念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第144話 いけない もう帰らないと

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 次の日。

 宿屋の前に馬車が到着し、ガレインさんと別れの挨拶交わす

 「色々ありがとうございましたガレインさん」

 「いやいや、休んでまで来てよかったぜ。後でうちから使いを寄越すから、詳しい話はそっちにしてくれ」

 「はい。それまでに俺達もどうするか考えときます」

 「おう、頼んだぞ! 俺は準備があるからそっちに行けないかもしれないが、お前達の動きに合わせるつもりだ。じゃあな」

 ガレインさんは俺達に手を挙げて馬車に乗り込み、デナントミールから出立する。

 残された俺達もそれぞれ馬車に乗り、サルブレムへ帰ることに。

 デナントミールではリネット達とあまり話すことが出来なかったので、帰りの馬車の中でオルビルトについて話す。
 
 「さて……エルソールの方はどうにか片付きそうだけど、問題はオルビルトだな」

 「そうね。あいつ、最後に『僕は帰る』って言ってたから、もうこの世界にはいないかもしれないわ」

 「となれば、イストウィアに戻って何かしでかす可能性が高いな」

 「ただの小悪党ではなさそうだし、あんなやつが私達の世界にいたなんてね。だけど、絶対に追い詰めてみせるわ」

 「ああ、こっちを早急に終わらせてすぐに後を追おう。やつを倒すことが出来なかったが、あいつも俺達を倒せないみたいだったから今なら勝てるかもしれない」

 「でもまさか、フィオを狙ってるなんて思いもしなかったわ。姉さんだけかと思っていたけどそうじゃなかったのね」

 「俺達のも狙ってるらしいからな。少なくとも奪った魂の力を使うことが出来るのは確かみたいだ」

 「私の代わりにソウタ君の友達が死んじゃったから、なんだか申し訳ないよ」

 フィオが俺にポツリと言う。

 「そんなことないぞ! フィオが無事で良かったし、悪いのは全部あいつ等なんだから」

 マリィがフィオの頭にポンッと手を置いて俺のに続く。

 「それに、イセリアの体を乗っ取ったやつもディアナさんの魂を奪おうとしていた。もしフィオの魂が奪われていたとしても、イセリアの中にあるラティエさんの魂は狙われていただろう」

 「マリィの言う通りだ。だからフィオ気にすることはないからな」
 
 「分かったよ……。だけど、どうして私の魂なんて欲しがったんだろう? 私は精霊の力なんて持ってないよ」

 「洗練された魂がどうこう言ってたから精霊の力だけではないんだろう。後はフィオよりもラティエの魂の方を優先する何かしらの理由があったんだろう」

 「姉さんはそこら辺について何か知らないの? エスプリマも同じように自分の魂から出現させるわけだしさ」

 「関連性はあるかもしれないけど、人様の魂を使うなんてことはあり得ないはずよ。父さん達もその辺のことは研究してないわ」

 「あいつ長生きしてるみたいだったし、私達の知らないことも知ってるのかしら」

 「ソウタさんが転生する前の時代から生きているってことよね。七百年前に異世界への転移が出来てたなんて信じられない話だわ」

 「そりゃあ、この世界に来るための転移装置なんて簡単に作れるわけね」
 
 「エスプリマについては一から調べ直す必要がありそうだわ」

 「いずれにせよ早くイストウィアに帰らなきゃね」

 「そういや、オーブが奪われたからこの世界の危機は無くなったんだよな? この後はすぐに向こうに帰るのか?」

 「エクシエルさんが何て言うかだけど、私はここまで来たからには最後までいるつもりよ。トレインもまだこの世界に残ってるかもしれないしね……」

 「そうだな……。リネット達の仲間を殺ったトレインの野郎も探さないとな」

 「それと、ソウタがこの世界を救う勇者になるところも見届けないといけないでしょ? まあ、今更私達の助けはいらないでしょうけどね」

 「そんな話あったなあ。最近まで言ってたけど随分と前に感じるな」

 俺がそう言うとサーシャが笑いながら答える。

 「ふふっ、初めてあったときはお互いこんなことになるなんて思いもしませんでしたね」

 「いや、実際ここまで来れたのはみんながいたからだよ。その……あ……ありがとうな」

 俺は照れながらもみんなに感謝の言葉を口にする。

 それを受けてマリィとフィオが口を開く。

 「それは私達にも言えることだ。お前がいなければ今頃私達はこの世界にいなかった可能性もあるからな」

 「そうそう、ソウタ君達がいなかったらオルビルトと会う前に殺されてかもしれないよ」

 「今では沢山の人達が俺達の味方になってくれている。ようやくだがみんなでこの世界を救おう!」

 それから、行きと同じように十日ほど掛けてサルブレムのティントに帰り着く。

 着いたのが昼間だったということもあり、俺達はエクシエルさん達に報告に向かうことにする。
 
 「じゃあ、俺はディアナを連れてウラガン団長のところに行くから、リネット達はエクシエルさんの方を頼むよ」

 「了解よ。報告が終わったらそっちに行くわ」

 「アリエルはどうする? 一緒に行くか?」

 「いや、私は店に戻るとしよう。ではディアナ、後で待っているぞ」

 「すまないなアリエル。しばらくお前の家にやっかいになる」

 申し訳なさそうに言うディアナに、アリエルが手書きの地図を渡す。

 「何を言うディアナよ。私とお前の仲ではないか。お前の傷ついた心を私が癒してやろう」

 「おい、やめろ! アリエルが言うと卑猥に聞こえるんだよ!」

 「はっはっはっ! まあ、お前のような粗暴なやつならともかく、ディアナなら大歓迎だ。ついでにうちの店を手伝ってもらおう」

 「おっ! そりゃあ名案だな! あの店にディアナがいればお客さん増えるぜ!」
 
 「そうだろう! あそこは私一人でやってるから、仕入れに中々いけなかったんだ。椅子に座っててもらうだけでも助かる」

 そんな俺達のやり取りを見てディアナが少し笑顔になる。

 「お前達は相変わらずのようだな。勝手に話を決められては困るがそれも楽しそうだ」

 「うむ、我々にはもう世界の調和を取るという責務は無いんだから、新たな人生を楽しまねば損だぞ」

 「俺もそう思うよ。ディアナの場合はすぐにってわけにはいかないだろうけど、これからは自分達自身のことも考えないとな」

 「お前達は前向きだな。しかし、いつか私も過去と決別をしなければならないのは事実だろう」

 「ウィルもラティエも俺にとっては大事な家族だ。ディアナの気持ちを全て解るとは言わないけど、悲しい気持ちは同じだ。だけど、生き残った俺達は前に進むしかないからな」

 その話にプリムとキニングが頷き、アリエルが話し出す。

 「全てはやつを仕留めてからだがな。それでなサーシャよ。今度時間があるときでいいから、私の店に顔を出してくれ」

 「え? 私ですか?」

 突然そう言われたサーシャは困惑気味に答える。

 「オルビルトのことで少し気になることがある。暇なときでいいから来てくれ」

 「でしたら、明日にでも伺いますね」

 「待っているぞ。出来ればフィオちゃんも連れて来てくれ。ではな!」
 
 アリエルはそう言い残し、サルブレム城の門前から去って行く。
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