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あやかしと幽霊の恋愛事情
5☆薫の過去その一☆母と契約
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李流は薫の過去の夢を見る。
夢だからか、薫の考えている事や心がシンクロする。
薫は父親の瑠香に自分の存在を……幸せだった時間を否定されてグレた。
本当は自分なんて生まれてこないほうが良かったのか…?とすら悩み悲しむほど……
母を亡くし、父の暴言で、むしゃくしゃする気持ちを抱えていた。
さらに、幸せそうな家族を見るのが辛かった。
真陽叔母さん夫婦に念願の赤ちゃんができて幸せそうで祝福したけれど、父の言葉がひっかかって複雑な気持ちになった。
本心で二人は喜んでいるのに…とーさんはホントは喜んでなかった……と思うとなおさら悲しくて、とにかく、ムシャクシャして、手のつけられないほどのイタズラをした。
学校のものを壊したり、喧嘩を仕掛けたり、他人の車にイタズラしたり、何もかも破壊したい衝動にかられた。
兄や祖父母、叔母さん、叔父さんの言うことも聞きたくなくて、悪いことしては一人で泣いていた。
苦しくて悲しくて寂しくて……
こんな自分を叱ってくれる、かーさんはいなくて、とーさんには会いたくなくて…いや、なんとか言ってもらいたかったかもしれないが……怒りで父の存在を否定することでこの怒りの正当な理由になっていた。
そんな辛くて悲しい事が続いたある日、死んだはずの母が狐のあやかしの巫女装束で現われた。
「ごめんね、ごめんね、薫を置いて死んじゃってごめんね…」
狐の耳と尻尾を伏せてポロポロと泣いていた。
「かーさん!かーさん!かーさん!」
うわぁぁああ!と会いたかったかーさんを見ることができて思わず抱きしめるけれど、空を切って抱きしめられなかった。
しょっちゅうではないが幽霊を見ることが出来た。
母もやはり幽霊と認識すると悲しかった。
でも、かーさんからは触れられるようで、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「おいていくなんてひどいよ!俺も連れて行ってくれたらこんな悲しまなくてすんだのに!かーさんのばぁかぁぁぁ!」
言いたい放題暴言をはいた。
それでもかーさんはうけとめてくれて、心のモヤモヤは晴れてきた。
「薫が死んだら、私も悲しいし、桂ももっと悲しむよ。とーさんだってもっと……」
悲しいし…と言おうとしたが、耳を立てて腰に手を当てて、尻尾を威嚇するように逆立てる。
「とーさんはバカタレ!だから、もっと悲しませてもいいくらいだけどね!」
ふんっ!と鼻息荒い。ブラックオーラが吹き出す。
かーさんの怒りは相当らしい。
「私達の幸せな時間を否定することを言って!築いてきた幸せをぶち壊して!ほんっと最低!」
でも、原因は自分だという事を思うと胸が締め付けられるほど母も苦しくて、涙がまたポロポロと溢れ出て来ている。
「かーさん…ごめん。バカって言って悲しませて……」
幽霊でも母の心を覗けばほんとに苦しんでいるようだった。
「…かーさんは言われてもしょうがないって思ってるから言いたいことがあったら言ってくれるとうれしいけど……桂や真陽姉さん、春陽叔父さんやおじいさんおばあさんを悲しませることは私も悲しいんだよ。かーさんのためにもう悪い事しないって誓って。」
かーさんはその事が一番悲しいし、辛い……
「誓ったらまた会える?」
心残りある幽霊があの世に行くのは心配事がなくなったりしたときが多い。
かーさんと約束をしたらかーさんはあの世に行って見えなくなってしまうんじゃないかと思うと不安だった。
「うん。約束として、特別に薫を【縁結びの神様の使いの使い】に任命してあげるよ」
「なにそれ?下っ端じゃん」
薫はクスッとやっと笑った。
その事にかーさんは微笑む。
「かーさんに会いたくない?」
「会いたい…」
「なら、約束ね?」
小指を出して指切りげんまんをする。
小指には赤い糸が繋がっていて辿っていくと運命の人と繋がっていると言われている。
縁結びの神の使いとの契約には相応しい。
「ふふ。桂もだけどこれで契約だよ。私のために色々してもらうからね……?」
わざと瞳を妖しく煌めかせて母は言った。
その後、母の使いの契約をしたせいか、薫の素行に頭を抱えていた桂や祖父母、叔父叔母夫婦とも元通り仲良くすることができた。
兄と叔父はすでにかーさんの事は知っていて、とーさんにだけは意地悪をして秘密にしてやろうと言うことになった。
親子仲が良くなったら秘密を教えて上げるという密かな約束だ。
そんな事一生無いと思っていたが……
毎日ではないが、死んだはずの母が縁結びの神の使いをしていて、現世でお努めを果たしている合間に会いに来てくれて、仕事を手伝わされてそれは無理難題もあって使いの使いは辞めたくなることもあったけれど、とても嬉しくて母が亡くなった悲しみは薄らいだが、父の暴言には怒りしかわかなかった……むしろいなかったものと考える事にした。
(状況は違うけど薫とオレは似てるな……)
薫の意外な過去をみた李流は苦笑した。
夢だからか、薫の考えている事や心がシンクロする。
薫は父親の瑠香に自分の存在を……幸せだった時間を否定されてグレた。
本当は自分なんて生まれてこないほうが良かったのか…?とすら悩み悲しむほど……
母を亡くし、父の暴言で、むしゃくしゃする気持ちを抱えていた。
さらに、幸せそうな家族を見るのが辛かった。
真陽叔母さん夫婦に念願の赤ちゃんができて幸せそうで祝福したけれど、父の言葉がひっかかって複雑な気持ちになった。
本心で二人は喜んでいるのに…とーさんはホントは喜んでなかった……と思うとなおさら悲しくて、とにかく、ムシャクシャして、手のつけられないほどのイタズラをした。
学校のものを壊したり、喧嘩を仕掛けたり、他人の車にイタズラしたり、何もかも破壊したい衝動にかられた。
兄や祖父母、叔母さん、叔父さんの言うことも聞きたくなくて、悪いことしては一人で泣いていた。
苦しくて悲しくて寂しくて……
こんな自分を叱ってくれる、かーさんはいなくて、とーさんには会いたくなくて…いや、なんとか言ってもらいたかったかもしれないが……怒りで父の存在を否定することでこの怒りの正当な理由になっていた。
そんな辛くて悲しい事が続いたある日、死んだはずの母が狐のあやかしの巫女装束で現われた。
「ごめんね、ごめんね、薫を置いて死んじゃってごめんね…」
狐の耳と尻尾を伏せてポロポロと泣いていた。
「かーさん!かーさん!かーさん!」
うわぁぁああ!と会いたかったかーさんを見ることができて思わず抱きしめるけれど、空を切って抱きしめられなかった。
しょっちゅうではないが幽霊を見ることが出来た。
母もやはり幽霊と認識すると悲しかった。
でも、かーさんからは触れられるようで、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「おいていくなんてひどいよ!俺も連れて行ってくれたらこんな悲しまなくてすんだのに!かーさんのばぁかぁぁぁ!」
言いたい放題暴言をはいた。
それでもかーさんはうけとめてくれて、心のモヤモヤは晴れてきた。
「薫が死んだら、私も悲しいし、桂ももっと悲しむよ。とーさんだってもっと……」
悲しいし…と言おうとしたが、耳を立てて腰に手を当てて、尻尾を威嚇するように逆立てる。
「とーさんはバカタレ!だから、もっと悲しませてもいいくらいだけどね!」
ふんっ!と鼻息荒い。ブラックオーラが吹き出す。
かーさんの怒りは相当らしい。
「私達の幸せな時間を否定することを言って!築いてきた幸せをぶち壊して!ほんっと最低!」
でも、原因は自分だという事を思うと胸が締め付けられるほど母も苦しくて、涙がまたポロポロと溢れ出て来ている。
「かーさん…ごめん。バカって言って悲しませて……」
幽霊でも母の心を覗けばほんとに苦しんでいるようだった。
「…かーさんは言われてもしょうがないって思ってるから言いたいことがあったら言ってくれるとうれしいけど……桂や真陽姉さん、春陽叔父さんやおじいさんおばあさんを悲しませることは私も悲しいんだよ。かーさんのためにもう悪い事しないって誓って。」
かーさんはその事が一番悲しいし、辛い……
「誓ったらまた会える?」
心残りある幽霊があの世に行くのは心配事がなくなったりしたときが多い。
かーさんと約束をしたらかーさんはあの世に行って見えなくなってしまうんじゃないかと思うと不安だった。
「うん。約束として、特別に薫を【縁結びの神様の使いの使い】に任命してあげるよ」
「なにそれ?下っ端じゃん」
薫はクスッとやっと笑った。
その事にかーさんは微笑む。
「かーさんに会いたくない?」
「会いたい…」
「なら、約束ね?」
小指を出して指切りげんまんをする。
小指には赤い糸が繋がっていて辿っていくと運命の人と繋がっていると言われている。
縁結びの神の使いとの契約には相応しい。
「ふふ。桂もだけどこれで契約だよ。私のために色々してもらうからね……?」
わざと瞳を妖しく煌めかせて母は言った。
その後、母の使いの契約をしたせいか、薫の素行に頭を抱えていた桂や祖父母、叔父叔母夫婦とも元通り仲良くすることができた。
兄と叔父はすでにかーさんの事は知っていて、とーさんにだけは意地悪をして秘密にしてやろうと言うことになった。
親子仲が良くなったら秘密を教えて上げるという密かな約束だ。
そんな事一生無いと思っていたが……
毎日ではないが、死んだはずの母が縁結びの神の使いをしていて、現世でお努めを果たしている合間に会いに来てくれて、仕事を手伝わされてそれは無理難題もあって使いの使いは辞めたくなることもあったけれど、とても嬉しくて母が亡くなった悲しみは薄らいだが、父の暴言には怒りしかわかなかった……むしろいなかったものと考える事にした。
(状況は違うけど薫とオレは似てるな……)
薫の意外な過去をみた李流は苦笑した。
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