とある小さな村のチートな鍛冶屋さん

夜船 紡

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トランキル帝国編

試作の結果

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改めて、外に出た私達。

「棍と言ったか、どう扱えばいいんだ?」
「薙刀や槍の様に使うんだけど……」
「ふむ。こんな感じか」

私の曖昧な説明にも関わらず、レグルスは棍を構えるとまるで使い慣れた物のようにブンブンと振り回した。
ミスリルは鉄より硬い筈なのに柔らかな性質を持っている。そのためか、木の様に良くしなり、風をヒュンッと切る音が辺りに響いた。
凄い!アクションゲームで見た動きにそっくり!!
突き出し、薙ぎ払い、打ち込み…… 途切れることなく舞うような動きに魅了される。

「はぁー!!」

魔力の浸透を試しているのだろう、レグルスの周りが寒くなる。同時に棍の左右に氷の礫が出来上がっていた。
レグルスの動きに合わせて剥がれていくそれがキラキラと光に反射して綺麗……
すぐにやめないところを見ると気に入ってもらえたのだろうか?
そう思って見学しているとニハルが興奮した様子で私を見た。

「あれ、お前が作ったのか!?」
「そ、そうだよ」
「この短時間で?!」
「素材とかはあったし、形だけなら難しいものではないから……」
「なぁ!俺のは?!俺のも早く作ってくれよ!!」

そういや、レグルスにばかり気を取られてたけどニハルも私に作ってって言ってたっけ?
でも、カーバンクルで作るの?
そう想って尋ねたらニハルはそうだったと青い顔になった。

「どうしよう…… 俺。他に獲物って何がいいか、予想もつかない」
「魔物のことは私、わかんないんだけど……ニハルの身軽さを阻害するような重たいものは避けたほうがいいと思うよ?」
「軽い魔物なんて、んなの想像つかねぇよっ!」

悔しそうに地団駄を踏むニハルにどうしようかと悩んだ時だった。
空から聞きなれた声が聞こえた。

ーーご飯食べにきてやったぞー!
「ジェード!おかえり」

空をかける白い虎。
飛び込んできたジェードを抱きしめる。
うーん、可愛いなぁ。

ーーいつまで抱きしめてるんだよぉー!とっとと飯ー!!

3日振りに帰ってきて、珍しく甘えてきたと思ったらご飯のおねだりかぁ。
仕方ない。ニハルには悪いけど、一旦考えるのを中断して何か作ろう。
ついでに2人も何か食べていくか聞こうと思ってそちらを向いた。
……は?
なんで、ニハル怯えて丸まってるの!?
なんで、レグルス警戒心マックスで棍を構えているの!?

「ふ、2人とも?」

思わず恐る恐る声をかける。

「と、虎の眷属様までいたのかよぉ……」
「すまない。つい」
ーーん?誰だぁ??
「ひぃっ!」
「!!」

え、本気でなんなの?その反応は!
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