉子さんが現れてから一切武道にせいを出すことをしなくなってたな……と、思い出して苦笑する。
「えっ!そうなの?親父が武術なんて想像出来ねぇ!聞いてないし!」
「はは、確かに、お香の能力でたいていなことはどうにかしちゃうからな。」
臣は瑠香の若い頃を思い出して苦笑した。
薫と瑠香は基本似ていないが覚えの早いところは似ていると思う。
「はは、とーさんらしいや。」
自分も能力はあるが父とは違い近距離の方が得意だ。
むしろ陰陽師の勉強より武術の方が体にあってると思う。
適当に覚えて、李流と薫で組み、薫と篁で組むローテーションになった。
李流とは取りと受けを交互に練習をする。
「やっぱり、ちょっとぎこちないかな。」
ぎこちなさはどこか力の加減を抑えている感じがした。
「バカ力を抑えるのむずかしいんだよ。机を壊すとかならまだしもな!」
「確かに……」
あやかしの力を使ってしまえば合気道で相手をのすこともしなくてもいいだろう……
だが、合気道は大男ですら倒すこともできる武術だ。
たとえあやかしである薫にだって勝てる自信は李流にはあった。
「まだまだ修行がたりないんだよ。獣だから仕方ないかもしれないけどー」
と篁は嫌味を言った。
「こら、篁。口が悪いぞ」
と父の誠は怒るが迫力がない。
父の言葉を聞いてか聞かずか、ふん!とした態度をする。
その態度に薫はイラッと来た。
「人ならともかく鬼なら……遠慮いらねぇかもなぁ…」
薫の瞳が金に煌めく。
狐耳と尻尾は理性で出さないようにして、睨む。
二人は瞳が合うとバチバチといつものように牽制し合う。
「まぁ、とりあえず、僕が受けで、先輩が取りでいいですよ。」
「倒されてくれるのか?」
「……倒せるのなら」
篁は受けをするのに受ける気がない。
それは宣戦布告と受け取った。
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