上 下
115 / 202
第7章

真由との一夜 林の中で

しおりを挟む
どれほど真由は泣き続けたでしょうか。
枕が涙でぐっしょり濡れています。
気持ちが少し落ち着くと、真由は出て行った恵子のことが少し気になり、そっと静かに1Fへ降りていきました。
リビングの電気がまだついていて、恵子のすすり泣く声が聞こえてきます。
「真由、真由、本当にごめんなさい。お願い、許して」
リビングのテーブルに突っ伏して泣いている恵子を見ると、真由はそのまま2Fへ静かに戻りました。

ベッドの上で目を閉じると、恵子の笑顔が次々と浮かんできます。
「恵子はいつも私に微笑んでくれた‥いつも私を気にかけてくれた‥いつも私を心配してくれた‥そしていつも私を幸せにしてくれた‥さっきも恵子はきっとサプライズで私を驚かせて、私を幸せにしようとしたのね。それなのに私は恵子を叩いて、絶交するなんて言ってしまったわ‥」
真由は大きくため息をつきました。
「恵子を失うなんて絶対イヤよ。私がちゃんと恵子に謝ろう」
真由はもう一度1Fへ降りました。
リビングの電気はついていましたが、静かになっていました。
恵子は泣き疲れて眠ってしまったようです。
(恵子の寝顔、可愛いなあ‥恵子、辛い思いをさせてしまってごめんなさい)
恵子が肩にかけていたタオルケットを少し直して、真由は2Fへ戻りました。
「明日の朝1番に恵子に謝ろう」
真由も泣き疲れていたため、すぐに眠りに落ちました。

ふと目を覚ますと、外が明るくなり始めていました。
真由が起き上がると同時に、玄関のドアがバタンと閉まる音がしました。
「恵子?」
真由が急いで窓から外を見ると、タイツ姿の恵子が玄関から外に出て、裏の庭の方へ向かっているのが見えます。
急いで部屋を出ると、入り口のドアの前に白いハイウエストタイツと便箋が置いてありました。


真由へ

昨日は本当にごめんなさい。
私が明らかに傲慢でした。
真由が喜ぶだろうと勝手に思い込み、真由の気持ちを考えもせず、無理やりやってしまったことをとても後悔しています。
親友失格で絶交を言われても当然です。
謝って済むことではありませんが、本当にごめんなさい。

真由は朝1番で帰ると思うので、朝食を作っておきました。
私の料理なんて食べたくないって言われるでしょうが、私の真由への今までのお礼です。
同じくハイウエストタイツも置いておきます。
真由からもらったサイハイソックスは大切に履きます。
私がいるとまた真由に不愉快な思いをさせてしまうので、私の傲慢な頭を冷やしに外へ出ています。
もう口を聞いてもらえないと思いますが、本当に今までありがとう。
私は今でも真由が大好きです。
本当にごめんなさい。
さようなら。

恵子


「恵子‥」
真由は急いでハイウエストタイツに履き替え、1Fに降りました。
ダイニングには真由の大好きなスクランブルエッグとカリカリベーコンの朝食が用意されていました。
「恵子、こんな私のために‥」
真由の目から涙が流れ落ちます。
「イヤよ、恵子を失うなんて絶対いや。恵子、私こそごめんなさい。お願いだからこれからもそばにいて」
真由は大急ぎで靴を履くと、タイツ姿のまま恵子の後を追いかけました。

林の中は朝靄がかかって幻想的な景色を見せていましたが、恵子の目にはこの景色の美しさはまったく映っていません。
目に浮かぶのは昨夜の光景、特に真由の怒りの形相です。
「戻れるならあの時に戻りたい。どうしてあんなことしたの、恵子」
いくら自問してももう結果は出ています。
真由との壊れた関係を修復する術はありません。
「カミーユ、私、本当に傲慢だったわ。自分から幸せをぶち壊してしまったわ‥」
朝靄の中で空を見上げる恵子の目から涙が溢れます。

林の中を流れる小川の川縁でしゃがみ込んだ恵子は川面に自分の顔を映します。
「本当に自分勝手な傲慢な恵子よ」
すぐそばに落ちていた小石を川へ投げつけます。
恵子は自分への腹立たしさを抑えきれず、次々と小石を川に投げつけます。
「真由、真由、ごめんなさい。もう2度と傲慢にならないから許して、真由」
陽の光が差し始めた林の中で号泣する恵子は、真由が恵子を探していることにまだ気づいていません。

「恵子、どこまで行ったのかしら?」
庭に恵子がいないことを確認した真由は、林の中へ入ってきました。
しかし、真由にとっては初めての場所です。
小道を見失わないように慎重に歩を進めます。
朝靄の漂う幻想的な絵画のような光景を思わず見惚れます。
「本当に心が休まる景色だわ。この中で恵子が気持ちを落ち着けていてくれたらいいのだけど」
小川のそばまで来た真由は、そのまま川沿いを歩きます。
「あっ、もしかして‥」
霧が少し晴れた先に、白いハイウエストタイツでしゃがんでいる恵子をようやく見つけました。
真由はゆっくり静かに恵子に近づいていきます。
恵子は泣きながら小石を小川に投げ続けていて、真由にまったく気づきません。

真由はそっと恵子の隣に一緒にしゃがみました。
足元の水たまりに突然真由が映ったので、恵子は驚いて立ち上がります。
「ま、真由!どうして?」
「恵子に文句を言いたいからよ」
真由も立ち上がると、恵子は二、三歩後退りして俯いてしまいました。
「真由、ごめんなさい」
「私、まだ何も言っていないわよ。何を勝手に謝ってるのよ。そんな恵子、本当に大嫌いよ」
恵子の目から涙が止まりません。

「恵子、タイツ散策に私を誘ったのはあなたよ。それなのになんで私に声を掛けずに1人で来てるの?あまりに自分勝手で傲慢よ」
「え?」
恵子は思わず顔を上げました。
「それにスクランブルエッグはちゃんと塩胡椒を効かせてよ。もっと私のことを考えて欲しいわ」
「真由‥‥」
恵子は涙を拭いながら驚きの表情で真由を見つめました。
「恵子!」
真由は泣きながら力一杯恵子を抱きしめます。
「恵子、ごめんなさい。昨日は私が悪かったわ。恵子は私のためにしてくれたのに、私が勝手に腹を立てて酷い暴言まで‥本当にごめんなさい」
恵子も再び泣きながら力一杯真由を抱きしめます。
「ま、真由、そんなことないわ。悪いのは私よ。真由の気持ちを踏み躙って勝手なことをしたのは私よ。私が悪いのよ」
「ううん、違うわ。私が悪いのよ。恵子に暴力まで振るったわ。恵子を部屋から追い出したわ。許されないことをしたのは私よ。本当にごめんなさい」
真由は恵子から離れると、その場に土下座して詫びました。
「真由、やめて。お願いだからやめて」
恵子は真由の前にひざまずき、真由を何とか起こしました。
「恵子、お願い、私を許して欲しい。これからもずっとそばにいて欲しいのよ」
真由は泣きじゃくりながら再び恵子を抱きしめます。
「真由、私もずっとずっと真由と一緒にいたいわ。私を許して」
恵子も力一杯真由を抱きしめ、涙を流します。
2人の嗚咽が朝靄の林の中にしばらくの間、響いていました。

朝靄が消え始め、2人はようやく体を離しました。
真由も恵子も爽やかな笑顔が戻りました。
恵子が真由のタイツの汚れを払うと、再び力強く抱きしめ合い、お互いの右手の指が相手の秘部を探ります。
恵子も真由もディープキスを交わしながら、タイツ体を密着させ、右手の中指と薬指をタイツごとヴァギナに挿入しました。
そしてディープキスのまま、ピストン運動を開始してすぐに加速すると、2人の声にならない喘ぎ声が漏れ、鼻息が荒くなります。
白いタイツ脚を細かく痙攣させながら、恵子も真由もすぐに絶頂を迎えました。
快感を我慢できずに、キスしていた口を離します。
「恵子、我慢できない、一緒にイッて、一緒にイクよ」
「真由、私もイキそう、イキそうよ、一緒にイクわよ」
「恵子、イク、イク、イクーーーッ」
「真由、もうダメ、イッちゃうーーーッ」
2人の大絶叫が林の中から草原まで響き渡り、草原を走っていた貴浩の耳にも届いていました。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

知らぬはヒロインだけ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:117

オレ様黒王子のフクザツな恋愛事情 〜80億分の1のキセキ〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

捨てられた令嬢、幼なじみに引き取られる。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:204

どうしたって、君と初恋。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:13

傷ついた心を癒すのは大きな愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:51

【R-18有】皇太子の執着と義兄の献身

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:294

貴方なんか興味ありませんわ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:230

処理中です...