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第3章 武の名地テツザンへ
95話 分割払いの完済
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奴隷商館にて、残っている分割払いを済ませようとしているところだ。
「冒険者として順調にご活躍されていることは存じています。しかし、パーティメンバーと言いますと……。ああ、ミナ殿とリン殿でしたか……」
「彼女たちの援助がなければ、まだもう少し期間が必要なところだった」
「援助をいただけたのも、コウタ殿のお力の1つでしょう。素晴らしい人徳のなせる業です」
ルモンドがそう言いつつ、俺が渡した金貨の枚数を数えていく。
しばらくしてーー。
「確かに、これで残りの購入代金は完済となります。こちらの受領証をお受け取りください」
「ああ。わかった」
この書面があれば、俺がルモンドに対してしっかりと支払いを終えたことを証明できる。
まあ、こんな書面がなくともあまり無体なことはしてこないだろうが。
念のためのものだ。
一応、ストレージに入れて保管しておこう。
「これにて、コウタ殿とシルヴィ殿は晴れて完全に自由の身ですな」
「そうだな。肩の荷が下りたような気分だよ」
「わたしのためにすみません。でも、これからもわたしはご主人様のためにがんばりますよ!」
シルヴィが力強くそう言う。
「シルヴィ殿も、ずいぶんと自信を取り戻したようですな。当商館にいたときからは想像もできない。実力もずいぶん増しているようです」
「ええ。彼女には才能がありました。俺はそれを手伝っただけです」
俺はそう言う。
「とんでもない! 全てはご主人様のおかげです!」
「いい主人と巡り会えましたな、シルヴィ殿。もう二度と、この商館に戻ってくることはないでしょう。今後のお幸せをお祈りしていますよ」
「はい。ご主人様と幸せになります!」
「俺も、シルヴィに愛想を尽かされないようにがんばるよ」
俺たちはそんな会話をしつつ、帰り支度を進める。
「また新たな奴隷がご入用でしたら、いつでもお越しください。お待ちしております」
「ああ。資金に余裕ができたら、来るかもな」
俺はそう言って、奴隷商館を後にした。
今の俺とシルヴィは、無一文に近い。
さすがに宿屋代や食費ぐらいはあるが、新たな奴隷を購入する余裕など一切ない。
それに、ミナとリンから受けた資金提供に対するお返しも考えないとな。
名目上は、完全な贈与としてくれている。
借金ではない。
しかし、彼女たちとは今後も長い付き合いをしていきたいし、恩を受けっぱなしというのも収まりが悪い。
しっかりと稼いで、恩返しをしていきたい。
俺はそんなことを考えつつ、シルヴィとともに帰路につく。
ふと、手に暖かな温もりを感じた。
「シルヴィ?」
「えへへ。これからも、ご主人様とずーっといっしょです!」
「ああ。ずっといっしょだ」
俺たちは、幸せな気分を噛みしめつつ2人で歩みを進めていった。
「冒険者として順調にご活躍されていることは存じています。しかし、パーティメンバーと言いますと……。ああ、ミナ殿とリン殿でしたか……」
「彼女たちの援助がなければ、まだもう少し期間が必要なところだった」
「援助をいただけたのも、コウタ殿のお力の1つでしょう。素晴らしい人徳のなせる業です」
ルモンドがそう言いつつ、俺が渡した金貨の枚数を数えていく。
しばらくしてーー。
「確かに、これで残りの購入代金は完済となります。こちらの受領証をお受け取りください」
「ああ。わかった」
この書面があれば、俺がルモンドに対してしっかりと支払いを終えたことを証明できる。
まあ、こんな書面がなくともあまり無体なことはしてこないだろうが。
念のためのものだ。
一応、ストレージに入れて保管しておこう。
「これにて、コウタ殿とシルヴィ殿は晴れて完全に自由の身ですな」
「そうだな。肩の荷が下りたような気分だよ」
「わたしのためにすみません。でも、これからもわたしはご主人様のためにがんばりますよ!」
シルヴィが力強くそう言う。
「シルヴィ殿も、ずいぶんと自信を取り戻したようですな。当商館にいたときからは想像もできない。実力もずいぶん増しているようです」
「ええ。彼女には才能がありました。俺はそれを手伝っただけです」
俺はそう言う。
「とんでもない! 全てはご主人様のおかげです!」
「いい主人と巡り会えましたな、シルヴィ殿。もう二度と、この商館に戻ってくることはないでしょう。今後のお幸せをお祈りしていますよ」
「はい。ご主人様と幸せになります!」
「俺も、シルヴィに愛想を尽かされないようにがんばるよ」
俺たちはそんな会話をしつつ、帰り支度を進める。
「また新たな奴隷がご入用でしたら、いつでもお越しください。お待ちしております」
「ああ。資金に余裕ができたら、来るかもな」
俺はそう言って、奴隷商館を後にした。
今の俺とシルヴィは、無一文に近い。
さすがに宿屋代や食費ぐらいはあるが、新たな奴隷を購入する余裕など一切ない。
それに、ミナとリンから受けた資金提供に対するお返しも考えないとな。
名目上は、完全な贈与としてくれている。
借金ではない。
しかし、彼女たちとは今後も長い付き合いをしていきたいし、恩を受けっぱなしというのも収まりが悪い。
しっかりと稼いで、恩返しをしていきたい。
俺はそんなことを考えつつ、シルヴィとともに帰路につく。
ふと、手に暖かな温もりを感じた。
「シルヴィ?」
「えへへ。これからも、ご主人様とずーっといっしょです!」
「ああ。ずっといっしょだ」
俺たちは、幸せな気分を噛みしめつつ2人で歩みを進めていった。
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