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5話 vsスターライト学園用オーダー

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「はぁ……まさかスターライト学園と練習試合を組むことになるとは……」

 8月も末に近づいた日の朝。
 龍之介はため息をつきながら、グラウンド整備を行っていた。

「ピピッ! ガガガ……!!」

「ああ、ありがとう。ロボ1号」

 ロボ1号は、龍之介の指示通りにトンボをかけている。
 科学がどんどん発達しているこの現代において、外見を人間に寄せたロボットや発声機能を備えたロボットも増えてきた。
 だが、まだまだコストパフォーマンスという概念が残っている。
 野球をさせるためのロボットに雑用遂行の能力を付けることはあっても、余計な多機能を付けることは避けられていた。
 そのため、ロボたちの外見や音声機能は人間とは程遠いものとなっている。

「ふぅ……。よし、こんなもんでいいか」

「ガガッ!」

「おお、サンキュー。ロボ2号」

 ロボ2号が、龍之介の肩を揉む。
 肩をほぐしてもらいながら、龍之介は空を見上げた。

「今日もいい天気だなー……。絶好の野球日和だ」

「ピッ!」

「スターライト学園との練習試合は昼からだったな……。今のうちに、オーダー表を作っておくか」

 龍之介が紙にペンを走らせる。
 そこには、彼の考えたオーダーが書かれていた。
 アルファベット表記は、それぞれミート・パワー・走塁力・送球力・守備力をA~Gの7段階で評価したものである。


1番右・ロボ1・FGFGG
2番一・ロボ3・FGGGF
3番左・ロボ0・FFGGG
4番投・龍之介・FEGGG
5番二・ロボ4・GFFGG
6番三・ロボ5・GFGFG
7番中・ロボ8・GGFGF
8番遊・ロボ7・GGFFG
9番捕・ロボ9・GGGFF

投手・龍之介
最高球速100km 制球力G 持久力F 変化球G

ベンチ
ロボ2、ロボ6

チーム全体評価
打撃G 走塁G 守備G 投手G 控え選手G 総合力G


「うーん……。このチームで勝てるのか? いや、そもそも試合になるのか……?」

 龍之介が頭を抱える。
 いくらなんでも弱すぎるのではないか?
 そう彼は思ったのだ。

「ピピッ!」

「ああ、悪い悪い。別にお前らのせいじゃないんだよ」

 このチームのキャプテンであり、現状では唯一の人間である龍之介。
 彼がチームを引っ張る存在になっていくわけだ。
 しかし、煩悩が足りない今、4番ピッチャーどころか控え選手としても本来は務まらない程度の能力となっていた。

「まぁ……練習試合だし負けてもいいけどな。最低限、試合の形にさえなれば……。そのためにも、センターラインとかはできるだけ固めてある」

 ショートには、走塁力と送球力の高いロボ7号。
 センターには、走塁力と守備力の高いロボ8号。
 キャッチャーには、送球力と守備力の高いロボ9号。
 ついでに、内野ゴロの度に送球を受けることになるファーストには、守備力の高いロボ3号を配置している。

「攻撃面では、最低でも1点ぐらいは取りたいな……。エロパワーの足りない俺が打てるか分からんが、ロボはそれ以上に期待できないだろうし……」

 打順の定石はいろいろある。
 野球の歴史初期からある『1番打者が出塁して、2番打者が送り、3~5番打者で返す』というのが有名だが……。
 2番打者にむしろ強打者を置くパターンもある。
 こればかりは、チームが保有する戦力によるので決まった答えはないだろう。
 龍之介は、自身を1番・2番・3番のいずれかに置くパターンも検討したが、最終的には4番に配置した。

「前の3人の誰かが出塁して、俺が長打を打って、点が入る……。そんな展開が一番いいんだがな……。いや、無理か」

 ロボの足では、ファーストからの長駆ホームインは難しい。
 そもそも、煩悩力が足りない龍之介が長打を打てるのかどうか……。
 相手の捕球ミスや送球エラーが絡まないと厳しい。
 逆に言えば、相手のミス次第で多少の点数にも期待できるかもしれない。
 ――龍之介は、そう考えていた。

「まぁ、やるだけやってみよう。どうせ、公式戦ではないのだから」

「ガガッ!」

「おお、サンキュー。ロボ1号」

 ロボ1号に背中を押してもらう。
 彼はグラウンド整備を終え、スターライト学園との試合に備える。
 そして――

「ふんっ! 随分とお粗末なグラウンドね!!」

 スターライト学園の一行が、龍之介の待つグラウンドへとやってきた。
 到着するや否や、先頭にいた少女が龍之介に向かって叫ぶ。

「おいおい、ハルカ。随分なご挨拶じゃないか。これでも一応、お前たちのために整備したんだぜ?」

「整備? ふふっ。龍之介、あなた雑用係にでもなったの? お似合いよ」

 龍之介と少女が会話をする。
 少女はハルカという名前らしい。
 お互いを名前で呼んでいるあたり、それなりに深い仲なのだろう。
 だが、今は少しばかりピリピリしていた。

「何だと? 俺は雑用係なんかじゃねぇ。野球部の部長だぞ」

「あら……。1年間もフラフラしていたくせに、部長だって? 私のおかげで優勝できた中学時代の威光が、少しでも残っていたのかしら? で、他の部員はどこよ?」

「それは……これから集める予定なんだよ。他の部から引き抜いたりしてな」

 龍之介がたじろぐ。
 それを見た少女は、大きな声で笑った。

「あはははは! まだ部員を集めていないって!? 部員はあんた1人だけ!? 雑用係よりもよっぽど悲惨な状態じゃない! 可哀想な龍之介!! ははははは!!!」

「ぐっ……! ご、御託はいい! さっさと始めるぞ!! 俺たちの実力、見せてやるぜ!!!」

 龍之介が叫ぶ。
 彼が率いる【桃色青春高校】は、夏の王者【スターライト学園】に勝利できるのだろうか。
 一触即発の雰囲気の中、試合開始の時間が近づいていくのだった。
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