ゆうみお

あまみや。旧

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卒業後

4.5年後

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未来斗と海斗だけ時系列が違います、未来斗と海斗だけ卒業から1年後、他は5年後になってます。

澪と優馬は3話からいくと1年後の話になってます。



ーーー

【未来斗 海斗】海斗side



「なあ海斗、帰り新しく出来た服屋、行ってみない?」
「え、どこにできたやつ?」


春から大学2年生になった。



「四ツ谷駅だよ、大学から近いだろ?」
「んー……朝はそんなの見なかったけど………」



四ツ谷駅といえば分かるかもしれないけど、去年上智大学に受かった。


家を出て友達も出来て、結構今は楽しい。



(でも………やっぱり)




あの人といれたらもっと楽しかっただろうな、なんてよく思ってしまう。



「……なぁ海斗、お前のとこのサークル可愛い子来た?」
「え…?……んー……女の子は来たけど」



正直そういう感情は無い。


「ああでも、明日サークルの後志倉さんに呼ばれてる」
「絶対告白だろそれ!!くっそ~………」
「お前彼女いるじゃん………」



………ふと、




「………あれ」
「ん?」



今すれ違った人に不思議な気を感じた。



振り返った時にはもう人混みに隠れて見えなくなっていたけど、




「………?」
「早く行くぞー」




ーーー


次の日。



サークルの後、呼ばれていた通りキャンパス内の一通りの少ない場所に来た。



「あの……私、初めて会った時から海斗先輩の事好きでした」



都会慣れしていなくて大人しそうな女の子。



「私……都会に慣れてなくて、そんな時先輩が色々東京のこと教えてくれて、すごく嬉しかったです」



こっちも1年しかここにいないけど、少しでもその間分かったことはこの子に教えてあげたりしていた。



「そんなの全然いいよ」
「っ……あの、私と…付き合ってくれますか……?」




初めから断ろうとはしていたつもりだけど、ふとあの人の顔が浮かんで、





「………気持ちは嬉しいけどごめん、俺付き合ってる人がいるんだ」







まぁ……一応「仮」でも今付き合ってるわけだし。





「………そう…ですか」
「……あ、でもすごく嬉しかったよ、志倉さんみたいな真面目で優しい人、俺の周りであんまり見たことないから」



一応フォローはしてあげて、そろそろ帰ろうとしていた時、











……………誰かがこっちに向かってきている、足音がした。







「………?」




ここには滅多に人は来ないのに、





後ろから聞こえてくるその足音に、目の前にいる女の子も不思議そうにその足音の正体を見ている。




「………」




それで俺も気になったので振り向こうとしたら、途端に後ろから手を引かれた。




「……ッ!?」





強引に体を引き寄せられて、ぽすん、とその人に身を任せられる。




「え………」





………まさか、とは思った。






(でも…こんな所にいるわけ)





確認しようと、後ろを見たら、







………どこか懐かしい、自分の好きな声が聞こえた。









「ごめん、この人俺のだから」









ーーー






「……うそ、なんで」



どうしてこんなところにこの人が、







「み……………






未来斗………………?」










ーーー



頭の理解が追いつかないまま、未来斗は俺の手を引いてその場を離れた。





「………待って、未来斗」





正門を抜けて桜並木がある場所。


そこで未来斗がようやく俺の手を離した。






「………」
「え、と………未来斗…だよな?」



他人の空似とかだったらすごく怖い。

でも、どうしてここに………





「なんで未来斗がキャンパス内に………、…まさか、不法侵入?!「違うから!!」」




……!




「やっと喋った」
「そんな事しないよ………ちゃんと受かってここに居るの」




………えっ






「うか……………?」
「……あ、改めて自己紹介!鳳未来斗、今年上智大学の1年生になりました!」




…………





「…………ッ!!?」




夢なのか現実なのか、




「あ……待って、1回ほっぺたつねらせて」
「あ…うん、………って俺の?」




……痛いか痛くないか、それ以前にこの柔らかさは未来斗のもの。



「夢じゃない………」
「どういう判断基準なのかわかんないけど………」ヒリヒリ




夢じゃない、なら、






「なんでここに……?」
「…ほら、俺言ったじゃん。海斗と同じ立場の人間になるって」




『だから、その時まで待ってて欲しい』




………確かにそう言われた。






「それ……こういう事だったのかよ………」
「サプライズにしようと思っていつ話しかけるかタイミング見てたんだけど………海斗すごい告白されるから、もうヒヤヒヤしてあんな形に………」




だからあの時もすれ違った時に不思議な気を感じてたんだ。




「……でも、良かった。海斗が俺の事忘れてなくて」
「忘れるわけないだろ……そんな記憶力悪くないから」




「そうじゃなくて、告白のこと」




………





「当たり前だろ、仮でも好きな人からの告白、嬉しかったんだから。」



つい顔が緩んでいた。




「……なあ、海斗」
「……うん?」



久しぶりに見る未来斗はすごく大人びていた。


背も伸びていて、声も少し低くなっている。



「仮だから、…今、ちゃんと告白していい?」






……………






「へぁ………?」




変な声が出た。





「ま、ままま待って!!!心の準備させて!!!」
「お…おう、ほら深呼吸!深呼吸だぞ海斗!!」



「すぅ………はぁ、……すぅ…はぁ」



……よし、





「よしっ!準備出来たぞ!!いつでもかかってこい!!!」
「……………好き。」
「へぁぁっっ…!!!?」






...






「待って………ちょっと待ってお願い、耐えられない……………」



不意打ちはきつい。




「………あは、」
「……え?」



見ると、未来斗が笑っていた。




「あはは……っ、ヘタレは変わってないんだな!」
「な……ッ、笑うなよ!一応これでも必死に心の準備して、」
「いいよ、しなくても。そのうち慣れるから。」



………ッ







「俺と付き合って?海斗。」




俺ばっかり赤くなってて恥ずかしい。







「………は、…はい………。」






(………いつか絶対負かせてやる)







ーーー


【西原 二階堂】西原side



北海道。

大学を卒業して、今は龍輝と一緒にどこにでもあるような普通の会社で働いている。



「りゅーき、これ終わったら終わり?ラーメン食べて帰らない?」
「ああ、分かった。それなら駅前に新しく出来たあそこに行きたいな」



親の力は一切借りずに、2人でアパートでやりくりしながら生活している。




ラーメンを食べて、寒くて暗い帰り道を2人で歩いた。




「………でもたまには自炊もしなきゃね。明日はりゅーきの男飯が食べたいです」
「冷蔵庫に何も入ってなかったぞ、明日買い物に行かなきゃな」




この何気ない日常をこの人と生きていけることが楽しくて、




「俺、このまま死んじゃいたい」





多分今が一番幸せだから、






「一番幸せな時に幸せなままで死ぬって、良くない?」




なんて笑っていたら、龍輝が、






「……馬鹿、これからもっと幸せになるんだよ、………2人で」






なんて、珍しく可愛いことを言ってくれたから、






「何それっ、じゃあ期待していいってこと…?!」
「あんまり引っ付くな…!」





また楽しくなって、幸せだな、と思った。






「そういえば今度高校の時のメンツで集まろうって話してるんだけど、りゅーきいつ休み?」
「高校の時って………」
「ああ、李世と真冬ね、他は忙しいみたい」


スマホの李世とのトーク画面を見ながらにこにこしている俺を、龍輝は呆れたように少し笑ってみていた。




「元気にしてるかな………後輩達は。」








ーーー


【李世 真冬】李世side



「だーかーら、ちゃんとご飯食べないと駄目だって言ったでしょ?!」



宮城県仙台市、とあるマンション内。




「久々に様子見に来たら何これ!!カップラーメンの惨劇!!」
「………うるさい」



真冬の部屋はカップラーメンのゴミで溢れかえっていた。





「細くなってるじゃん……!ちゃんと栄養つけないと、…だから身長伸びないんだよ…?」
「もう伸びないよ………」



小さい背、細い体。



髪の毛も切るのが面倒なのか伸びている。



「もう……なんでこういつもいつも、…って耳塞ぐな!!」




近所迷惑になりそうなのでそろそろやめた。




「あのね真冬……大人になったんだから高校の時みたいに不健康な食事じゃ体壊すよ?ましてや真冬……、………何?」



ただじっとこっちを見ているだけの真冬に、気持ち悪さを感じつつ目を合わせた。




「………こうすれば、李世がずっと心配してくれるから」





...





「当たり前じゃん、死ぬまで毎日真冬の家に行くから」
「……同居した方が早い。」




それからもしばらく痴話喧嘩のように話していると、




「………あ」




真冬のパソコンに依頼が来た。



「仕事の依頼?今月どれくらい?」
「……先月よりは多い。」



真冬は今マンションの部屋に引きこもってイラストレーターの仕事をしている。



「そっか、ボクも見ていい?」
「……」コク




見た。




「……小説の表紙の依頼かぁ………」



それは小説の表紙の依頼で、文に小説のURLも添付されていた。



「……」
「ちょっと読んでみようよ、…えい」



マウスに手をかぶせる真冬の手に自分の手も重ねて、その上から操作した。



椅子に座る真冬の後ろで立ちながら一緒に小説を読んだ。




「………あれ、なんかこれ、見覚えが」




その人のペンネームを見て、それにもまた見覚えがあった。




「なんか見た事あるなぁ………それに、この話って……澪先輩達の、」





……………あ、








「……まさか…………………?」







ーーー

【郁人】郁人side



「新作良かったですよ、先生!」
「そうですか…?それなら良かったです」



宮城県のとある市内。



大きな家で1人……それと編集者ももう1人。



「次の話も楽しみにしています!」
「はい…今ちょうど表紙を描いてくれる人を見つけたので、次回も頑張りますね。」



切るのを忘れてすっかり伸びてしまった髪は後ろで団子に括ってまとめて、それでも結びきれない触覚やおくれ毛はそのまま伸びている。


我ながらだらしないとは思いつつ……膝に乗る飼い猫の可愛さを見るとどうでも良くなってしまって、



「フニャ--」
「んー?どうしたの~?」




すごく顔が緩む。猫飼ってよかった。





パソコンのマウスに手を覆ったまま、もう片方の手で猫の頭を撫でていた。




「それにしてもこんな広い家、よく建てようと思いましたね………」
「そうですね……単純に土地が広かったのと、あと…友達が遊びに来た時、広い方が楽しいかなって」



僕以外……澪達は今皆東京にいる。



「高校時代までを過ごした場所ではないですけど、少しでも故郷を感じられたらいいなと思いまして」
「なるほど!」



庭と隣接する壁が一面窓ガラスのリビング。


ここで仕事するのがすごく楽しい。




「……よし、じゃあ僕は本社に戻りますね、失礼します!」
「はい、ではまた。」




編集者が帰っていって、それからはまた猫とゴロゴロしてた。





ーーー

【明日香】明日香side



「今帰りました、担当の原稿貰ってきましたー」
「あ…お疲れ様です!」



今私はとある出版社で編集者の仕事をしている。




「桜木さん元気にしてました?」
「ペンネームで呼びましょうね、鳳さん。…はい、元気でしたよ!」



特にやりたいことも無くて求人票から見つけ出したのはこの会社だった。



「それなら良かった。お兄ちゃんにもいい報告が出来そうです。」
「そこまで仲が良いなら鳳さんが担当変わってくれませんか?僕結構やること多めで………」



「長話しちゃいそうなのでやめときます」って、言っておいた。

……本当は運転するのが面倒なだけなんだけど。





「……そういえば私、今度同窓会するんですよ。」
「いきなりですね、同級生とですか?」



肩甲骨まで伸びた茶髪を肩から少し垂らして、愛おしそうに笑ってみせた。



「まぁ……中学の時の友達なんですけどね!」





ーーー


【美優】美優side


「みゆせんせー、さよーなら!」
「はい、さようなら…!」



短大を卒業して今年から目指していた幼稚園教諭になれた。


まだ新人で、困ることも沢山あるけど………




「双葉さん、よく働くね~」
「いえ、まだまだ新人なので………」



よく働く私に園長が倒れたりしないか心配そうに見ているけど、生憎それくらいで倒れる弱い根性は持ち合わせていない。



「園児の親からも評判いいんだよ、双葉さん」
「そうなんですか……?」



無愛想な所があるから不安ではあったけど、それなら嬉しい。



「美優ちゃんって休日は何してるの?」

1年上の女の先輩に聞かれた。



「えっと………料理とか、兄と買い物に出かけたりですかね」
「へぇ~!珍しいね、大人になってもお兄さんと出掛けたりするんだ。」



……まあ大分特殊なケースだと思う。



「お兄さんイケメン?」
「普通ですよ、普通。」



………そういえば、



「休日の話に戻るんですけど、今度友達と同窓会のようなものをするんです」
「えぇ、なにそれ楽しそう……!」


中学の時に仲の良かった子達と。



「じゃあ今度その時の話じっくり聞かせてね。」
「はい、勿論です!」



アニメが大好きな茶髪の女の子、あの時はまだ小さかった双子の子達、……それと、保健室にいた女の子。





「沢山お話しますね……!」







ーーー

【うた】うたside


「ぶぇっくし!!」


バイト中にくしゃみしてしまった。


「あぇ"~……風邪ですかね」
「お客さんいなくてよかったね、今の顔酷かったよ………」


同じバイトの人(今は品出し中)の人に笑われた。



「はぁ……ろくに就職先が決まらずコンビニバイトで、バイト仲間には顔が酷いと言われ………」
「語弊があるよ、ていうか手動かそうね」


雑誌コーナーとその向かいの栄養ドリンクや携帯道具やらが並ぶ商品棚。


私は雑誌の方をやってる。



「コンビニバイトって結構きついんですね………レジするだけだと思ってました」
「まぁねぇ………結構大変だよね」



楽そうなんて偏見で選ぶんじゃなかった。



「私もこの子達みたいにキラキラしてみたかったです……」
「だれ?」
「この子達です、今人気の」



ふと手に持った雑誌に知り合いがいたので話題にあげてみた。



「あぁ、今人気の高校生モデルね、双子の子達か」
「はい!nagiとminoですね」


身長約170cmの高身長綺麗系モデル、nagi。

その双子の姉、可愛い系モデルのmino。



………そう、何を隠そう私の従姉妹。




(あんなに小さかった2人があっという間に抜かしてくれましたね……というか170って、優馬お兄ちゃんの当時の身長抜かしてるんじゃ………)


知り合いということは一応秘密にしてるけど、なんだかこっちが鼻が高くて結構言いふらしてる。



「でもその子達ってお兄さんいるでしょ?聞いた事あるよ」
「はい!高身長のお兄さんがいます!」ドヤ
「なんで花咲さんがドヤ顔してるの?」


その人達と同居までしていた仲……だなんて口が裂けても言えない。



「サインが欲しいなら貰ってきてあげますよ??」
「え、なに知り合いなの?」




でもなんかそのうちバレそう。






ーーー

【渚 実梨】渚side


三坂総合高校。


「実梨、帰るよー」


放課後、別のクラスの姉を呼びに行く。


「あ……うん、ごめん。日誌書くからちょっとまってて?」
「はいはい、……何か手伝う?」


普段もしっかりモデルの時と同じように気を抜かない私と、仕事以外では地味な眼鏡におさげの実梨。


(ほんと自信ないんだなぁ………)



まあ、そんな所も可愛いけど。




「いいよ。大丈夫。」
「そう?……あ、ねぇ!椅子借りていい?」


実梨の隣の席の子が近くにいたので許可を取って座らせてもらった。



「きゃあぁ……!!ナオ、羨ましい……」
「nagi様に私なんかの椅子を使わせてしまっていいのかな…………!!」



……なんかうるさい。



「……ねぇ渚。少しは目立たないように出来ない?」
「目立つのが好きなの。だから無理」
「あのね………」


まぁ実梨は目立ちたくないんだろう。そんな格好してるくらいだし。



(でもモデルの時の姿は皆知ってるし、意味無いと思うけど)




………まあいい。



「今度美優ちゃん達に会う約束忘れてないよね?なんの服着ていこうかなぁ………」
「私はこの前渚が選んでくれたあれにしようかな。……ふふ、楽しみ。」



……可愛い………


(うちの姉可愛すぎるんだけど本当なんなの………)



そんな可愛い笑顔で私に選んでもらった服を着るとかもうほんとに、、





「誤解生むからやめてよ!!」
「え、なにが?」




………ところで、



「兄貴元気かなぁ………」
「今晩電話してみる?」




ーーー


【莉音 優馬 澪】優馬side



「ぶぇっくし!!」


盛大にくしゃみしてしまった。



「わ……ちょっと優馬」
「ごめんごめん………なんか噂されてる気がして」


せっかく莉音が化粧してくれてる途中なのに。



「体調管理気を付けてよね、そう簡単に穴あけられる仕事じゃないんだから」
「へへ……、あ、葉月さん。今日ってなんの撮影だっけ?」



5年後俺は、専門学校を卒業して東京に出てきた。



「今日はドラマの撮影ですよ、わざとですか?」
「ごめん本気で忘れてた、最近忙しいから………」



そして今、念願だった演技の仕事をしている。

いわゆる「俳優」というやつ。



「それにしてもすごい身内感あるよね~うちだけ」
「化粧はメイクアップアーティストの莉音がしてくれるし、マネージャーは葉月さんがしてくれるからな!」


葉月さんは莉音のお父さんです。



「よしできた。…大丈夫?そんな調子で」
「ありがと。全然大丈夫!通常運転!」


あと数十分で本番。



「………あ、」


ふと、電話が来ていることに気付いた。



「ごめん2人とも、ちょっと電話する!」
「あ、はーい」




...



ーーー


電話が終わって、スマホを机の上に置く。


「恋人から?」
「おうっ!これで完璧に頑張れる!」


「そんなニヤニヤしないでください、今日はシリアスものなんですから」って怒られた。



ーーー


本番が始まった。


『じゃあ…もしかして犯人って………』


ちなみに今回はサスペンスの犯人役。


ずっと近くで捜査を手伝っていた人物が最終回のひとつ前で犯人だということを暴露するシーン。



『そんな…嘘だよな、玲衣』



登場人物の目線がこっちに集まる。




『………何を言ってるの?僕は皆の役に立てればいいなって、協力してただけなんだけど………』



ちなみに可愛い系です。
身長めちゃくちゃ伸びたけど結構いい感じに出来てるらしい。

大型ワンコ系……?まぁそれはいい。



『そうだよ…玲衣君はそんな事しない!』
『でも、この手紙は流石に……!』


次は俺と一番接点のあるヒロインが、本当の事を言うように促してくる。



『ねぇ……本当の事を言ってよ。』




………その発言のあとに少しタメを入れて、その間の感情表現もしっかりしていく。



『………由梨ちゃんまでそう言うんだ。』



どの演技にも本気でやらなきゃいけない。
勉強して、何度も練習して、




みる人の心を動かせるように。






『………ッ!!』



本当にこの役者達がゾッとするような、


可愛くてよく笑う、それなのに闇があって事件を起こしてしまうような「玲衣」に、なれるように。



(玲衣はきっとこういう時、こんな表情をするんだ)





そんなことを考えながら、「玲衣」として微笑んだ。






ーーー


「お疲れ様です!さん相変わらずすごい演技力ですね!」
「えへへ…ありがとうございます!」

「飲み行きません?反省会!」

メンバーで飲み会をしようという話になったけど、断った。



「すみません、早く恋人に会いたいので。」
「ちょ…悠真さん惚気ですか?!彼女いない俺にそんなこと言うんですか!?」
「貴方はファンを大事にしてください」


向こうのマネージャーに怒られてた。




(早く帰らなきゃ……あの人が、待ってるから。)





ーーー


「あ、俺が出てるドラマやってる」
「本当ですね。もう見慣れたでしょう?」


まぁ……もう慣れた。

初めは電気屋のテレビに映ってるのとか、恥ずかしいしきつかったけど………



「有名になっちゃったな~俺も」
「はいはい………そろそろ港区入りますよ」



ーーー


マンションの近くで、車が止まる。


「ではここで。気を付けてくださいね」
「はーいっ、また明日!葉月さん」


念の為変装はしてる。


すぐ目の前に東京湾が広がるシンメトリーのマンション。



中に入って自分の部屋まで歩いた。





(最近忙しくて深夜に帰ることばっかだったから………楽しみだな)



今日は早く帰れたから、ようやく一緒にご飯を食べれる。



それにうきうきしながら部屋の扉を開けた。





「ただいま………、澪……!」






すばしっこそうな小さくて早い足音がこっちに向かってきた。




「おかえり、優馬。」





………俺の大好きな、恋人が。











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