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トランキル帝国編
攻めと守り
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最初レグルスの周りを回り、動揺と隙を狙おうとしたのだけど、隙がなかったから目を回させようと走っていたらしい。
「作戦だよ!作戦!!」
「確かに最初は驚いた」
「ほらな!!」
「だが、何時迄も攻撃に転じなければ意味がない」
「うぐっ……」
反省会と称した話し合いはレグルスによる説教タイムに代わり、ニハルは長い耳をヘタッと垂させて涙目だ。
うーん……可愛い。
レグルスもそう思ったのだろう。
ゴホンと咳払いを一つして、あまり背の変わらないニハルの頭を撫でた。
「ま、まあ、自身の強みを理解しているのはなかなかいいんじゃないか」
「本当か!?」
パァーと嬉しそうに笑顔になるニハル。
とりあえず、今のだけじゃ武器の参考にはならなさそう……
「今度は、私から攻撃を仕掛けよう。貴公は回避、防御に専念して隙を見つけて私を攻撃してくれ」
「わ、わかった!」
「では、参る!」
レグルスの拳をニハルがさっと避ける。
それを予測していたように繰り出された蹴りがニハルの頬を掠った。
「っ!」
その一瞬、ニハルが空へと跳んだ。
追うようにレグルスもジャンプするが、ニハルには届かない。そう判断すると、降りてきたニハルを迎え入れるために見つめる。
けれど、ニハルは落下点である筈の場所に落ちることはなかった。
どういう事?横に跳んだ!?
え、ええ、空を蹴ったってこと?普通そんな事できるの??
レグルスもこれには目を見開いて驚き、それでも、ニハルから目を離さず追う。
けれど、そこからもレグルスが攻撃を仕掛けようとする度にニハルは逃げる。
先程とは違い、レグルスがニハルに翻弄されているようにも見えた。ただ、攻撃をする気配がない。
「っはぁぁぁ!」
「!!」
レグルスが声を上げる。それと同時に手足に氷が巻き付き籠手や足甲のようになり、技を出すスピードが上がった。
事実、ニハルが息を呑み、先程よりもギリギリを避けているようだった。
レグルスの攻撃がついにニハルを捉える。
「あがっ!!」
攻撃を受けて、ニハルが倒れる。
先程よりも痛そうだ……
でも、さっきよりもずっと良かった気がする。
レグルスの技も見れたし。
「ってて……」
「貴公は不思議だな」
「あ?」
「攻撃よりも、防御に徹している時の方が生き生きしていた」
「逃げるのは得意なんだよ。でも、攻撃をしようと思うと身が竦む……情けないっ」
「そんな事はない。防御は大事だ。確かに攻撃出来ねば倒す事は出来ないが……」
「だよなぁ。それより、その氷は一体なんなんだ?」
「魔法を手足に纏わせているんだ。その重みで攻撃のスピードと威力が上がる」
「へぇ…!俺にも出来るかな!?」
「出来るさ。氷魔法、使えるか?」
「ああ」
「ならここをこんな風にして……そこはああ、そう、そういう風に……」
うーん、レグルスとニハルの世界に入っていけない。
でも、ちょっと気になることがある。
「レグルス、少しいい??」
「む?なんだ?」
「この魔法は、闘技大会では反則にならないの?」
「ならないな」
「魔法って遠距離のイメージなんだけど、レグルスはそうしないの?」
「……その、コントロールが出来ないんだ」
「コントロール?」
「飛ばした魔法が上手く敵に当てることができない」
「成る程……」
少し、彼に渡す為の武器が見えてきたかも。
「作戦だよ!作戦!!」
「確かに最初は驚いた」
「ほらな!!」
「だが、何時迄も攻撃に転じなければ意味がない」
「うぐっ……」
反省会と称した話し合いはレグルスによる説教タイムに代わり、ニハルは長い耳をヘタッと垂させて涙目だ。
うーん……可愛い。
レグルスもそう思ったのだろう。
ゴホンと咳払いを一つして、あまり背の変わらないニハルの頭を撫でた。
「ま、まあ、自身の強みを理解しているのはなかなかいいんじゃないか」
「本当か!?」
パァーと嬉しそうに笑顔になるニハル。
とりあえず、今のだけじゃ武器の参考にはならなさそう……
「今度は、私から攻撃を仕掛けよう。貴公は回避、防御に専念して隙を見つけて私を攻撃してくれ」
「わ、わかった!」
「では、参る!」
レグルスの拳をニハルがさっと避ける。
それを予測していたように繰り出された蹴りがニハルの頬を掠った。
「っ!」
その一瞬、ニハルが空へと跳んだ。
追うようにレグルスもジャンプするが、ニハルには届かない。そう判断すると、降りてきたニハルを迎え入れるために見つめる。
けれど、ニハルは落下点である筈の場所に落ちることはなかった。
どういう事?横に跳んだ!?
え、ええ、空を蹴ったってこと?普通そんな事できるの??
レグルスもこれには目を見開いて驚き、それでも、ニハルから目を離さず追う。
けれど、そこからもレグルスが攻撃を仕掛けようとする度にニハルは逃げる。
先程とは違い、レグルスがニハルに翻弄されているようにも見えた。ただ、攻撃をする気配がない。
「っはぁぁぁ!」
「!!」
レグルスが声を上げる。それと同時に手足に氷が巻き付き籠手や足甲のようになり、技を出すスピードが上がった。
事実、ニハルが息を呑み、先程よりもギリギリを避けているようだった。
レグルスの攻撃がついにニハルを捉える。
「あがっ!!」
攻撃を受けて、ニハルが倒れる。
先程よりも痛そうだ……
でも、さっきよりもずっと良かった気がする。
レグルスの技も見れたし。
「ってて……」
「貴公は不思議だな」
「あ?」
「攻撃よりも、防御に徹している時の方が生き生きしていた」
「逃げるのは得意なんだよ。でも、攻撃をしようと思うと身が竦む……情けないっ」
「そんな事はない。防御は大事だ。確かに攻撃出来ねば倒す事は出来ないが……」
「だよなぁ。それより、その氷は一体なんなんだ?」
「魔法を手足に纏わせているんだ。その重みで攻撃のスピードと威力が上がる」
「へぇ…!俺にも出来るかな!?」
「出来るさ。氷魔法、使えるか?」
「ああ」
「ならここをこんな風にして……そこはああ、そう、そういう風に……」
うーん、レグルスとニハルの世界に入っていけない。
でも、ちょっと気になることがある。
「レグルス、少しいい??」
「む?なんだ?」
「この魔法は、闘技大会では反則にならないの?」
「ならないな」
「魔法って遠距離のイメージなんだけど、レグルスはそうしないの?」
「……その、コントロールが出来ないんだ」
「コントロール?」
「飛ばした魔法が上手く敵に当てることができない」
「成る程……」
少し、彼に渡す為の武器が見えてきたかも。
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