念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第98話 灯台が見えてきた

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 次の日のお昼前にはダルカデル国のソルティー港というところに着き、ゼダックさんやレグルスさんと一緒に下船する。

 船から降りて久しぶりの大地に違和感を覚えつつ、ゼダックさんにお礼を言う。

 「ここまでありがとうございました。ゼダックさんも俺達と一緒にギルドに行くんですよね?」

 「おう。レグルス達の話だとその冒険者ギルドってところでも、海賊共を引き渡せるらしいからな」
 
 「ギルドはこの町にもあるそうですから聞いてみましょう。その後はサルブレムに帰るんですか?」

 「まあ帰ってやることねえし、ボウズ達の用事が終わるまでしばらくここでのんびりしていってもいいんだがな」

 「そういえば、どうしてゼダックさんに依頼したんでしょう? 俺はてっきりサルブレム国が保有している船だと思ってましたよ」

 「それは多分おめえのところのやつが気い効かせたんだろ。この国にサルブレムの船で来ようと思ったら、正式な手続きも必要だし何より警戒されるだろうよ」

 そういうことか。ウラガン団長があまりサルブレムとかと仲良くないって言ってたもんな。

 「それを考えたら、ゼダックさんもよく急に言われて引き受けてくれましたね」

 「ウラガンの親父とは知り合いでな。『うちの息子のために一肌脱いでやってくれ』って言ってきやがったから、仕方なく引き受けてやったんだ」

 「依頼したのはウラガン団長のお父さんなんだったんですか!? なんか俺達のせいで色んな人に迷惑掛けたみたいですね……」

 「気にすることたぁねえ。俺達も依頼が無けりゃ航海出来ないしな。それに、久しぶりの海賊狩りでみんな楽しそうにしてたから、なんだかんだ引き受けて良かったぜ」

 色んな人が俺達のために動いてくれているんだからやれるだけのことはやらないとな。
     
 改めて気合いを入れ直し冒険者ギルドに向かう。 

 レグルスさん案内で町の中にある大きな施設の前に着く。
 
 施設に立て掛けられている看板には『あなたの夢叶えます! 安心と信頼のミェスター』と書かれている。

 「ここがこの町の冒険者ギルドで、他所から来た人間とかの仕事も斡旋してくるところだ。じゃあ、受付に行ってみるか」
 
 俺達が建物の外観などを見ていたら、レグルスさんがそう説明して、中へと入っていく。

 中に入って受付の女性に用件を言おうとするも、女性はきょとんとした顔で俺達を見回す。

 まあ、おじさん二人に俺達五人の組み合わせはどう見たって冒険者じゃないから当然の反応だろうけどさ。 
 
 「えーと……本日はどのようなご用件で来られたんですか?」

 「海賊を捕まえたんだがここでいいのかい?」

 「海賊をですか? 失礼ですけど、どこから依頼を受けていたんでしょうか?」

 「依頼なんて受けてねえよ。ここに来る途中で襲われたから逆に捕まえてやったんだ」
  
 「皆さんが……ですか?」

 ゼダックさんがその問いにニカッと笑うと、女性は「し、少々お待ちください!」と慌てて人を呼び行く。
 
 しばらく待っていたら年配の男性が姿を現われ、レグルスの顔を見てびっくりする。

 「レグルスじゃないか? 久しぶりだな! 漁師になったって聞いてたが、どうしてお前がここに? もしかしてお前が海賊を捕まえたのか?」 

 「お前テヘルか?! お前こそどうしてまだギルドに居るんだ? いや、その話は後にしてとりあえずこの人達の話を聞いてくれ」
 
 「おお、そうだな。では皆さんこちらへどうぞ」
 
 男は俺達をテーブルに案内して自己紹介をする。

 「お待たせしましたな。私がここのギルド長でテヘルと申します。なんでも皆さんは海賊を捕まえたとか?」

 「俺は船乗りのゼダックってもんだ。ここに来る途中遭遇してな。俺達がそいつらをやつけたから引き取ってほしいんだ」

 「ほう、あなた方が捕まえたんですか。私共も海賊には手を焼いていますから助かります。そいつらの顔とか分かりますか?」

 「よく知らねえがボイラール団とかいう連中らしくて、双子の大男がリーダっぽかったぜ」

 「おお! 多分それはセルフ兄弟ですな!ボイラール団ではそれなりに力を持ってるので、かなりのお手柄ですぞ」

 「結構有名な奴等なのか? 今そいつらを船で拘束してるから後で人を用意してくれ」
 
 「ボイラール団はこの辺りだけではなく、各地に拠点を構えてる一大勢力の海賊団ですよ。早速人員を手配して確認してみましょう。それと懸賞金もありますので楽しみにしてて下さい」

 「そいつはありがてえ話しだが、懸賞金の代わりにこのボウズの頼みを聞いてやっちゃくんねえか?」

 ゼダックさんは俺の頭をポンッと叩き、テヘルさんにお願いする。

 「その少年の? そういえば見たところ皆さん冒険者ではなさそうですが、どういった目的でこの町に来たんですか?」

 俺はゼダックさんに促され、各国の現状と協力の要請について話してみる。
 
 「……といった具合にサルブレムだけではなく、この世界にとっても危険な状況なんです。だから、少しでも一緒に戦ってくれる人間が必要なんで、ダルカデルに協力のお願いに来たんです」

 テヘルはその申し出に申し訳なさそうに返答をする。

 「協力してやりたいが、この国でも問題が起きててそれどころじゃないんだ。まあ、国に相談してみるなら紹介状くらいは書かせてもらうが」

 「チラッと聞いたんですけど、冒険者の方の仕事が無くなってるみたいですね。何かあったんですか?」

 「ああ、少し前から冒険者ギルドに所属している人間が、依頼を受けたまま失踪する事件が相次いでいるんだ。だから事件が解決するまでの間は自重してくれと、国からのお達しでな」

 「それでギルドに所属してる人が他の仕事に手を出しているんですね……」   

 「うちのギルドからも失踪者が出てる以上おいそれと依頼を受注出来ないんだ。困ったもんだよ」

 俺も困ってしまい、どうしようかと悩んでいたら、横からマリィが口を開く。
 
 「行方不明者を探すための手掛かりとかはないんですか? 例えば特定の依頼を受けた人間が居なくなるとか、行方をくらませた付近で誰かと争った形跡があるとか」

 「んー……。共通してるのは、みな普段から難しい依頼をこなす熟練者ばかりということくらいかな……。後は捜索中に一個だけ変な紐が落ちてたくらいだろうか」

 「変な紐ですか? それがあるなら見せて頂くことは可能ですか?」

 「構わないけど、別に手掛かりになるようなものじゃないぞ。珍しいから一応持って帰ってきただけだからな」

 テヘルはそれを取りに一旦席を外す。
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