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第8章

声を聞きたくて

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恵子はパーカーを脱ぎ、ハイウエストタイツ姿でリビングのソファに倒れ込みました。
ヴァギナの中には貴浩のペニスの射精の余韻がまだ残っています。
本来ならソファでくつろぎながら、貴浩とのセックスの余韻に浸るところですが、頼子と貴浩の、恵子にとっては禁断のセックスを見てしまい、それどころではありません。
「嘘って思いたいけど嘘じゃないよね。自然にセックスしていたから、今までも何度もセックスしているのよ。「好き」って叫ぶ声も聞こえたわ。頼子さんと貴浩くん、血の繋がった姉弟でしょう。ダメよ、これは。いやよ、頼子さん、貴浩くん、いやよ、いやよ」
恵子はソファに泣き崩れます。
恵子は二人が実の姉弟でないことを知らないので、二人に裏切られたような気分です。
「どうしてすぐに家に入らなかったのよ?すぐに入れば見なくて済んだのに‥」
恵子の目から後悔の涙が止まりません。

恵子はスマホでLINEを開きました。
考え込んでしまうと心が乱されます。
恵子は今、一番声を聞きたいと思った相手にLINEから電話しました。
「もしもし、夜にごめんね」
「恵子、こんな時間にどうしたの?」
「う、うん。何でもないんだけどね。どうしても声が聞きたくて‥」
「え?え?え?今声が聞きたくてって言った?嘘じゃないよね?」
「うん、本当よ。どうしても声が聞きたくて‥」
「恵子にそんな事言われたら、すごく嬉しいよ‥」
電話口の声が泣き声に変わりました。
恵子は菜乃花にTELしたのです。

「菜乃花、こんな時間にごめんね」
「恵子、何言ってるのよ。私は恵子を愛しているんだから、TELはいつでもOKよ」
菜乃花らしい反応に恵子はホッとしました。
今、頼子や貴浩とまったく関係がないのが唯一菜乃花です。
菜乃花と話をして心を落ち着かせたいと思ったのでした。
「菜乃花、今日の買い物、役に立たなくてごめんね」
「え?何言ってるのよ。私は愛する恵子とデートできて満足なんだから」
「私も菜乃花とデートできて嬉しかったわ」
「またまたそんなこと言われたら泣いちゃうよ‥‥ねえ、恵子。声を聞けるのは嬉しいんだけど、何かあったの?こんな電話してきたの初めてだから」
いくら二人に関係ない菜乃花でも、頼子と貴浩の姉弟相姦を話すことは流石にできません。
「菜乃花、大丈夫よ。そんなことじゃないから。本当に声が聞きたかったのよ」
紛れもなく今の恵子の本心です。
「恵子、そんな‥本当に嬉しいよ!あ、ちょっと、ママ、邪魔しないでよ。愛する恵子と喋ってるんだから。え、何?あ、恵子、ママも恵子を好きだって!恵子のことをすごく気に入ったみたいよ」
「え?私、菜乃花のお母さんと会ったことないわよ。写真を見せたの?」
「はあ?何言ってんのよ、恵子。ちょっと大丈夫?今日のお昼に会ってるじゃない。もう忘れたの?あ、横でママが凹んでる」
恵子は思い当たる節がなく困惑しています。
「菜乃花、お母さんに申し訳ないけど、私は知らないわよ、本当に。どこかでいらっしゃったの?」
「ちょっと、恵子。今日のお昼にカレーライス食べたでしょ」
「それは覚えてるわ。すごく美味しくて、また食べたいって思ったから」
「ほら覚えてるじゃない。ママ、恵子がママのカレーライスがすごく美味しくて、また食べたいって。あ、ママの機嫌が治ったわ。恵子、ママがいつでも食べに来てって」
恵子の顔が真っ赤になります。
「え!?ちょ、ちょっと、菜乃花、あの時に何で教えてくれなかったのよ!私、何にも挨拶しなかったじゃない。すごく失礼なことしちゃってごめんなさいって伝えてよ」
ようやく恵子は理解しました。
お昼に喫茶店で会ったマダムが、菜乃花の母だったのです。
「恵子、本当に気づかなかったの?よく似てるって言われるし、白いストッキングを履いてるし」
確かにそう言われると納得です。

恵子は恥ずかしくて穴に隠れたい気分です。
顔が完全に真っ赤です。
「ママ、恵子が挨拶しなくてすみませんだって。恵子、うちのママなんかに気を遣わなくて平気よ。(ゴツン!)うわ、痛~い、ママにどつかれた!」
恵子は思わず吹き出してしまいました。
「菜乃花、一言余分だからよ。今度改めてご挨拶に伺ってカレーライスをいただくわ」
「恵子ってほんと律義者ね。え?ママがあなたと大違いだって。うるさいなあ、もう」
菜乃花との明るい会話で、恵子の心はかなり落ち着きを取り戻しました。

「恵子、今もタイツだけなの?」
「もちろんよ。今はタイツ履いてリビングのソファで横になってくつろいでるわ」
恵子はマネの「オランピア」の絵のように横たわっています。
「私もタイツを履いてるわよ。トレーナーも着てるけどね。ほんと、このタイツ、最高に気持ちいいよ。しかも部室でセックスしたタイツだからね」
「ん?セックスしたタイツじゃなくて、タイツでセックスしただよね」
「もう、そんな突っ込み入れないでよ。セックスで突っ込むのは指だよ」
「菜乃花、大胆発言!」
「だってそうでしょ。恵子の指がタイツごとヴァギナに入ってきたじゃない。あの幸せに今も浸ってるのよ。恵子とタイツセックスできて幸せだもん、あ、ママ、冷やかさないでよ、もう」
恵子は菜乃花と部室でセックスしたのがかなり前のように感じます。
その後で、このタイツのまま貴浩とイラマチオをして、さらに頼子とセックスをして、貴浩ともセックスをしました。
恵子は今すぐにヴァギナに上書きしたい欲情に駆られていました。
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