チャリに乗ったデブスが勇者パーティの一員として召喚されましたが、捨てられました

鳴澤うた

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私のレベル、高くないですか?

その1

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「おおおおお!」というアントンさん達の期待と羨望の声を間近に聞くけど、私の頭の中は「??????」と「?」マークが目まぐるしく回っている。

「ええと、ウィルドさん。質問があります」
 私、プルプルと震えながら挙手。

「なんだ?」
「私、修行らしい修行していないんですが……? なのに、どうしてこんなにレベルが上がってるんでしょうか……?」
「いつもの接客に配膳、それと皿洗いとか荷物運びとか。それにガーディアン漕いで配達なんかが一番レベルアップの要因だしな」

「ガーディアンを漕いだだけで……?」
「メンテナンスも毎日していたし、あとミサト。ミオと面白がって視力治したり、美容関係とかで治癒能力使ってただろう?」
「えへへ」
 私、愛想笑い。

 横でキアラが、
「マジ? 私のそばかすも治せる?」
と目をきらきらさせて尋ねてきた。

「能力の使い方とか考えないで、いつも全開でやるもんだからその効果で体力も力もついてるだろ? しかも治癒以外にもガーディアンにも追加効果が生まれて普通ではあり得ない速さだし、飛ぶだろ? あれ『付与』って言うんだぜ?」

 ――うわあ……

「知りませんでした……というか、知ってるなら力の使い方を教えてほしかったです」
 額を押さえ唸る私。

「そういうのって個人差があってケースバイケースだからなぁ。自分で試行錯誤しながら力の使い方を覚えて行くもんだ」
 ていうか、あんだけ毎回最大限に力使って疲れなかったのか? ってウィルドさんに逆に不思議がられました。

 夕方まで自由時間をくれたのは、そういう意味も含まれていたんだ、とようやく知った私です。
「こ、これじゃあ、ウィルドさんと同じ『底なしの体力』だとおもわれてしまう!」
「いや、たぶん俺だけじゃなくて、まわりのおっさん達みんなそう思ってる」
「もう手遅れなんですね……」
 私涙目。

「まあ、勘はつかめてると思うからすぐに力加減を覚えるだろう」
「……ソウデスネ」

 話の区切りがついた途端、アントンさん達が私に詰め寄ってきた。
「そのガーディアンってなんだ? 飛べるって、もしかしたらユニコーンとか伝説の神獣?」
「俺の家系、将来はげるんだよ! 今からその遺伝子変えてくれない?」
「ソ、ソバカスだけじゃなくて、髪荒れとか肌荒れとかも有効!? お願いできないかな!?」

 詰め寄られて――私は、アントンにガーディアンを紹介しながら将来ハゲを心配するジョンと美容をお願いするキアラの『治癒』を施した。

 そんな私をジッと見つめるウィルドさんが言った。
「またレベルがあがって今、79だぞ、おい――80になったら『力の解放』が発生するからな、身体の変化に気をつけろよ」

「それって何が起きるか分かります?」
「職業レベルチェンジだな。人によるが……『治癒師』から『聖母』とか『賢者』とか『白魔導士』『クレリック』あたりかなあ……」

「やだぁ……、美味しい職業ばっかり……!」
 私、うっとり――して、はた、と気づく。

「……『聖母』? 私、まだ結婚してもないし、子供も産んでませんけど?」
「それは職業名であって、結婚してなくても子供がいなくても関係ない」
「……へぇ……そうなんですか。でも微妙……」
うら若き十代でまだ結婚さえまだな女子が『聖母』と呼ばれるのはなんとしても阻止したい。

「でも楽しみです。あと一上げれば職業レベルチェンジか~」

 うっとりしている私の肩をポン、たたきウィルドさんは、
「落ち着いたところで――今後の計画をたてるぞ」
と引き締まった声で言ってきた。

 ――そうだ、私にはやるべきことがある。



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