144 / 180
第144話 いけない もう帰らないと
しおりを挟む
次の日。
宿屋の前に馬車が到着し、ガレインさんと別れの挨拶交わす
「色々ありがとうございましたガレインさん」
「いやいや、休んでまで来てよかったぜ。後でうちから使いを寄越すから、詳しい話はそっちにしてくれ」
「はい。それまでに俺達もどうするか考えときます」
「おう、頼んだぞ! 俺は準備があるからそっちに行けないかもしれないが、お前達の動きに合わせるつもりだ。じゃあな」
ガレインさんは俺達に手を挙げて馬車に乗り込み、デナントミールから出立する。
残された俺達もそれぞれ馬車に乗り、サルブレムへ帰ることに。
デナントミールではリネット達とあまり話すことが出来なかったので、帰りの馬車の中でオルビルトについて話す。
「さて……エルソールの方はどうにか片付きそうだけど、問題はオルビルトだな」
「そうね。あいつ、最後に『僕は帰る』って言ってたから、もうこの世界にはいないかもしれないわ」
「となれば、イストウィアに戻って何かしでかす可能性が高いな」
「ただの小悪党ではなさそうだし、あんなやつが私達の世界にいたなんてね。だけど、絶対に追い詰めてみせるわ」
「ああ、こっちを早急に終わらせてすぐに後を追おう。やつを倒すことが出来なかったが、あいつも俺達を倒せないみたいだったから今なら勝てるかもしれない」
「でもまさか、フィオを狙ってるなんて思いもしなかったわ。姉さんだけかと思っていたけどそうじゃなかったのね」
「俺達のも狙ってるらしいからな。少なくとも奪った魂の力を使うことが出来るのは確かみたいだ」
「私の代わりにソウタ君の友達が死んじゃったから、なんだか申し訳ないよ」
フィオが俺にポツリと言う。
「そんなことないぞ! フィオが無事で良かったし、悪いのは全部あいつ等なんだから」
マリィがフィオの頭にポンッと手を置いて俺のに続く。
「それに、イセリアの体を乗っ取ったやつもディアナさんの魂を奪おうとしていた。もしフィオの魂が奪われていたとしても、イセリアの中にあるラティエさんの魂は狙われていただろう」
「マリィの言う通りだ。だからフィオ気にすることはないからな」
「分かったよ……。だけど、どうして私の魂なんて欲しがったんだろう? 私は精霊の力なんて持ってないよ」
「洗練された魂がどうこう言ってたから精霊の力だけではないんだろう。後はフィオよりもラティエの魂の方を優先する何かしらの理由があったんだろう」
「姉さんはそこら辺について何か知らないの? エスプリマも同じように自分の魂から出現させるわけだしさ」
「関連性はあるかもしれないけど、人様の魂を使うなんてことはあり得ないはずよ。父さん達もその辺のことは研究してないわ」
「あいつ長生きしてるみたいだったし、私達の知らないことも知ってるのかしら」
「ソウタさんが転生する前の時代から生きているってことよね。七百年前に異世界への転移が出来てたなんて信じられない話だわ」
「そりゃあ、この世界に来るための転移装置なんて簡単に作れるわけね」
「エスプリマについては一から調べ直す必要がありそうだわ」
「いずれにせよ早くイストウィアに帰らなきゃね」
「そういや、オーブが奪われたからこの世界の危機は無くなったんだよな? この後はすぐに向こうに帰るのか?」
「エクシエルさんが何て言うかだけど、私はここまで来たからには最後までいるつもりよ。トレインもまだこの世界に残ってるかもしれないしね……」
「そうだな……。リネット達の仲間を殺ったトレインの野郎も探さないとな」
「それと、ソウタがこの世界を救う勇者になるところも見届けないといけないでしょ? まあ、今更私達の助けはいらないでしょうけどね」
「そんな話あったなあ。最近まで言ってたけど随分と前に感じるな」
俺がそう言うとサーシャが笑いながら答える。
「ふふっ、初めてあったときはお互いこんなことになるなんて思いもしませんでしたね」
「いや、実際ここまで来れたのはみんながいたからだよ。その……あ……ありがとうな」
俺は照れながらもみんなに感謝の言葉を口にする。
それを受けてマリィとフィオが口を開く。
「それは私達にも言えることだ。お前がいなければ今頃私達はこの世界にいなかった可能性もあるからな」
「そうそう、ソウタ君達がいなかったらオルビルトと会う前に殺されてかもしれないよ」
「今では沢山の人達が俺達の味方になってくれている。ようやくだがみんなでこの世界を救おう!」
それから、行きと同じように十日ほど掛けてサルブレムのティントに帰り着く。
着いたのが昼間だったということもあり、俺達はエクシエルさん達に報告に向かうことにする。
「じゃあ、俺はディアナを連れてウラガン団長のところに行くから、リネット達はエクシエルさんの方を頼むよ」
「了解よ。報告が終わったらそっちに行くわ」
「アリエルはどうする? 一緒に行くか?」
「いや、私は店に戻るとしよう。ではディアナ、後で待っているぞ」
「すまないなアリエル。しばらくお前の家にやっかいになる」
申し訳なさそうに言うディアナに、アリエルが手書きの地図を渡す。
「何を言うディアナよ。私とお前の仲ではないか。お前の傷ついた心を私が癒してやろう」
「おい、やめろ! アリエルが言うと卑猥に聞こえるんだよ!」
「はっはっはっ! まあ、お前のような粗暴なやつならともかく、ディアナなら大歓迎だ。ついでにうちの店を手伝ってもらおう」
「おっ! そりゃあ名案だな! あの店にディアナがいればお客さん増えるぜ!」
「そうだろう! あそこは私一人でやってるから、仕入れに中々いけなかったんだ。椅子に座っててもらうだけでも助かる」
そんな俺達のやり取りを見てディアナが少し笑顔になる。
「お前達は相変わらずのようだな。勝手に話を決められては困るがそれも楽しそうだ」
「うむ、我々にはもう世界の調和を取るという責務は無いんだから、新たな人生を楽しまねば損だぞ」
「俺もそう思うよ。ディアナの場合はすぐにってわけにはいかないだろうけど、これからは自分達自身のことも考えないとな」
「お前達は前向きだな。しかし、いつか私も過去と決別をしなければならないのは事実だろう」
「ウィルもラティエも俺にとっては大事な家族だ。ディアナの気持ちを全て解るとは言わないけど、悲しい気持ちは同じだ。だけど、生き残った俺達は前に進むしかないからな」
その話にプリムとキニングが頷き、アリエルが話し出す。
「全てはやつを仕留めてからだがな。それでなサーシャよ。今度時間があるときでいいから、私の店に顔を出してくれ」
「え? 私ですか?」
突然そう言われたサーシャは困惑気味に答える。
「オルビルトのことで少し気になることがある。暇なときでいいから来てくれ」
「でしたら、明日にでも伺いますね」
「待っているぞ。出来ればフィオちゃんも連れて来てくれ。ではな!」
アリエルはそう言い残し、サルブレム城の門前から去って行く。
宿屋の前に馬車が到着し、ガレインさんと別れの挨拶交わす
「色々ありがとうございましたガレインさん」
「いやいや、休んでまで来てよかったぜ。後でうちから使いを寄越すから、詳しい話はそっちにしてくれ」
「はい。それまでに俺達もどうするか考えときます」
「おう、頼んだぞ! 俺は準備があるからそっちに行けないかもしれないが、お前達の動きに合わせるつもりだ。じゃあな」
ガレインさんは俺達に手を挙げて馬車に乗り込み、デナントミールから出立する。
残された俺達もそれぞれ馬車に乗り、サルブレムへ帰ることに。
デナントミールではリネット達とあまり話すことが出来なかったので、帰りの馬車の中でオルビルトについて話す。
「さて……エルソールの方はどうにか片付きそうだけど、問題はオルビルトだな」
「そうね。あいつ、最後に『僕は帰る』って言ってたから、もうこの世界にはいないかもしれないわ」
「となれば、イストウィアに戻って何かしでかす可能性が高いな」
「ただの小悪党ではなさそうだし、あんなやつが私達の世界にいたなんてね。だけど、絶対に追い詰めてみせるわ」
「ああ、こっちを早急に終わらせてすぐに後を追おう。やつを倒すことが出来なかったが、あいつも俺達を倒せないみたいだったから今なら勝てるかもしれない」
「でもまさか、フィオを狙ってるなんて思いもしなかったわ。姉さんだけかと思っていたけどそうじゃなかったのね」
「俺達のも狙ってるらしいからな。少なくとも奪った魂の力を使うことが出来るのは確かみたいだ」
「私の代わりにソウタ君の友達が死んじゃったから、なんだか申し訳ないよ」
フィオが俺にポツリと言う。
「そんなことないぞ! フィオが無事で良かったし、悪いのは全部あいつ等なんだから」
マリィがフィオの頭にポンッと手を置いて俺のに続く。
「それに、イセリアの体を乗っ取ったやつもディアナさんの魂を奪おうとしていた。もしフィオの魂が奪われていたとしても、イセリアの中にあるラティエさんの魂は狙われていただろう」
「マリィの言う通りだ。だからフィオ気にすることはないからな」
「分かったよ……。だけど、どうして私の魂なんて欲しがったんだろう? 私は精霊の力なんて持ってないよ」
「洗練された魂がどうこう言ってたから精霊の力だけではないんだろう。後はフィオよりもラティエの魂の方を優先する何かしらの理由があったんだろう」
「姉さんはそこら辺について何か知らないの? エスプリマも同じように自分の魂から出現させるわけだしさ」
「関連性はあるかもしれないけど、人様の魂を使うなんてことはあり得ないはずよ。父さん達もその辺のことは研究してないわ」
「あいつ長生きしてるみたいだったし、私達の知らないことも知ってるのかしら」
「ソウタさんが転生する前の時代から生きているってことよね。七百年前に異世界への転移が出来てたなんて信じられない話だわ」
「そりゃあ、この世界に来るための転移装置なんて簡単に作れるわけね」
「エスプリマについては一から調べ直す必要がありそうだわ」
「いずれにせよ早くイストウィアに帰らなきゃね」
「そういや、オーブが奪われたからこの世界の危機は無くなったんだよな? この後はすぐに向こうに帰るのか?」
「エクシエルさんが何て言うかだけど、私はここまで来たからには最後までいるつもりよ。トレインもまだこの世界に残ってるかもしれないしね……」
「そうだな……。リネット達の仲間を殺ったトレインの野郎も探さないとな」
「それと、ソウタがこの世界を救う勇者になるところも見届けないといけないでしょ? まあ、今更私達の助けはいらないでしょうけどね」
「そんな話あったなあ。最近まで言ってたけど随分と前に感じるな」
俺がそう言うとサーシャが笑いながら答える。
「ふふっ、初めてあったときはお互いこんなことになるなんて思いもしませんでしたね」
「いや、実際ここまで来れたのはみんながいたからだよ。その……あ……ありがとうな」
俺は照れながらもみんなに感謝の言葉を口にする。
それを受けてマリィとフィオが口を開く。
「それは私達にも言えることだ。お前がいなければ今頃私達はこの世界にいなかった可能性もあるからな」
「そうそう、ソウタ君達がいなかったらオルビルトと会う前に殺されてかもしれないよ」
「今では沢山の人達が俺達の味方になってくれている。ようやくだがみんなでこの世界を救おう!」
それから、行きと同じように十日ほど掛けてサルブレムのティントに帰り着く。
着いたのが昼間だったということもあり、俺達はエクシエルさん達に報告に向かうことにする。
「じゃあ、俺はディアナを連れてウラガン団長のところに行くから、リネット達はエクシエルさんの方を頼むよ」
「了解よ。報告が終わったらそっちに行くわ」
「アリエルはどうする? 一緒に行くか?」
「いや、私は店に戻るとしよう。ではディアナ、後で待っているぞ」
「すまないなアリエル。しばらくお前の家にやっかいになる」
申し訳なさそうに言うディアナに、アリエルが手書きの地図を渡す。
「何を言うディアナよ。私とお前の仲ではないか。お前の傷ついた心を私が癒してやろう」
「おい、やめろ! アリエルが言うと卑猥に聞こえるんだよ!」
「はっはっはっ! まあ、お前のような粗暴なやつならともかく、ディアナなら大歓迎だ。ついでにうちの店を手伝ってもらおう」
「おっ! そりゃあ名案だな! あの店にディアナがいればお客さん増えるぜ!」
「そうだろう! あそこは私一人でやってるから、仕入れに中々いけなかったんだ。椅子に座っててもらうだけでも助かる」
そんな俺達のやり取りを見てディアナが少し笑顔になる。
「お前達は相変わらずのようだな。勝手に話を決められては困るがそれも楽しそうだ」
「うむ、我々にはもう世界の調和を取るという責務は無いんだから、新たな人生を楽しまねば損だぞ」
「俺もそう思うよ。ディアナの場合はすぐにってわけにはいかないだろうけど、これからは自分達自身のことも考えないとな」
「お前達は前向きだな。しかし、いつか私も過去と決別をしなければならないのは事実だろう」
「ウィルもラティエも俺にとっては大事な家族だ。ディアナの気持ちを全て解るとは言わないけど、悲しい気持ちは同じだ。だけど、生き残った俺達は前に進むしかないからな」
その話にプリムとキニングが頷き、アリエルが話し出す。
「全てはやつを仕留めてからだがな。それでなサーシャよ。今度時間があるときでいいから、私の店に顔を出してくれ」
「え? 私ですか?」
突然そう言われたサーシャは困惑気味に答える。
「オルビルトのことで少し気になることがある。暇なときでいいから来てくれ」
「でしたら、明日にでも伺いますね」
「待っているぞ。出来ればフィオちゃんも連れて来てくれ。ではな!」
アリエルはそう言い残し、サルブレム城の門前から去って行く。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
勇者の後物語
波動砲
ファンタジー
表面上とはいえこの世界は平和になった。至って平穏無事で退屈な日常を人々は送れるようになった。そんな平和が来たゆえに、一つの疑問が持ち上がってしまった。
今の世界に『勇者』は必要か否か
勇者とは
曰く。魔王を打ち倒す者
曰く。人類の希望
曰く。救世主
曰く。曰く。曰く
しかし、悲しいかな。魔王が死に世界が平和になって数十年。勇者に対する敬意も感謝の気持ちも人々にはなくなり始めていた。平和な世界に勇者はもはや不必要な存在となっていた。この世界に魔王はいない。故にこの世界に絶望はなく。だから希望も必要なく。救世主も必要とされないのだ
そして勇者は一通の書き置きと共に忽然と姿を消した
『旅に出ます。探さないでください by勇者』
これは役目を終えた勇者のお話。
※この作品は筆者が学生の頃に書いた作品です。折角なので投稿しました
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。
お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。
魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します
burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。
その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる