エロパワーで野球能力アップ！？ 男女混合の甲子園を煩悩の力で駆け上がる！ ～最強ハーレムを築くまで、俺は止まらねぇからよぉ～

61話 心剣流星

「やぁやぁ！　我こそは大剣豪・龍之介！　ここに見参！！」

「また現れたでござるか！　この変態め！！」

　龍之介がセツナと出会ってから、数日が経過していた。
　放課後の学園敷地内の路上で、2人の若者が木刀を持って対峙している。
　1人は龍之介であり、もう1人はセツナだ。

「ふふふ……セツナよ。前回は不覚を取ったが、今回はそうはいかないぜ！」

「ふん！　龍殿の好色ぶりは聞き及んでござる。その噂に偽りなし！　この『心剣流星のセツナ』が成敗してくれる！！」

「……ん？　『しんけんりゅうせい』……？」

「うむ！　それが某の二つ名でござる」

（マジかよ……）

　龍之介は頭を抱える。
　一人称が『某（それがし）』で、語尾に『ござる』を付けているだけでも少しアレだったのに……。
　まさか、自分に『心剣流星』という二つ名まで用意しているとは思わなかった。

（黙っていれば、剣道着が似合う和風美少女なのに……）

「黙っていれば、剣道着が似合う和風美少女なのに……」

「なっ！？　無礼な！　どういう意味でござるか！！」

（あ、声に出ちゃってた……）

　龍之介が心の中で思ったことを口に出してしまったため、セツナが怒ってしまう。
　そして、木刀を振りかぶって突進してきた。

「もう許さぬ！　そこでござる！！」

「ぬおっ！？」

　セツナの一撃を龍之介が避ける。
　さらに、彼女は追撃を仕掛けてきた。

「甘いでござる！！」

「うおっ！？　あぶねっ！！」

「隙ありでござる！」

「ぐはっ！？」

　そして、最後は面打ちによってトドメを刺されてしまう。
　力の差は歴然であり、龍之介は地面に倒れ伏した。

「ふふ……。口ほどにもないでござるな」

　セツナが木刀を肩に乗せる。
　そんな彼女の胸元では、小さな膨らみが微動だにしていなかった。

（くっ……！　やはり、あの貧乳は素晴らしい。野球部に欲しい逸材だ！！）

　龍之介は奮起して立ち上がる。
　そして、彼女に奇襲を仕掛けた。
　だが――

「ふっ。甘いでござる」

「なにっ！？　か、紙一重で避けられた……だと！？」

「その程度の動きで某に一撃を入れようとは、片腹痛し」

　セツナが余裕を見せる。
　龍之介は続けざまに攻撃を仕掛けたが、全て空振りに終わった。
　しかも、全てが紙一重である。
　龍之介の動きが完全に見切られているのだ。

「はぁ……はぁ……！　な、なんという身のこなしだ……！！」

「ふふふ……。鍛え方が違うでござる」

　セツナは汗を拭う。
　その顔はどこか満足げであった。

（くそっ……！　さすが剣道部部員として地方大会上位に食い込んでいるだけあるな……）

　龍之介は内心、悔しさを覚える。
　しかし、挫けている場合ではない。

「仕方ない。こうなったら奥の手を使わせてもらうぜ」

「ほう？　まだ何かあるのでござるか？」

「ああ。今から見せるのは、『心剣流星』に並ぶほどのものさ」

　龍之介が不敵に笑う。
　すると、彼の体からオーラが漂い始めた……ように見えた。

「む？　何やら目力が増したような……」

「行くぜ、セツナ！　はああぁっ！　【貧乳ラブ】！！」

　龍之介が叫ぶ。
　すると、彼の体に活力がみなぎった。

「ぬうっ！？　こ、これは……！？」

　セツナが目を見開く。
　龍之介の体から、ピンク色のオーラが溢れ始めた……ように見えた気がしたのだ。

「この状態の俺は無敵だ！　さぁセツナ、覚悟するんだな！！」

「ぐぬぅ……！　これほどとは……さすがは龍殿！！」

「行くぞっ！！　【貧乳ラブ・野球スラッシュ！！】」

「ぬぐっ！？　あ、あぶなっ！？」

　セツナは辛うじて龍之介の斬撃を避ける。
　そして、冷や汗を流しながらも叫んだ。

「これが……噂に聞く『ドラゴンズ・ソウル』の力でござるか！！　さすがは名前に『龍』が入っているだけはあるでござるな……！！！」

「ふふ。だろ？」

（いや、全然違うけどな……）

　龍之介は心の中で苦笑いする。
　彼に、バトル漫画のような能力はない。
　ただ貧乳美少女に好かれたい一心で、彼女のノリに付き合っただけだ。
　しかし、それが功を奏したようである。
　セツナの機嫌は見るからに良くなっていた。

「某とて負けるわけにはいかぬ！　いざ尋常に勝負！！」

「いいだろう！　来い、セツナ！！」

「ぬかせっ！！」

　2人は同時に叫び、互いに駆け出す。
　そして、一気に距離を詰めて木刀を振った。

「くっ、やるな！　これほどのパワーがあるとは思わなかったぞ！」

「それはこちらの台詞でござる！　某の剣を受け止めるとは……さすがは龍殿！！」

　龍之介とセツナが鍔迫り合いをしながら会話する。
　2人の戦いは、しばらく続くかに思えた。
　しかし――

「お前たち、何をやっているんだ！！」

「あっ……」

「やべぇ……」

　突然、声をかけられて動きを止める2人。
　2人の木刀は鍔迫り合いをしており、今にもキスしてしまいそうなほど顔が近い。
　そんな状況の中で現れた声の主は、桃色青春高校の先生であった。

「こんなところでチャンバラ遊びをするなんて……。後で職員室に来るように！！」

「はい……」

「分かりましたでござる……」

　2人はがっくりと肩を落とす。
　こうして、2人の決闘は思わぬ形で終わりを迎えたのだった。