君の中へ

うなきのこ

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行く先に

57 約束

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 混乱したけど気づいたことをありのままにリンドさんへと話した。
 普段から考えたくないことや面倒なことは頭の隅に追いやっていたので情報量が多いとパンクしそうになる。
 現に今も若干の頭痛があった。
「いずれ知る事だったかもしれないから話すけれど、ミオに数日前から付きまといをする輩が居るのだと陛下から聞いてね。多分陛下はご自身が命令した部下をミオの護衛に付けさせたかったのかもしれない。でもそれを恋人である私に託してくれたんだよ。
 私がしっかり解決せねばと、付きまといをしている可能性がある者を私のに調査させた。すると早速アレクが引っかかってね。
 まぁ、あとはだいたいミオがさっき言った話の通りだよ」
 アレクはストーカーになってたのか。確かに気持ち悪いやつだったけどそこまでとは。
 ミオのことそんなに好きだったのか。
 いや、やれればいい、みたいな脳みそしてたっけ。好きというより執着とか?そんなにミオとのセックスは気持ちよかったのかな…。
 ……うわ。なんかちょっと想像しちゃった。いま頭の中に浮かんだアレクとのセックスはゴミ箱へポイして完全削除しよう。
「それにしても乗り移り?っていうんですかね。アレクの体は操る事はできなかったですけど、もしかしたらミオの体の中に入っているのも乗り移ったとか憑依とかだったりあり得ませんか?」
「2人が混じり合う事もなく独立しているのはその乗り移りの可能性があるね。それと例えばアレクの体に入っても操れなかったのはミオの体に馴染みすぎて操作がうまくいかなかっただけなのかもしれない」
「体は動かせなかったんですが感覚は伝わってきたんです。頑張れば操れたのかな」
「…次に乗り移ることがあったのなら私にして欲しいな。」
「選べるんでしょうか」
「どうだろうね…無意識にでも選んでくれたら嬉しいけれどね」
 リンドさんがしょぼくれてしまった。ちょっと可愛い。
 どうやらアレクに嫉妬しているようだ。
「選べたらリンドさんに入りますね!それでもし体の相性がよくて操ることができたら何か痕跡残しますよ」
「なんだか言い回しがえっちだね」
 あ~…さっきから思っていたこと言わせてください。
 リンドさん欲求不満ですかー⁉︎
 そんな怪しい単語使っているわけじゃないはず。だよな?
 んん…恋人同士だしえっちもまだ一回しかしてないから足りないのかな。前世?では人並みの性欲あったし、多分ミオが少し淡白なのかも。
 セックスのお誘いってどうやるっけ…。
 前の世界では気負いなく誘えていたのに、リンドさんを相手にすると少々気恥ずかしい。
「えっと…俺がミオの体から突然離れてしまったらリンドさんはどうするんですか?俺の体がこここの世界にあるとは限りませんし消滅するかもしれない。日記にも恋人になった事を書いてありますし多分ミオも状況は理解しますよ。そのままミオと付き合いますか?」
 間違えた。全然なんて雰囲気のかけらもないことを口走った…。
 「そうしようかな」とか言われたら立ち直れない。
「そんな事はしないよ。ミオくんとミスミくんは別人なのだから。私が好きになったのはミスミくんだし、もし目の前から居なくなったら君を探しにいくよ。例え元の世界に戻ってしまったとしても、時空を超えて。」
「よ、かったです…」
 リンドさんが少女漫画に出てくる王子様みたいなことを言っている…そしてそれを言わせたのは俺…。
 わぁ…めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた!なに言わせてるんだ!
 本人を前にして追いかけるつもりはない、なんて言いにくいだろ。
 嘘でもそう言ってっくれたのは嬉しいけど。
 束縛激しいやつとか思ってないことを祈りたい。リンドさんに触れて確認したいくらいの申し訳なさと恥ずかしさが込み上げてくる。
「……ミオの体からもし離れることができてこの世界に俺の体があったら俺もリンドさんを探しに行きます。時間がかかってもここに訪ねます。その時はまたよろしくお願いしますね…?」
 恥ずかしいけど言わせてしまったのだから俺もそこまでの覚悟はあるのだと伝えたくて、顔に血が集まるのを感じながら告白した。
 何回でも言おう。ものすごく恥ずかしい。
 恥ずかしさに顔を隠した俺の手を外してリンドさんの顔が近づき口付けをする。
 俺は応えるように舌を絡ませ深い口づけを交わした。
「もちろん。両手広げて出迎えて君を抱きしめるよ」


 まだ日が登ったばかりだというのに、俺たちは盛大な告白の末に盛り上がっていた。
「んぁっ、あ、ん、、ふ、はっあ!あぁあっ!」
「ミスミっ…」
 ベッドへ押し倒された俺は後ろから抱きしめられながら抽送を繰り返されていて逃げ場が全くなく、最奥にまでリンドさんの物が届き押し出される声が抑えられない。
 前回は恥ずかしくてクッションに顔を埋めるようにしていたが今回はクッションが一つも見当たらず代わりにベッドへ顔を押し付けて耐えようとしたらリンドさんに顎を掴まれ上向かせられた。
 あんなことを言ったからだと思うがリンドさんが俺のことをミオではなく三角と本名を呼んでくれて、名前を覚えていてくれた嬉しさに血が沸騰したかのように熱くなった。
 そんなことで舞い上がっていると気づかれたくなくて、俺は素直に快楽の波に飲まれることにした。

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