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第一章

オークとオーガ プロロー村を警戒す

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エルミナ達からプロロー村での、対策を立てて、数日…………

とうとうイベント当日を迎えた………

「あそこか?」 「あぁ、間違いない」

俺とツッキーは、近くの森林に身を潜め、眼前にある村を見ながら、確認していた
警戒の為なら、村に入るべきだと、思うが、今の俺達は、オーガとオークだ…………

世間体から見たら、魔物は、敵と認識されている
まぁ、アルフレッド国王のお陰で、風当たりは、前よりいいが、ここは、言い方が悪いが田舎だ
話がここまで届いてるのかもわからない………
だから、こうして身を潜めている

村を見れば、小さく飾り付けを行なってる建物もあれば、バルーンのような飾りが空に浮いている
そしてここからでも見て分かるが、人が多い気がする

「プロロー村の祭りって、あんなに人が居たのか?」

「あぁ、プロロー村の祭りは、ゲーム内じゃ、かなり大きな祭りでな
それこそ、ほら、俺達が居た世界でもあったろ?
祭りが賑わって、混雑して、警察が交通規制とか、誘導するのとか、ソレ」

質問にツッキーが、淡々と答えてくる中、俺は、正直、想像がつかなくて、首を傾げた
テレビとかで、色々とニュースでやってたが、実際に目にしてないと、実際の混雑状況が分からないからな…………

(まぁ、そうだとしても……………
行きたくねえわな…………、そんな疲れる場所…………)

そう思いながら苦笑いしていると、後ろで物音がして、視線をそちらに向けた

「ユーマ様、アカツキ様
簡易型キャンプの準備が整いました」

「分かった
全員に念入りに準備をさせておけ」

「はい」

騎士鎧に身を包んだゴブ助が、来て、報告してくれば、俺は、すぐさまに指示を飛ばした
今回、念には念を入れ、村から四部隊を引き連れてきた

第一部隊には、ゴブ助が率いるゴブリン部隊

第二部隊には、ケンタウロスやエルフ等で結成された弓部隊

第三部隊には、ミノタウルス、ドワーフ、リザードマン等様々な種族で、結成されてる機動部隊

第四部隊には、色んな街等から、村に来て、剣や魔導を覚えたヒューマン部隊
その中には、元々、騎士だったり、ギルドに所属していた人達も居るから、大丈夫と見た

その四部隊は、森林の少し奥に開けた場所があるから、そこに俺とツッキーが作った簡易型のテントを建ててもらっている

そこで襲撃に備え、武器の確認や、腹ごなしの準備などを済ませてもらう事にした

「だが、ここからだと、もし盗賊が村に入っていたら、居場所は、突き止めたいな…………」

村の様子を見ていたツッキーがボソッと呟いたのが聞こえ、俺も村に視線を戻した
確かに、もし盗賊が暴れ出す前に、居場所が分かっていれば、被害を出さずにそこで鎮圧出来るはずだ

魔物の襲撃が、同時に起きなければだが…………

「村に入って調べたいな」

「だが、どうやって調べる?
第四部隊の数名を、探りに入れさせるか?」

「だが、見分けが出来るかって、言えば、出来ないだろ?
俺達でしか、分からねえとなると、行かせられねえだろ…………
それに逆に人質にされたら、元の子もないだろう」

二人でそんな事を話していると、ピコンと言う音と共にディスプレイが出てきた
ウィンドウを確認すれば、スキルの欄が開いてて、一箇所が光っていた

「【変幻】?」「…………もしかして」

俺達は、ソレを確認すれば、お互いに顔を見合ってから、ゴブ助達の所に向かった

「ゴブ助、お前達は、ココで警戒と準備、それと順番で休憩を回して、夜に備えろ」

「俺達は、村へ行き、色々と探ってくる」

「ですが、ユーマ様、アカツキ様ですと、かえって目立つのでは」

「そこは任せろ」

ゴブ助達に指示を飛ばすと、ゴブ助が申し訳なさそうに心配していたが、【変幻】を発動させれば、一瞬、視界が歪んだと思えば、すぐに戻った
その代わり、ゴブ助達が驚いた顔をしていた

「どうした?」 「ゆ、ユーマ様!?アカツキ様!? そのお姿は!?」


ゴブ助が驚いてる中、俺は、ツッキーを見た
すると、そこには、オークの姿をしたツッキーの姿ではなく、人の姿をしたツッキーがそこに居た

「…………ははは、随分と懐かしいな」

「そりゃそうだろ」

ツッキーも俺を見て、ほくそ笑んでるのが見え、そう呟けば、ツッキーも懐かしさを噛み締めるようにそう言った
そう………、変幻した姿は、まさに前世の姿………
いつも一緒に過ごしてきた姿なのだからな

「よし、何かあれば、【魔力水晶】で連絡しろ」

気合いを入れ直し、全員に指示を飛ばせば、俺とツッキーは、プロロー村に向かった


向かってる最中も警戒していたが、何も問題は無く、そのまま村に着いて、村の入り口を通り抜けると、何かを通り抜ける感覚があった

「今のは、防衛結界だな
魔物が入るのを封じる為のモノ、【プリセレ】では、最強の結界って、言われてたっけな」

ツッキーの説明を聞いていたが、確かプロローグでは、その結界が砕けそうになった所で主人公が、勇者の力に目覚め、結界を修復したところか、襲撃してきた魔物、全てを消し去ったんだよな
今に思えば、とんだイレギュラーで、デタラメで、都合良すぎる展開だな…………
まぁ、ゲームだからと、納得してたが…………
冷静になれば、て話か………

俺は、ツッキーに合図を送り、二手に分かれて、村を散策を開始した
目的は、二つ…………

一つは、盗賊どもの根城を見つける
そしてもう一つは、それぞれのゲームのキーキャラとなる主人公とヒロインを探し、マークすること…………
仮にその二人が存在してないと、なるとこの村は、滅ぶ
居たとしても原作同様に力に目覚めるかなんて、分からないからな…………

それにしてもツッキーが、気になる事があるってんで、言うから任せたけど…………
大丈夫かな?


ツッキーの事を心配しつつ、俺は、村の様子を観察した
村中は、出店などが出て、多くの人が賑わっている
出店では、何かの肉が売ってたり、この村の芋で作った揚げ物が売られていた
魔力を流し、物陰、建物内に居る人間の反応を確認していく
【スキル 感知】のお陰で、善人と悪人の区別が付くから楽だ
それとその人物が、盗賊かどうかまで分かる
正直、一番のチートは、コレだろ………

「あ、あの…………」  「ん?」

声をかけられ、下を見れば、12くらいの年齢の少女がバケット入ったクッキーを差し出してきた

「クッキー、如何ですか?」

少女がそう言ってるのを聞きながら、俺は、ディスプレイに出てきた文字を確認した

《【カル・ランボリー】
母親が病気の為、薬が必要】》

カル・ランボリー?

(何だ?
何でキャラ名が出てきたんだ?
こんな名前、攻略キャラには、居なかったはず……………)

疑問に感じながら俺は、少女・カルが困ってるのを見過ごせる訳なく、すぐさまインベントリを開いた

「釣りは要らない
それとその顔を見るに、家族が病気だろう
この薬を飲ませるといい、すぐに良くなる」

金貨と善草で作った薬を渡し、クッキーを貰うと、カルは、驚いているが、それに反応している暇はなさそうだ

(見つけた…………、盗賊が宿に使ってる根城…………
ここから二つ………)

カルが何か言いたそうにしてるが、適当に二、三言葉をかけてから、すぐにその場を離れた
すぐにツッキーと合流したいが、その前にやる事をやらないとな…………

その後、やる事をやってからツッキーと合流…………
根城の場所の共有と、ツッキーの報告を聞いた

ツッキーは、俺と別れた後、【透明化】を発動させ、とある場所に向かったそうだ
その場所は、結界を発生させてる中枢………
結界水晶が置かれてる部屋に入ったそうだ

ツッキーが気になった事、それは防御結界の強度だそうだ
プロローグでは、最強の結界だと言われていたが、変化が無いかを確認する為だそうだが……………

「結界水晶が壊れかけてた!?」

「あぁ、しかも随分と時間をかけてな」

ツッキーがそこで見たモノは、ヒビが走り、今にも砕け散ろうとしている水晶だそうだ
作中最強と言われた結界の核だからそう簡単に壊れるかといえば、ありえない…………
だったら、答えは一つ………

何者かが、水晶を誰にも気づかれず、ずっと攻撃していたと見える

「水晶は、俺が修復したから、問題ないが…………
こりゃあ村の中に元凶が居るか、もしくは…………」

「シェアが言っていた何者かが関わってると………」

俺の言葉にツッキーは、静かに頷いた
確かに…………、ツッキーの考えには、同意する
ここの村は、気配を探るにそこまで強い人間は、居ない
むしろ防衛をしている防御隊の所を覗き見た際、大体、ゲームで言うと、レベルは、5辺りの初級クラスだ
この村の防衛隊に紛れ込んでたら、気付くはずだ
だが、センサーには、反応がなかったと見るにスパイとかは居ない
となれば、考えられるのは一つ………

俺達が死ぬ元凶となったヤツが、関わってると見ていい

そしてツッキーは、【プリセレ】の主人公と
【貴光】のヒロインを見つけたと言ってきた

「設定集とかで、書かれていたまんまの姿だったからな
すぐに分かった」

ツッキーは、やたら嬉しそうに笑っていたが、そこで俺は、疑問が出てきた

では、俺が出会ったカル・ランボリー…………

その名を言ってもツッキーは、首を傾げ、『知らん』と言ってきた

(ヤツは…………、何者だ?)


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