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第136話 あるよね 自分だけの秘密基地
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次の日、プリムが地図を片手に先頭を歩き、その隣でフィオが楽しそうにウィステリアと話している。
そして俺の隣には、昨晩意気投合して酒を飲み過ぎたアリエルとガレインさんが歩いている。
「うう……まだ着かないのか? こんなに歩くなんて聞いてねえぜ」
「あ、頭が痛い……。そうだ、いっそうのこと私達を置いてお前達だけでウィルと戦ってきたらどうだ?」
「何言ってんだよ! それだったらガレインさんを呼んだ意味がないだろ?」
「そうじゃそうじゃ。お主等二人とも若いんじゃからもっとキビキビと歩かんか」
キニングがヘロヘロになったアリエルとガレインさんの尻を叩く。
「しかしソウタよ。お前に仲間がいるってのは聞いてたけど、子供からお年寄りまで幅広いんだな」
「確かに言われてみればそうですね……。まあ、そこのところもまた今度話しますよ」
「特にあの手紙を届けにきた変な兄ちゃんは何者なんだ? 突然目の前に現れたかと思ったら、手紙だけ寄越してすぐに消えやがった。あれには流石の俺もビックリしたぜ」
「俺もガレインさんがデナントミールに着いていて驚きましたよ。俺達の方が早く着くだろうと思ってましたからね。実はあの人のことは俺もあまりよく知らないんです」
「あの兄ちゃん異世界の人間なんだろ? 昨日のことはあまり覚えてないが、お前等勇者以外に異世界から来た人間がいるとはなあ……」
「でも今はアークの人間を止めるのが先なので、ガレインさんの力が必要なんです」
「ジュラールに付いていったうちの若いやつもいるからな。俺が行った程度で止められるなら安いもんさ」
そんな話をしながら山道を歩いていると、先頭を歩いていたプリムの足が止まる。
プリムは近くの木に手を当てた後、何かに納得したかのように頷く。
「ここから、この奥に入っていくみたいよ。みんな気を付けてね」
そう言って山道から逸れた茂みの中に入っていく。
最初は人が一人通れるくらいの獣道を進んでいたが、次第に道が広くなっていき、開けた場所に出る。
そこで休憩をしようということになり、近くの石に腰を下ろして話をしていたら、向かいから武器を持った二人の男が現れる。
「間違いないようだな……。待っていたぞお前達」
俺達にそう告げた男には見覚えがあり、何度か顔を合わせたことがあるファクルだ。
その顔を見たガレインさんは、慣れた様子でファクルの名前を呼んで話し掛ける。
「よお、久しぶだなファクル。お前達こんな山奥に隠れてたのか?」
「ガ、ガレイン団長!? どうしてこんなところに?!」
「なに、このソウタに頼まれてここに来たんだ」
「なるほど……。その少年がロルローン騎士団の剣を持っていたのは、そういうことことだったんですね」
「そういうこった。それでジュラールのやつはどこにいるんだ?」
「俺はもうあなたの部下ではないのだからそれを教える義務はない……。と、言いたいところだが、その少年に頼まれたのなら仕方ない。一緒に案内しよう」
ファクルが「付いてこい」と言ってもう一人の男と歩き出す。
俺達は後ろから付いていき、しばらく歩いたその先には崩れ落ちた遺跡が佇んでいた。
ファクルはそこで足を止めて、もう一人の男に指示を出す。
指示を受けた男が遺跡の方に走っていき、ラファルは俺達に少し待つように言う。
待ってる間、いつ頃何の目的で作られたのか分からない遺跡を眺める。
かつての原型を留めていないその遺跡を見ていたら、ふと懐かしい気持ちになる。
「なあ、前に俺達がいた世界にもこんな感じの遺跡があったよな?」
アリエルも俺と同じように感慨深そうに遺跡を眺めている。
「そうだな……」
「ん? どうしたんだ? その一言で終わるなんてまだ酔ってるのか?」
「何を言う! 散々歩かされて酒などとっく抜けているわ!」
「ははっ、結構歩いたもんな。それにしても、こんなところを隠れ家をするなんてウィルのやつも中々センスがあるじゃないか」
「地図にも乗ってないような場所だし、この辺りは木に囲われてるから、大勢が隠れるにはもってこいだな」
「不思議なもんでこの周辺だけぽっかりと穴が開いたみたいに、木とか草とか生えてないよな。おっ! 来たみたいだぞ」
遺跡の方から白髪の男と水色の髪の女が、大勢の人間を従えて出てくる。
白髪の男ウィルが、ファクルに「ご苦労だった」と一言告げて俺達の前に立つ。
「まさかあなたもこの世界に転生していたとはな」
ウィルがキニングに向けて口を開く。
「まったく、お主等まだ喧嘩しておるみたいじゃの。精霊の加護を持つ者同士いい加減仲良くせんか」
「無論そうしたいところだが、どうやらこの世界おいても我々が交わることないようだ。それに転生した今となっては精霊の加護などは関係ない」
ウィルは続けてガレインさんの方に目を向ける。
「そして、ガレインよ。お前が来るとは思ってもみなかったが、その者達に加勢するつもりか? もしそうなら私はお前を排除さねばならんだろうな」
「急かすな、急かすな。ちゃんとこっちの話を聞け。久しぶりの再開も何もあったもんじゃないなお前達は」
「ガレインさんの言う通りだウィル。そうやって人の話を聞かないのがお前の悪いところだぞ」
「わざわざ待っててやったのに随分な物言いだなロイよ。他に味方はいないようだがこの人数で来たのか?」
「お前がオーブを取りに来いって言ったんだろ。今お前と戦うのに人は割けないから、俺達だけ来たんだよ」
「舐められたものだ。いくらお前達が力ある者だとしても、たったそれだけの人数で私達に勝てるとでも思っているのか?」
「言い方が悪かったな。別に舐めてるわけじゃなくて、お前以外の人間とは争う必要がないと思ったから、俺達だけで来たんだ」
「お前の言ってることは理解に苦しむな。私の敵になるということは、すなわちアークと戦うことだぞ?」
ウィルが首を傾げて俺に問いただす。
「そうなんだけどさ。でも俺は国を代表してアークをどうこうしに来たわけじゃないし、お前だってムルグスルドやグラヴェール以外の国と戦争したいわけじゃないだろ?」
「戦争する気はないが結果として巻き込むことになるかもしれん。先程から要領の得ない返答だが、お前達は何をしにここに来たんだ?」
「話は単純だ。俺は一人の友としてお前を止めに来た。俺とお前で一対一の真剣勝負をしないか?」
そして俺の隣には、昨晩意気投合して酒を飲み過ぎたアリエルとガレインさんが歩いている。
「うう……まだ着かないのか? こんなに歩くなんて聞いてねえぜ」
「あ、頭が痛い……。そうだ、いっそうのこと私達を置いてお前達だけでウィルと戦ってきたらどうだ?」
「何言ってんだよ! それだったらガレインさんを呼んだ意味がないだろ?」
「そうじゃそうじゃ。お主等二人とも若いんじゃからもっとキビキビと歩かんか」
キニングがヘロヘロになったアリエルとガレインさんの尻を叩く。
「しかしソウタよ。お前に仲間がいるってのは聞いてたけど、子供からお年寄りまで幅広いんだな」
「確かに言われてみればそうですね……。まあ、そこのところもまた今度話しますよ」
「特にあの手紙を届けにきた変な兄ちゃんは何者なんだ? 突然目の前に現れたかと思ったら、手紙だけ寄越してすぐに消えやがった。あれには流石の俺もビックリしたぜ」
「俺もガレインさんがデナントミールに着いていて驚きましたよ。俺達の方が早く着くだろうと思ってましたからね。実はあの人のことは俺もあまりよく知らないんです」
「あの兄ちゃん異世界の人間なんだろ? 昨日のことはあまり覚えてないが、お前等勇者以外に異世界から来た人間がいるとはなあ……」
「でも今はアークの人間を止めるのが先なので、ガレインさんの力が必要なんです」
「ジュラールに付いていったうちの若いやつもいるからな。俺が行った程度で止められるなら安いもんさ」
そんな話をしながら山道を歩いていると、先頭を歩いていたプリムの足が止まる。
プリムは近くの木に手を当てた後、何かに納得したかのように頷く。
「ここから、この奥に入っていくみたいよ。みんな気を付けてね」
そう言って山道から逸れた茂みの中に入っていく。
最初は人が一人通れるくらいの獣道を進んでいたが、次第に道が広くなっていき、開けた場所に出る。
そこで休憩をしようということになり、近くの石に腰を下ろして話をしていたら、向かいから武器を持った二人の男が現れる。
「間違いないようだな……。待っていたぞお前達」
俺達にそう告げた男には見覚えがあり、何度か顔を合わせたことがあるファクルだ。
その顔を見たガレインさんは、慣れた様子でファクルの名前を呼んで話し掛ける。
「よお、久しぶだなファクル。お前達こんな山奥に隠れてたのか?」
「ガ、ガレイン団長!? どうしてこんなところに?!」
「なに、このソウタに頼まれてここに来たんだ」
「なるほど……。その少年がロルローン騎士団の剣を持っていたのは、そういうことことだったんですね」
「そういうこった。それでジュラールのやつはどこにいるんだ?」
「俺はもうあなたの部下ではないのだからそれを教える義務はない……。と、言いたいところだが、その少年に頼まれたのなら仕方ない。一緒に案内しよう」
ファクルが「付いてこい」と言ってもう一人の男と歩き出す。
俺達は後ろから付いていき、しばらく歩いたその先には崩れ落ちた遺跡が佇んでいた。
ファクルはそこで足を止めて、もう一人の男に指示を出す。
指示を受けた男が遺跡の方に走っていき、ラファルは俺達に少し待つように言う。
待ってる間、いつ頃何の目的で作られたのか分からない遺跡を眺める。
かつての原型を留めていないその遺跡を見ていたら、ふと懐かしい気持ちになる。
「なあ、前に俺達がいた世界にもこんな感じの遺跡があったよな?」
アリエルも俺と同じように感慨深そうに遺跡を眺めている。
「そうだな……」
「ん? どうしたんだ? その一言で終わるなんてまだ酔ってるのか?」
「何を言う! 散々歩かされて酒などとっく抜けているわ!」
「ははっ、結構歩いたもんな。それにしても、こんなところを隠れ家をするなんてウィルのやつも中々センスがあるじゃないか」
「地図にも乗ってないような場所だし、この辺りは木に囲われてるから、大勢が隠れるにはもってこいだな」
「不思議なもんでこの周辺だけぽっかりと穴が開いたみたいに、木とか草とか生えてないよな。おっ! 来たみたいだぞ」
遺跡の方から白髪の男と水色の髪の女が、大勢の人間を従えて出てくる。
白髪の男ウィルが、ファクルに「ご苦労だった」と一言告げて俺達の前に立つ。
「まさかあなたもこの世界に転生していたとはな」
ウィルがキニングに向けて口を開く。
「まったく、お主等まだ喧嘩しておるみたいじゃの。精霊の加護を持つ者同士いい加減仲良くせんか」
「無論そうしたいところだが、どうやらこの世界おいても我々が交わることないようだ。それに転生した今となっては精霊の加護などは関係ない」
ウィルは続けてガレインさんの方に目を向ける。
「そして、ガレインよ。お前が来るとは思ってもみなかったが、その者達に加勢するつもりか? もしそうなら私はお前を排除さねばならんだろうな」
「急かすな、急かすな。ちゃんとこっちの話を聞け。久しぶりの再開も何もあったもんじゃないなお前達は」
「ガレインさんの言う通りだウィル。そうやって人の話を聞かないのがお前の悪いところだぞ」
「わざわざ待っててやったのに随分な物言いだなロイよ。他に味方はいないようだがこの人数で来たのか?」
「お前がオーブを取りに来いって言ったんだろ。今お前と戦うのに人は割けないから、俺達だけ来たんだよ」
「舐められたものだ。いくらお前達が力ある者だとしても、たったそれだけの人数で私達に勝てるとでも思っているのか?」
「言い方が悪かったな。別に舐めてるわけじゃなくて、お前以外の人間とは争う必要がないと思ったから、俺達だけで来たんだ」
「お前の言ってることは理解に苦しむな。私の敵になるということは、すなわちアークと戦うことだぞ?」
ウィルが首を傾げて俺に問いただす。
「そうなんだけどさ。でも俺は国を代表してアークをどうこうしに来たわけじゃないし、お前だってムルグスルドやグラヴェール以外の国と戦争したいわけじゃないだろ?」
「戦争する気はないが結果として巻き込むことになるかもしれん。先程から要領の得ない返答だが、お前達は何をしにここに来たんだ?」
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