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215. ロンド~踊る命~ -32- 悪霊・玄州の最後
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崩れて消え去るかと思われた玄州の形が再び象られ、貴之と黒岩を地の底に引っぱりこもうとしていた。だが━━━━━
────させぬ!
炎とともに女の声がした。
「礼夏!?」
貴之が叫んだ。
突如、ドーーンッ!という轟音とともに、玄州は一瞬にして業火に包まれ、人とも獣とも呼べない絶叫をあげた。
礼夏は後ろから捕まえた玄州を業火で焼きつくす。
真っ黒な影になっていく玄州は悲鳴をあげ続けた。
やがて、十二単をまとった女達が、礼夏と玄州を中心にした四角に現れた。
業火の中、なおも生者の世に執着し絶叫する玄州を、四人の女達が引きずっていった。
残されたのは炎の中に立つ礼夏。
「さっきの女達は歴代の水無瀬当主か・・・」
────そうだ。わたし一人の力では最早どうにもならず助力頂いた
「玄州がみふゆにちょっかいを出すことはなくなるのか」
────そうだ。そして水無瀬玄州が浄化を遂げれば、みふゆの命は限界と思われる三十歳を越えることができるだろう
貴之は目を見張った。
「本当か!みふゆの命は続くのか!?」
────水無瀬一族の短命は、おそらくは祖・水無瀬梨州の邪な願いから始まったもの。玄州が浄化することで、玄州のなかに潜んだ水無瀬梨州もまた浄化される。
「風見は、風見はどうした!玄州は風見の力を手にしたと」
────わたしと順は水無瀬を崩壊に導いたが、玄州を倒すことは出来なかった。玄州の肉体は滅んだものの魂は浄化までは至らなかった。浄化し滅するためにわたしの眷属である黒犬の黒翠が玄州を取り込んだ。だがうまくいかず、順が黒翠を玄州ごと自分のなかに封じたのだ
礼夏の告白は続いた。
────本来なら順の死と同時に玄州も浄化できるはずだった
「風見は死を拒んだんだな・・みふゆに執着して」
────予想外の事態だった。順の執着は玄州の生への執着に共鳴してしまった。それでもみふゆの祈りがあの家に結界を張り、順も玄州もわたしも外界に出ることなくすんでいたのだ
「その結界を俺達が、惣領家が壊したのか・・」
────あの場所を選んで住んだのは、あなたがみふゆを見つけてくれると思ったからだ。貴之、青木の家はいま燃えている。玄州を浄化するためにわたしが仕組んだ
「燃えてるだと?!明日、明日訪ねるはずだったんだ・・!あの家にはお前達の思い出が・・!」
────玄州を焼きつくすには業火が必要だった。そして・・、みふゆの、わたしと紗重への執着も断ち切らねばならない。みふゆのこれからの人生のためにも
貴之は言葉が出ない。
みふゆは今嘆き悲しんでいるのではないか。あんなに待ち焦がれていたのに。
────貴之、どうかみふゆを・・父親としてあの子を・・・どうか・・・
礼夏の姿が徐々に薄れていく。
貴之が手を伸ばした。
礼夏は首を振り貴之を止め、お辞儀をすると炎を伴い暗闇に消えた。
礼夏が消えると白い霧は徐々に晴れ、道が現れた。
貴之は少しの間だけ立ちつくし、振り向いた。
「おめーらのおかげで命拾いができた。礼を言うぜ。ありがとうよ」
貴之は三人を労った。
矢口が車にもたれかかっている。
「矢口、大丈夫か」
貴之がしゃがんで声をかけると、「平気ッス」と矢口は笑い顔をつくった。
「たぶん肋骨がやられてます。屋敷に戻ったらすぐに大塚先生に診てもらいます」
黒岩正吾が答え、高城とともに矢口を担ぎ助手席に乗せた。
「会長、会長も乗ってください。道が見えてるうちに急ぎましょう」
黒岩正吾が後部座席のドアを開いた。
「・・そうだな」
貴之は礼夏の居た場所を名残惜しげにみつめ、そして車に乗り込んだ。
崩れて消え去るかと思われた玄州の形が再び象られ、貴之と黒岩を地の底に引っぱりこもうとしていた。だが━━━━━
────させぬ!
炎とともに女の声がした。
「礼夏!?」
貴之が叫んだ。
突如、ドーーンッ!という轟音とともに、玄州は一瞬にして業火に包まれ、人とも獣とも呼べない絶叫をあげた。
礼夏は後ろから捕まえた玄州を業火で焼きつくす。
真っ黒な影になっていく玄州は悲鳴をあげ続けた。
やがて、十二単をまとった女達が、礼夏と玄州を中心にした四角に現れた。
業火の中、なおも生者の世に執着し絶叫する玄州を、四人の女達が引きずっていった。
残されたのは炎の中に立つ礼夏。
「さっきの女達は歴代の水無瀬当主か・・・」
────そうだ。わたし一人の力では最早どうにもならず助力頂いた
「玄州がみふゆにちょっかいを出すことはなくなるのか」
────そうだ。そして水無瀬玄州が浄化を遂げれば、みふゆの命は限界と思われる三十歳を越えることができるだろう
貴之は目を見張った。
「本当か!みふゆの命は続くのか!?」
────水無瀬一族の短命は、おそらくは祖・水無瀬梨州の邪な願いから始まったもの。玄州が浄化することで、玄州のなかに潜んだ水無瀬梨州もまた浄化される。
「風見は、風見はどうした!玄州は風見の力を手にしたと」
────わたしと順は水無瀬を崩壊に導いたが、玄州を倒すことは出来なかった。玄州の肉体は滅んだものの魂は浄化までは至らなかった。浄化し滅するためにわたしの眷属である黒犬の黒翠が玄州を取り込んだ。だがうまくいかず、順が黒翠を玄州ごと自分のなかに封じたのだ
礼夏の告白は続いた。
────本来なら順の死と同時に玄州も浄化できるはずだった
「風見は死を拒んだんだな・・みふゆに執着して」
────予想外の事態だった。順の執着は玄州の生への執着に共鳴してしまった。それでもみふゆの祈りがあの家に結界を張り、順も玄州もわたしも外界に出ることなくすんでいたのだ
「その結界を俺達が、惣領家が壊したのか・・」
────あの場所を選んで住んだのは、あなたがみふゆを見つけてくれると思ったからだ。貴之、青木の家はいま燃えている。玄州を浄化するためにわたしが仕組んだ
「燃えてるだと?!明日、明日訪ねるはずだったんだ・・!あの家にはお前達の思い出が・・!」
────玄州を焼きつくすには業火が必要だった。そして・・、みふゆの、わたしと紗重への執着も断ち切らねばならない。みふゆのこれからの人生のためにも
貴之は言葉が出ない。
みふゆは今嘆き悲しんでいるのではないか。あんなに待ち焦がれていたのに。
────貴之、どうかみふゆを・・父親としてあの子を・・・どうか・・・
礼夏の姿が徐々に薄れていく。
貴之が手を伸ばした。
礼夏は首を振り貴之を止め、お辞儀をすると炎を伴い暗闇に消えた。
礼夏が消えると白い霧は徐々に晴れ、道が現れた。
貴之は少しの間だけ立ちつくし、振り向いた。
「おめーらのおかげで命拾いができた。礼を言うぜ。ありがとうよ」
貴之は三人を労った。
矢口が車にもたれかかっている。
「矢口、大丈夫か」
貴之がしゃがんで声をかけると、「平気ッス」と矢口は笑い顔をつくった。
「たぶん肋骨がやられてます。屋敷に戻ったらすぐに大塚先生に診てもらいます」
黒岩正吾が答え、高城とともに矢口を担ぎ助手席に乗せた。
「会長、会長も乗ってください。道が見えてるうちに急ぎましょう」
黒岩正吾が後部座席のドアを開いた。
「・・そうだな」
貴之は礼夏の居た場所を名残惜しげにみつめ、そして車に乗り込んだ。
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