3 / 6
性欲の廃墟篇
しおりを挟む
俺は彷徨っていた。
荒れ果てた土地、吹きすさび埃混じりの風、
よどんだ空ー……
見るもすさんだ気持ちを呼び起こす街を彷徨っていた。
ここは、
性欲の廃墟だー……。
世界から性欲が消えたと思っていた頃、
それは自分の部屋の中での想像だったので、
外はどうなっているか気になっていた。
それは見なければ確かめられない。
性欲は僕に無くてはならないもの。
だから、確かめなければならない。
外に出るのは勇気がいると思った。
でも、目的のためには背水の陣にならなくてはならない。
それが僕の背中を押した。
そして、ここは性欲の廃墟と呼ばれる街ー……
数々の性欲の成れの果てがあると言うー……
ここに来れば何かつかめるかもしれないー……。
自分を中央に両脇に軒が連ねている。
木の庇をたずさえたボロイ建物。
西部劇で言う酒場に似たもろだしの木を使った壁……。
そこに一枚のポスターがあった。
昭和のビールのポスターの様だ。
ビール片手に水着の女性がこちらに向かって微笑んでいるのか……。
「のか」と言ったのは女性の顔が破れているからだ。
雨風にさらされたせいか……。
顔が見えず水着のトップだけが残っているのが
何ともエロい……。小麦色の肌……。
しかし、それは頭でエロいと理解しただけで、
僕の体は反応しなかった。
依然として性欲は消えたままだ。
これは調査せねばならない。
僕が向かうのは人の集まる場所。
酒場ではない。
ここで言う人が集まる場所は、
風俗の待機所だ。
今か今かと嬢に呼ばれるのを待つ
男の嬉々とした顔、置いてあるエロ本に
脇目を向けつつ澄ました顔するアイツ、
とりあえず出された麦茶を全部飲み干そうか考える奴
(おしっこに行きたくなるか心配)。
爪を切る奴……。
そんな愉快な仲間達の集う場所だ……。
とりあえず同士の顔を拝みに行きたい、というのが
僕の想いだった。
しかし、それが形を保っているか定かではないのだがー……。
傾いて汚れている箱ヘルの看板が見えた。
入り口の壁は穴が空いていて風が吹き込むー……。
勇気を出して踏み込むー……。
そう、形容するなら勇気だ。他に何と言おう。
思い出せ、初めて風俗に足を踏み入れた時の事をー……。
あのドキドキ、未知の世界への期待ー……。
1万5千円が泡と消えても全然気にしなかった時の事ー……。
そんな金あるなら年金払え、と言っても当時の僕には
聴こえなかっただろう…。
僕は大いなる期待とともに足を一歩踏み入れた。
荒れ果てた土地、吹きすさび埃混じりの風、
よどんだ空ー……
見るもすさんだ気持ちを呼び起こす街を彷徨っていた。
ここは、
性欲の廃墟だー……。
世界から性欲が消えたと思っていた頃、
それは自分の部屋の中での想像だったので、
外はどうなっているか気になっていた。
それは見なければ確かめられない。
性欲は僕に無くてはならないもの。
だから、確かめなければならない。
外に出るのは勇気がいると思った。
でも、目的のためには背水の陣にならなくてはならない。
それが僕の背中を押した。
そして、ここは性欲の廃墟と呼ばれる街ー……
数々の性欲の成れの果てがあると言うー……
ここに来れば何かつかめるかもしれないー……。
自分を中央に両脇に軒が連ねている。
木の庇をたずさえたボロイ建物。
西部劇で言う酒場に似たもろだしの木を使った壁……。
そこに一枚のポスターがあった。
昭和のビールのポスターの様だ。
ビール片手に水着の女性がこちらに向かって微笑んでいるのか……。
「のか」と言ったのは女性の顔が破れているからだ。
雨風にさらされたせいか……。
顔が見えず水着のトップだけが残っているのが
何ともエロい……。小麦色の肌……。
しかし、それは頭でエロいと理解しただけで、
僕の体は反応しなかった。
依然として性欲は消えたままだ。
これは調査せねばならない。
僕が向かうのは人の集まる場所。
酒場ではない。
ここで言う人が集まる場所は、
風俗の待機所だ。
今か今かと嬢に呼ばれるのを待つ
男の嬉々とした顔、置いてあるエロ本に
脇目を向けつつ澄ました顔するアイツ、
とりあえず出された麦茶を全部飲み干そうか考える奴
(おしっこに行きたくなるか心配)。
爪を切る奴……。
そんな愉快な仲間達の集う場所だ……。
とりあえず同士の顔を拝みに行きたい、というのが
僕の想いだった。
しかし、それが形を保っているか定かではないのだがー……。
傾いて汚れている箱ヘルの看板が見えた。
入り口の壁は穴が空いていて風が吹き込むー……。
勇気を出して踏み込むー……。
そう、形容するなら勇気だ。他に何と言おう。
思い出せ、初めて風俗に足を踏み入れた時の事をー……。
あのドキドキ、未知の世界への期待ー……。
1万5千円が泡と消えても全然気にしなかった時の事ー……。
そんな金あるなら年金払え、と言っても当時の僕には
聴こえなかっただろう…。
僕は大いなる期待とともに足を一歩踏み入れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる