続きは生徒指導室で

伊吹咲夜

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 澤田と生徒指導室で話した数日後、鈴木家に来客があった。
 その夜は珍しく両親は外出しておらず、二人そろってリビングに滞在していた。

「? こんな時間に誰だろう」

 同じくリビングにいた花梨がインターフォンに出ようとすると、父親にそれを制された。

「お前は部屋に行っていなさい」

 いつもならそのまま花梨に対応させるのに、対応どころか部屋に帰れとまで言う。
 部屋に帰るのは願ったりなのだが、自分に対応させない来客が誰なのか、それだけが気になっていた。
 せめて顔だけでも見れないか、とゆっくりとリビングを出て玄関前にある階段に座って見ていたが、『早く部屋へ入れ』と睨まれて諦めざるを得なかった。

「ボクに知られたくない来客って、誰なんだろう」

 知られたくないと分かると、余計に知りたくなる。それが人の好奇心という名の性になる。
 自室に一度は引っ込んだものの、親と来客がリビングに入ったことを確認すると、こっそりと部屋から出てリビングのドアの前に身を潜めた。

 最初はボソボソと何かを話しているような声だけが聞こえていて、内容までははっきりと伺えなかった。
 しかし十分もしないうちにボソボソ声は音量を上げ、わずかながら内容が聞き取れるようになってきた。
 『親のつとめとして』とか『花梨が』という言葉が度々会話から聞こえてくる。
 花梨が『ボクについて?』と首を傾げていると、ひときわ大きな声が上がった。

「ですからそれは!」

 同時に、ガタン! と何かが倒れる音と、『あなたっ!』と父親を諫める母親の声。
 そして客人であろう人物がその騒動に動じることなく、静かだけど力強く話す声が続いた。

「いい加減にせんか! 自分の罪を罪と認められない人間の言葉なんか、誰が信じると思うのか!? お前がそういう立ち度ならば、こちらにも考えがある」

 客人がそう言ったあと、父親は先ほどの勢いはどこへいったのか、またボソボソと話し始めた。客人の声もそれに合わせてトーンが下がり、花梨の場所からは聞き取れなくなってしまった。
 そこから数分、また何か話し合いが行われ、全員が立ち上がる気配がした。

(終わった!?)

 盗み聞ぎしていたのがバレないよう、慌てて階段の踊り場へ駆け上った。

「……今日はお越しいただき、ありがとうございました」
「今回約束したこと、忘れるでないぞ。後日、代理人を寄越す」
「……はい」

 覇気のない父親の声と、威厳を感じる客人の声。声からすると、客人は老人のようだ。
 父親が逆らえない老人ってどんな人だろう、と踊り場からそっと数段降りて覗き込んだところで客人と目が合った。

(あっ……!)

 あまりの驚きに、声が出そうになった。
 今玄関から出ようとしている客人は、先日澤田の家で花梨のことを往診した老医師だったのだ。
 慌てて口元を押さえ、出掛かった声を抑える。
 慌てる花梨とは打って変わって、老医師は花梨には気付いていない様子で両親へ挨拶を済ませた。そして、

(!?)

 両親が頭を下げた瞬間、花梨に向かってウインクをしてきたのだ。

(やっぱり気付いてた!?)

 そして小さく手を振ると、『では』と頭を下げたままの両親に背を向けて玄関から出ていった。
 ドアが閉まる音と共に頭を上げる両親。重圧から解放されたか、大きく溜息をつくと、花梨に気付くことなく悪態をつきながらリビングへ戻っていった。

「一体何の話合いだったんだろう……」


 老医師がなんのためにやって来たのか判明したのは、それから一週間後のことだった。
 老医師が言っていたように、『代理人』と名乗る高そうなスーツを着た青年が家にやって来た。

「弁護士?」
「はい。大木戸医師からご依頼を受け、こちらへ参りました。事前に伺うことは連絡しておりましたが、手違いでも?」
「あ、いや。ちゃんと連絡は貰っている。ただ、秘書から弁護士だとは聞いていなくて……」
「そうでしたか。では改めまして」

 ソファの向かい側で弁護士は改めて名乗ると、鞄からいくつかクリアファイルを取り出して、父親の前に置いた。

「内容は、大木戸様との話し合いで決まったことです。内容に間違いがないか、ご確認願います」

 弁護士にそう言われ父親はファイルから書類を取り出し、内容を確認すると苦虫を潰したような顔をして弁護士に聞いた。
 
「この内容に誤りがあると言ったら、私が言った内容に変更してもらえるんですか?」
「どこがどう違うのか伺って、それを大木戸様に確認してからになりますね。この場ですぐ、とはいきません」

 無表情に近い真顔で答えられると、父親はあからさまに舌打ちをし、読み終えた書類を机に投げ置いた。

「間違いない」
「それではこのまま進めさせていただきます。では、花梨さん」
「はいっ!?」
「こちらの書類を熟読願います。花梨さんの今後に関わることになりますので、読んでいる途中でも疑問に思われたことは質問してください」
「は、はい」

 急に話を振られ、飛び上がる勢いで驚きつつ返事をする。
 そもそも花梨はこの場に呼ばれたこと自体、不思議に思っていたのだ。それが突然名前を呼ばれたものだから、驚く以外なにも出来なかった。

 驚くのはそれだけではなかった。

「……は? なにこれ」
「花梨さんの今後に関わるご両親との取り決めですが? 詳細は大木戸様がお決めになっておりますが、詳細については先ほどお父様にもご確認いただいております」
「いや、じゃなくて、なんで」

 自分がしようとしていることが知られているのか、だ。
 コウにはざっくりと『独り暮らしがしたい』とは話していたが、コウが花梨の親に話しているとは思えない。

「ご不満ですか?」
「いや、不満なんて全然……!」

 と、否定してから視線に気づき、両親の顔を見た。
 当然、花梨を睨みつけていた。『お前の仕業なのか!』と。
 瞬時に、身体も喜びに沸いた心も、氷点下へ落とし込まれた。

(分かってる。いくら弁護士が書類を持ってきたからって、ボクに自由はないことくらい)

 以前、父方の祖父が父親に花梨の扱いについて注意したことがあった。
 その場では祖父の言うことに頷き、花梨に対して謝ってはいたが、祖父がいなくなった途端に態度は一変し、虐待に近いお仕置きがなされた。
 今回だって、弁護士が帰ったら同じことになる。そう考えると、書類に目を通してはいるのに、内容が全然頭の中に入ってこなくなっていた。

「内容に疑問や不満がなければ、こちらにサインを」

 高そうなボールペンを書類に添えて出される。
 どうせサインしたところで何も変わらない。そんな諦めた心境で花梨は促されるままにサインをする。
 その書類を弁護士は父親の前へと滑らせた。

「では、鈴木様もこちらにサインを」
「……」
「鈴木様、約束を違えればどうなるか、お分かりですよね?」

 弁護士に強い口調で釘を刺されると、渋々といった様子で書類にサインをした。

「これで契約完了です。これを破れば、罰則が生じることをお忘れなく」

 ニヤリと悪い笑いを浮かべると、サインされた書類を鞄にしまうとソファから立ち上がった。

「さあ行きますよ」
「え?」
「書類に書かれていたでしょう? 『契約完了時から』と」
「えっ? えっ? どこに?」

 立ち上がった弁護士は、鞄を持った手の反対の手で花梨の腕を掴み、グイと引いてリビングから連れ出した。

「勝手は許さんぞ! たかが紙切れ一枚で、親の束縛から逃れられるとでも思っているのか!?」

 背後から怒鳴られて、リビングから出た弁護士はクルリと振り返って、花梨の両親の目をじっと見つめた。

「たかが紙切れと思うなら、私の手から力づくでも花梨さんを奪うといい。本当にそう思っているのならね」
「~~!!」

 怜悧な視線と、反論を許さない語調が父親を黙らせた。
 口を一文字に結び拳を握りしめて立ち尽くす父親を一瞥すると、弁護士は再び花梨の腕を引いて歩きだした。

「ほ、本当に大丈夫なんですか?」

 花梨が少し落ち着いて口を開けたのは、弁護士が乗ってきた白いBMWで十数分走った頃だった。

「何がです?」
「父の制止を振り切って、家出て来ちゃって」
「ああ、そんなことですか」

 弁護士はクスリと笑って答えた。

「全然問題ありません。あちらが煩く言ってきても、こちらは法律で黙らせます」

 穏やかな口調で言っているが、内容は全然穏やかじゃない。それに表情も、目だけは笑っていなかった。

「花梨さんは何も心配しないで大丈夫です。これからは花梨さんが望むように、自由に生きていいのです」
「自由に……」
「あ、だからといって、法に触れるようなことはしないで下さいよ? お祖父様も渉も、あなたのことをかなり心配しているのですから」
「お祖父様? あゆむ?」
「ああ。渉というのは私の従弟で、あなたの学校の教師の澤田のことです。そしてお祖父様というのが、今回の依頼者である大木戸のことです。お祖父様とは、一度渉の家でお会いしてますよね?」
「えっ! 澤田先生の……!? じゃああのお医者様って……」

 驚いて弁護士の顔を見る。
 確かに弁護士の目元は澤田によく似ていた。言われてみれば、澤田が歳を取ったら老医師のようになるのではと想像に難くない。

「渉がお祖父様に掛け合って、今回の運びとなったんだよ。私はお祖父様経由で話を聞いたのだけれども、『どうしても助けて欲しい人がいるんだ』って。渉にしては珍しく取り乱していたって」
「澤田先生が……」
「お祖父様曰く、『恋する朴念仁は怖いねぇ』だそうで」

 弁護士は苦笑して言っていたが、なぜかとても嬉しそうだった。

 弁護士に連れられて花梨が向かった先は、澤田のマンションだった。
 最初は分からなかったが、エントランスからエレベーターに乗って部屋の前まで来てようやくここが澤田の部屋だと気づいた。
 花梨が挑発したのもいけないのだが、生徒指導室での一件が思い浮かんで澤田に会うのが躊躇われた。
 そんなことを知らない弁護士は、ただ遠慮しているのだと勘違いし、花梨を中へとグイグイ押し込んだ。

「なんで先生の家……」
「ちゃんと契約書に書いてあったけど? もしかしてキチンと読んでなかった?」

 弁護士は『やっぱりね』とクスリと笑うと、花梨に鈴木家で読ませた書類を渡した。

「読み終わったら渉に渡して保管してもらって」
「先生に?」
「ええ。保護者代理ですから」

 ニィ、と笑うと弁護士はヒラヒラと手を振って帰っていった。

「……先生、ボク、今日からここに住むんですか?」
「ああ。ここに住んでいて勉強に集中出来ないならば、お祖父様に言って下宿先を探す。それまではしばらく辛抱してくれ」
「先生はボクがいて邪魔に感じないの?」

 あの弁護士が言うには、書類に書かれた内容を決めたのは老医師だという。ならば澤田の家に住むように指定したのも、老医師ということになる。
 澤田の意思とは関係なく。

「邪魔なわけないじゃないか。むしろ……」

 途中まで言って言葉を濁した。
 ん? と思いかけて、あ! と気づいた。
 弁護士は澤田が老医師に掛け合って、花梨を親元から離してくれと言った。老医師は澤田のことを『恋する朴念仁』と言った。

「先生、ボクのこと好きって言ってたの、本当だったんだ……」
「口から出まかせだと思っていたのか……」

 少しガックリとした表情をして頭を掻いた。

「あの場で告白したのだって、かなり勇気を振り絞ったんだけどな」
「全然そういう風には見せませんでした」
「マジか……」

 さらにガックリと肩を落とす。

「ボクが襲われてショックを受けているのを、緩和させるためにだけ言っているものだと思ってました」

 澤田がショックを受けているのにも関わらず、花梨はあっけらかんとした感じで言い放った。

「でも」
「?」
「今日のことで、先生がボクのこと本気で心配して、本気で好きなんだってこと、分かった気がします」
「鈴木……」

 ショックを受けた顔からパァ、と顔を明るくする澤田。
 そんな澤田を見て思わず花梨はクスリと笑ってしまった。

「改めて言わせてもらう。鈴木、私はお前のことが好きだ。いかがわしいことをしていたとか、生徒だとかそんなことは関係なく、可愛らしく、真っ直ぐに生きようとしているお前が、本気で好きなんだ」
「先生……」
「だから、出来るならここから出ていきたいとか言わないで欲しい。教師と生徒という間柄には変わりがない。だから、お前が卒業するまで決して手は出さない」
「え」
「生徒会長に襲われて、怖い思いもしただろう。襲う気はなかったとはいえ、私にも襲われかけて、行為自体嫌なものだと感じているだろう。気持ちの整理をする時間も欲しいだろうし、私の教師としてのけじめだ」
「えっえっ、ちょ、ちょっと待って」

 真剣に語る澤田の前で、花梨は訳が分からないといった感じに動揺し始めた。

「どうした?」
「い、いや、だって。先生、ボクのこと好きなんですよね?」
「そうだと言っただろう」
「好きならば、あーんなことや、こーんなことをしたいとか思わないんですか!?」
「あーんなこと? ああ、性行為のことか。したいとは思うが、やはり教師としての」
「そうじゃなくて!」

 フンスーと鼻息荒く澤田の言葉を切ると、花梨は背伸びをして澤田の顔に自分の顔がくっつくんじゃないかという距離までズイと顔を近づけた。

「好きなんでしょ!? ヤリたいんでしょ!? ならば先生とか生徒とか関係なく、セックスすればいいじゃない!」
「セックスって、いきなり直接的に。いや、それでもな」
「ボクはヤリたいの! セックスやりまくりたいお年頃なの! 前立腺ゴリュゴリュされてアンアン言いたいし、チンコ擦られてドパーって出したいの!」
「前立腺ゴリュゴリュ……」

 花梨の言葉に呆気にとられるも、澤田は花梨の唇にチュっとキスをすると優しく頭を撫でた。

「私にだって思春期があったから、その気持ちは分からないでもない。だけどな、鈴木とそういう行為をしているということが周囲にバレたら、私は下手すると学校をクビになってしまうかもしれないんだ」
「バレなきゃいいじゃん」
「いくら気をつけても、鈴木は浮かれると口が軽くなるからな。それに」

 と、言葉を切って花梨の手から書類を取り上げると、とあるページを開いて花梨へ見せた。

「私にも縛りがあってな。ここに『健全な高校生生活を送らせる』とあるだろう。これを破れば、私はお祖父様から罰金どころか、多大なお叱りを受けることになる」

 よほど恐ろしいのか、澤田は身震いをして書類を閉じた。

「そういう理由で、鈴木が卒業するまで性行為はお預けだ。自慰行為は禁止されていないから、好きなだけするといい」
「……セックスすることだって健全な高校生生活だよ。ボクの周りの子だって毎日のようにヤッてるって言ってるし」
「成人した大人が絡むと、そうはいかないってのが世の中の理なんだ」
「むー。じゃあさ、セフレとセックスしても」
「ダメ。この家を使うのは言うまでもなく、門限破って外でするのも禁止。なにより、私が嫌だ。好きな相手を他の誰かに抱かれたくない」

 ムッとした顔で澤田が言うと、花梨はプーっと頬を膨らませて拗ねるが、ちょっと嬉しそうにニヤけた。

「そんなにガチガチに縛られたら、息苦しくなっちゃう。やっぱり先生の家にお世話になるの、辞めようかな」
「え」
「あの弁護士さんに言えば、別な下宿先を紹介してもらえるんですよね? そうしたらここまでガチガチに縛られないだろうから、セックスし放題……」
「待った! 待ってくれ! 何か妥協案を設けよう! それでいいか!?」

 慌てた様子で花梨を引き留めにかかった。
 もとより策略だったのか、してやったりという感情を隠さずニヤリと笑った。

「じゃあ、セックスは我慢するから、毎日キスして。ほっぺとかじゃなく、ちゃんと唇に。おはようのキス、行ってきますのキス、お帰りなさいのキス、おやすみなさいのキス。それから」
「ストップ、ストップ!」

 話しながらグイグイと迫ってくる花梨を両手で押さえて、澤田は降参と言わんばかりに弱々しく言った。

「分かったから。だから今にも襲わんとばかりに迫って来るのを止めてくれないか? そんなに迫られたら、性行為はしないと言った約束を自分から破りかねない」
「えー、理性プッツンして襲ってくれて構わないのに」
「こら」

 コツンと花梨の頭に拳を乗せる。

「それじゃあ一緒にいられなくなる。お願いだから必要以上に迫るのは止めてくれ」

 むぅ、と口を尖らせた花梨に、澤田はチュっとキスをする。

「キスだけで我慢してくれ」
「キスならいいんだよね?」

 ニヤと笑い、今度は花梨からキスをする。唇を強く吸い、舌を入れて口の中を犯す、濃厚なキスを。

「ねえ先生、知ってた? 先生がボクのこと好きって言ってたけど、ボクは入学式のときから先生に一目惚れしてたんだよ」



 まだほんのり肌寒いが、陽射しの当たる場所は暖かく感じる。
 今日はハレの卒業式。体育館から出てくる面々は、泣いている人もいるが、殆どの人間がこれからの未来に期待に胸を膨らませて笑顔を輝かせていた。

「卒業おめでとう」

 人のはけた体育館脇。胸に赤いバラの造花をつけた花梨と、いつもと違う上質なスーツを着て髪をバックに整えた澤田が立っていた。

「ありがとー。この二年、ほんっっとに辛かった~」
「大袈裟だな。普段の勉強も受験も、鼻歌交じりにしていたくせに」
「違うちがう! 学校生活じゃなくて!」

 背伸びをして、チュっと澤田の唇にキスをする。そしてズボンの上から澤田のモノを撫でる。

「こっち! いくら契約だからって、こんなイケメンの裸を毎日見て、キスして、性欲抑えろってほうが無理だってーの!」
「花梨が風呂上りを覗きに来るからだろう。キスだって、私は触れるだけにしようとしているのに、花梨が……」
「ディープキスくらいしないと、気がおかしくなっちゃう! セフレもだめ、セックスもだめ。チンコが爆発しちゃう!」
「……そのディープキスをされている身にもなってくれないか? 思春期の男子よりは理性が利くといっても、性欲はちゃんとあるんだぞ? 暴走しようとする花梨と自分のムスコを抑えるのにどれだけ苦労したか……」

 フゥ、と溜息をつきつつも、澤田はぎゅっと花梨を抱きしめた。

「もう、我慢しなくてもいいからな。今までよく頑張った」
「渉さん、じゃあ」
「ああ、今日から解禁だ」

 澤田がそう言うと、花梨は目を輝かせて澤田にキスをした。舌を絡めたディープキス。
 手はファスナーの内側に潜り込み、澤田のモノを直に触っている。

「か、花梨……。いくら解禁と言ったからって、こんな場所で……」
「だって我慢できない。解禁って聞いたら、こんなになっちゃった」

 澤田の手を花梨の膨らんだモノが隠れているズボンの前へとあてがう。
 硬く熱を帯びたモノは、触れられてビクンビクンと身を震わせた。

「続き、しよ?」
「ここじゃ無理だよ。家まで我慢しなさい」
「ヤダ。もうこれ以上我慢できない。思い出作りもかねて、学校でしようよ」
「学校で、って……。そんな場所ないだろう」

 澤田のモノを扱きながら、花梨は欲情した目で見つめながらニヤリと笑った。

「あるよ、いい場所。センセイとボクの思い出の場所、生徒指導室」

 花梨の言葉を聞いて、これ以上の悪あがきは無駄だと悟ったのか、澤田は花梨を抱きかかえると真っ直ぐと校舎の方へ向かった。
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